不動産投資コラム

住宅ローンが通らない中古マンションの特徴

行政書士棚田 健大郎
住宅ローンが通らない中古マンションの特徴

買ってはいけない築古マンションシリーズ、今回は中古マンションを購入する際にとても重要な要素となる「住宅ローン」に注目してみたいと思います。

中古マンションの資産価値は、住宅ローンの通りやすさに大きな影響を受けるため、住宅ローンが通りにくい物件について知っておくことが大切です。

そこで今回は、住宅ローンが通らない中古マンションのうち、「区分マンション」にスポットを当てて詳しく解説していきます。

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住宅ローンが通らないマンションのリスクとは

中古マンションを購入する際、それが自己使用、投資、どちらの目的だとしても、ローンを使って購入するのが一般的です。

住宅ローンについては、購入する中古マンション自体を担保にして融資を受けるという仕組みのため、中古マンションの「担保評価」の重要性がとても高くなります

担保評価とは、分かりやすくいうと融資をする金融機関側から見た物件の担保としての評価のことで、担保評価が高ければ、その分高額の融資が受けやすくなり、反対に担保評価が低いと判断されれば、最悪の場合ローン自体が通らないということもあるのです。

自分が買えればよいという問題ではない

住宅ローンについてお話しすると、

「私はキャッシュで購入できるから大丈夫」
とか
「私は銀行からの信用が高いからローンを組める」

といった反応をされる方が時々いますが、中古マンションについては自分が買えればよいという問題ではありません

自分自身が一生その中古マンションに住み続けるのであれば問題ありませんが、いつか売却して住み替える可能性を考えると、深刻なリスクを負うことになります。

担保評価が低い物件は、売却しようと思っても買主が住宅ローンを使えないため、現金一括で購入できる人にしか売れなくなってしまい、売れるまでにかなりの時間がかかってしまうのです。

担保評価の低い中古マンション

また、買主にとっても担保評価が低い物件は、将来的なリスクが高いため、価格についても同種の物件に比べ割安な価格設定にならざるをえません

このように、住宅ローンが通らない担保評価の低い中古マンションについては、非常に大きなリスクを抱えることになるので、できるだけ購入は避けたほうがよいといえます。

担保評価が低い中古マンションとは

ここからは、担保評価が低く見られやすい中古マンションの特徴について詳しく掘り下げていきたいと思います。

購入予定の物件が、以下のいずれか1つにでも当てはまる場合は、できるだけ別の物件を探した方がよいかもしれません。

築年数が古すぎる

担保評価を知る上で最もわかりやすい目安が「築年数」です。
築年数が古くなればなるほど、担保評価が低く見られるため、住宅ローンを組む上で審査のハードルが高くなります。

できるだけ新しい方がいいわけですが、大きく担保評価が落ちる目安としては、新耐震基準をクリアしているかどうかです。

1981年6月1日以降に建築確認を受けている建物については、より厳しい基準である新耐震基準を満たしているため、一定の評価がされやすいのですが、それ以前に建てられている建物については、地震に対する強度などに一定の不安があるため、住宅ローン審査が通らない可能性も出てきます。

どうしても旧耐震基準の古い物件にこだわりたい方は、耐震補強工事が行なわれている物件に絞って探すと、多少評価してもらえる可能性があるので、うまくいけば住宅ローンが組める可能性もあるでしょう。

修繕積立金残高が少ない

中古マンションは新築とは違って、建物の維持修繕に高額な費用がかかるため、購入時における修繕積立金残高が非常に大きなポイントとなります。

修繕積立金とは、マンションを維持していくために必要となる修繕費にあてるために、毎月マンションの区分所有者から徴収している積立金のことで、修繕積立金残高とは、今現在におけるマンション管理組合の口座に残っている積立金残高のことです。

区分マンションは、一戸建てとは違って、1つの建物を複数の区分所有者で共有しているため、長期修繕計画というものを立てて、それを目標にして修繕積立金を積み立てていきます。

修繕積立金残高が想定よりもかなり低いと、物件としての評価が下がってしまい、住宅ローンも通りにくくなる可能性があるのです。

大規模修繕するお金がない

大規模修繕

外壁タイルの張り替えや、屋上防水工事、鉄部塗装など、建物全体の維持管理に必要な複数の工事のことを「大規模修繕」といい、概ね10~15年に1度実施するのが一般的です。

ただ、大規模修繕をしなければならない時期にもかかわらず、十分な修繕積立金が積み立てられていない中古マンションについては、次のようなリスクが予想されます。

一時金の徴収

建物の老朽化の度合いによっては、お金がないからといって大規模修繕を先延ばしにできない場合があります。
そうなると、各区分所有者から数十万円〜100万円単位の一時金を徴収して大規模修繕費用にあてることになるのです。

マンションで借金をする

一時金の徴収が難しいマンションについては、マンションの管理組合名義で金融機関から借金をして大規模修繕をすることになります。

そうなると、マンションが借金して大規模修繕をすることになるので、借金返済の原資を作るために、修繕積立金が値上がりするのです。

このように、一時金の徴収や修繕積立金の値上げが予想される中古マンションについては、金融機関に対する印象が悪いので、住宅ローンが通りにくくなります

また、たとえ通ったとしても、将来的に出費がかさむことが目に見えているわけなので、あまりおすすめはできません。

長期修繕計画書を確認しましょう

十分な修繕積立金残高があるかどうかを判断するためには、「長期修繕計画書」を確認する必要があります。

長期修繕計画書を見れば、何年後に大規模修繕が実施される予定なのか、そして工事費がいくらかかるのかなどについて書かれていますので、その金額と現在の修繕積立金残高を見比べて、計画通りなのか、それとも不足しているのか確認しましょう。

まとめ

今回は、中古マンションのうち区分マンションの住宅ローンに影響するポイントについて解説してきました。

次回は、中古マンションのうち一棟ものや、中古アパートなどを投資目的で購入する際、ローン審査に影響するポイントについて詳しく解説します。

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棚田 健大郎

行政書士

棚田 健大郎

行政書士

大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

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