不動産投資コラム

買ってはいけない!築古の「雨漏りマンション」

行政書士棚田 健大郎
買ってはいけない!築古の「雨漏りマンション」

築古マンションに投資する際に最も大きなリスクとなるのが、修繕関係のトラブルです。

なかでも、共用部に該当する修繕については所有者個人の判断では施工ができず、管理組合の判断を待たなければならないため、水漏れや雨漏りなど、緊急性の高い修繕が発生した際に大きなトラブルに発展することもあります。

そこで今回は、「買ってはいけない築古マンションシリーズ」として、リスクの高い修繕トラブルと、物件の見分け方について全2回に分けて解説したいと思います。

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水の絡む修繕が一番やっかい

修繕トラブルのなかで、最もやっかいなのが「雨漏り」と「水漏れ」です。

これら水が絡む修繕トラブルについては、緊急性が極めて高く、かつ、賃借人からクレームになることが非常に多いため、不動産投資をしていく上では、できる限り避けたいトラブルといっても過言ではありません。

どちらも同じ水に関するトラブルですが、対処の仕方や解決までの流れが違ってきます。

雨漏りの原因の多くは屋上防水の劣化

所有している物件で雨漏りが発生すると、状況によっては解決までに長い時間がかかる可能性があります。

コンクリートのマンションで雨漏りが発生すると、建物の内部を直接見ることが困難なため、原因箇所を特定することが容易ではありません。

雨漏りが発生する一番の原因は、「屋上防水の劣化」です。
屋上防水については、ウレタン、シート、アスファルトなどいくつか種類がありますが、概ね10年程度で劣化してくるため、早めに施工をする必要があります。

ところが、投資マンションの場合は十分な修繕積立金が積み立てられておらず、工事が先送りになってしまうケースが非常に多く、それが原因で雨漏りが発生する事がよくあるのです。

むしろ、雨漏りが発生したら防水工事をやり直そう、と考えている管理組合もあるくらいです。

雨漏りが発生した際に、雨漏りが発生している直上部分が一番疑わしいわけですが、必ずしもそこから漏れているとは限らないため、屋上全体の防水工事をすることになるケースもよくあります。

また、屋上に設置されている排水ドレン付近は防水の劣化が激しいため、その周辺を補修することで改善する場合もあります。

すぐに直してもらえない場合も

自身の保有している物件で雨漏りが発生したら、すぐにでも対策をとりたいところですが、区分マンションの場合、そうはいきません。

一次対応として、管理会社が現地を確認して、必要に応じて室内に養生をする程度まではすぐに対処してもらえますが、具体的な防水工事の施工となってくると、それなりの予算が必要になってくるため、管理組合の理事会の承認が必要になるのです。

また、防水工事をするほどの修繕積立金がないと、金融機関から借り入れする手続きも必要なため、ますます対処が遅れてしまいます。

その間、迷惑を被るのは雨漏りをしている自身の部屋です。
雨漏りが直るまでの間、賃借人からはクレームが続き、場合によっては家賃の減額を迫られることもあるのです。

残念なことに、区分マンションである以上、これらの手続きについて省くことは難しいため、リスクとしてある程度は覚悟しなければなりません。

こんな部屋は雨漏りのリスクがある

雨漏りリスクを回避するためには、雨漏りする可能性があり得る部屋を買わないことが最も重要です。

雨漏りというと最上階の部屋というイメージがあるかもしれませんが、セットバックしていて真上に部屋がない場合も、雨漏りのリスクがあります。

なかでも、最も雨漏りリスクが大きいのは、次の2つのケースです。

真上が上階のベランダになっている物件

セットバックマンション

屋上から直接雨漏りしている場合については、予算が確保できて業者の手配さえできれば防水工事に入ることができますが、「セットバック」している物件で、部屋の真上が上階のベランダの構造になっている場合は要注意です。

セットバックしている物件の場合、真上の部屋のベランダには屋根がないため、ベランダ防水の劣化が激しく、雨漏りのリスクが高いのです。

さらに、雨漏りが発生した際も、業者が入って点検したり、施工したりするためには、その都度「入居者の立会い」が必要になるため、日程調整のために対処が遅れることがあります。

よって、部屋の前上が上階のベランダになっている部屋については、雨漏りリスクが高いのでできるだけ購入は慎重にしたほうがよいでしょう。

屋上緑化している物件

屋上緑化

都市部の物件については、自治体の緑化計画などによって、「屋上緑化(屋上が庭のようになっている)」になっているケースがあります。
万が一、屋上緑化されている物件で雨漏りが発生すると、アスファルトの屋上よりも、かなり高額な工事費用が発生します。

また、屋上緑化は技術的にも施工できる業者が限られているため、すぐに手配できたとしても、施工してもらえるまでに1ヵ月以上待たされることも珍しくありません。

屋上緑化されているかどうかは、購入時に説明されない場合もありますが、事前に「グーグルマップ」で上空からの写真を見て確認するとよくわかります。

雨漏り物件は経済的損失だけではなく、クレームが長引くことで精神的にもダメージを受けますので、今回ご紹介した雨漏りリスクが高い物件は、できる限り購入を避けることをおすすめします。

後半は、水漏れトラブルについて詳しく触れていきたいと思います。

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棚田 健大郎

行政書士

棚田 健大郎

行政書士

大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

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