不動産投資コラム

「スラム化」するマンション…あるはずの〇〇がない

行政書士棚田 健大郎
「スラム化」するマンション…あるはずの〇〇がない

「中古マンションの落とし穴」シリーズの第2回は、築古区分マンションが抱えている課題と、限界マンションと掘り出しもの物件の見分け方について解説します。

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築古区分マンションが抱える課題「修繕積立金がない」

築古区分マンションについては、高齢化、スラム化にともない、次のような課題を抱えているケースが多く見られます。

設備の陳腐化

新築時は当時最新の設備だったマンションも、20年、30年経過すると陳腐な設備になってしまうものです。

最近の新築マンションには当たり前となっている、オートロックや宅配ロッカーといった設備が完備されていないと、どうしても陳腐に見えてしまい、賃貸に出しても入居者が決まらない原因となってしまいます。

通常、設備の入れ替えや追加については、修繕積立金などから支出するのですが、前回の記事で言及した通り、滞納などで修繕積立金の十分な金額が貯まっていないと、導入したくてもできないといった状況に陥るのです。

建て替えができない

近年のマンションは性能が向上しているため、法定耐用年数である47年を超えても、しっかりとした維持修繕をしていけばそのまま住み続けられるといわれていますが、昭和の頃に建てられたマンションについてはそうはいきません。

特に旧耐震基準である昭和56年以前に建てられたマンションについては、本来建て替えていく方向が妥当なところですが、以下のような理由から建て替えができずに放置されてしまう傾向にあります。

・建て替えに必要な4/5以上の賛成が得られない
・建て替えに必要な修繕積立金が貯蓄できていない

マンションの建て替えについては、最も厳しい決議要件である4/5、つまり8割以上の賛成が得られなければならないため、実施にはそれなりの根回しや説得が必要になります。

また、仮に賛成が得られたとしても、建て替え資金が足りなければ、区分所有者全員で別途負担しなければならず、その負担金が支払えないために建て替えができないというケースも少なくありません。

築年数的には建て替えが必要にもかかわらず、上記のような理由で建て替えが進まないマンションのことを「限界マンション」といい、絶対に買ってはいけないマンションの代表例です。

限界マンションと掘り出しもの物件の見分け方

築古マンションは新築に比べて割安で、かつ高利回りであることが多いことから、できればうまくリスク回避して購入したいという不動産投資家の方もたくさんいるでしょう。

では、物件を選定するときにどこを見て限界マンションか、それとも掘り出しもの物件なのかを見分ければよいのでしょうか。

チェックポイント1:重要事項調査報告書をチェック

区分マンションを購入する際には、事前に不動産会社や売主から「重要事項調査報告書」を開示してもらえます。

重要事項調査報告書とは、簡単にいうとそのマンションに関する管理状況や財務状況をまとめた書類のことで、重要事項説明書に添付して発行されるものです。

確認すべき項目は、今現在の修繕積立金の「積立金残高」の部分です。
修繕積立金がどの程度貯まっているのかによって、限界マンションかどうかの判断ができます。

国土交通省の行った「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によると、大規模修繕にかかる戸あたりの相場は75〜100万円くらいとのことですので、概ね問題なく大規模修繕ができるくらいの金額が貯まっているのかどうかを確認しましょう。

また、修繕積立金や管理費の支払いに滞納がある場合についても記載されますので、長期間放置されている滞納がないかもチェックする必要があります。

チェックポイント2:長期修繕計画書をチェック


国土交通省/長期修繕計画作成ガイドラインより一部抜粋

区分マンションについては、数年ごとに行う大規模修繕や将来の建て替え費用を計画的に貯蓄するために、「長期修繕計画書」を作成しているケースがあります。

長期修繕計画を見れば、過去の修繕の実施状況や今後の計画などが確認できるため、先ほどの修繕積立金残高と照らし合わせて、あと何年後にいくらの大規模修繕が予定されていて、それに必要な金額が計画的に貯蓄できる見通しなのかを確認しましょう。

金額が不足する場合は、将来的に修繕積立金が値上がりする可能性がありますので、利回り計算をしてシミュレーションする際には注意が必要です。

まとめ

築古区分マンションについては、居住者の高齢化や空室によるスラム化、そして限界マンション化によって、投資物件としての運用に適さなくなっているものが数多く存在しています。

築古マンションは低価格で高利回りの点がメリットですが、一方で今回ご紹介したようなデメリットもありますので、購入を検討する際には、重要事項調査報告書や長期修繕計画書を必ず確認するようにしましょう。

次回は、「買ってはいけない!築古の限界マンション」についてお話します。

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棚田 健大郎

行政書士

棚田 健大郎

行政書士

大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

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