コラム

アパート経営を失敗する人に多い2つの特徴

行政書士棚田 健大郎
アパート経営を失敗する人に多い2つの特徴

不動産投資のなかでも「アパート経営」は最もオーソドックスな投資法と言っても過言ではないでしょう。

ただ、アパート経営を始めた人のなかには、事前の準備や知識が足りなかったばっかりに、失敗してしまう人もいます。

今回はこれらの点について解説しながら、アパート経営に失敗しないためのポイントや、初心者投資家にもアパート経営を安心しておすすめできる理由についてお伝えしたいと思います。

1. アパート経営にかかる「経費」に対する知識不足で失敗

アパート経営にかかる「経費」

アパート経営に失敗する人にはいくつかの特徴があり、そのうちのひとつが「知識不足」です。

不動産投資はほかの投資に比べると、初心者でも参入しやすいイメージがありますが、最低限の知識が不足していると、アパート経営を始めてすぐに「こんなはずじゃなかった」という壁に直面することになります。

アパート経営というと、一般には「不労所得」などともいわれるとおり、何もしなくても家賃という収入が発生する非常にメリットの大きな投資だと考えられています。

確かに間違いではない知識ですが、アパート経営についてまわるのは決して収入だけではありません。

アパート経営を始めるうえで重要なことは、収入よりもむしろ「支出」です。

アパート経営に失敗する人の多くは、支出である経費に対する認識が甘いという特徴があります。

アパート経営を維持していくためには、大きく分けて2種類の経費がコンスタントに発生することになります。

1-1.アパートの維持に必要な経費

アパートは株式などとは違い物的資産であるため、アパートという資産を物理的に維持していくためにさまざまな経費がかかります

アパートの維持に必要な経費について、室内部分と建物部分に分けて解説します。

1-1-1.室内部分の設備にかかる経費について

室内部分については、賃借人が退去した際に、原状回復のための工事として次のような経費が発生します。

アパート経営の室内設備 補修・修繕

エアコン、給湯器、ガスコンロなどの室内設備が故障していれば修理や交換が必要となりさらに費用が発生します。

また、特に使用上の問題がなかったとしても、これらの室内設備については、おおむね10年ほどで買い替え時期と言われています。

古い設備のままだと、見栄えも悪くなるため賃借人が見つからない原因となります。

最近では、インターネット設備関係を後から導入することにより、予想外の出費となるケースがあります。

特に人気の高い「無料Wi-Fi設備」については、導入するための初期工事費用で20~30万円程度、毎月の維持費で1~2万円程度が必要になり、大きな経費の負担となります。

1-1-2.建物部分にかかる経費について

アパート自体も一定の周期でさまざまなメンテナンスが必要になってきます。
建物部分のメンテナンス費用で代表的なものは以下の2点です。

1-1-2-1.外壁塗装工事
アパート経営の塗装

アパートの外壁は、塗装の種類に応じて一定年数を経過すると徐々に劣化していきます。
塗装の種類に応じた耐用年数の目安は以下のとおりです。

耐用年数が長い素材であるほど、施工費用は高額になります。

また、アパートの構造や日当たりなどによっても劣化の進行速度に差が生じますが、おおむね10年程度経過した段階で外壁に異常がないかチェックする必要があるでしょう。

費用の目安としては、2階建てのアパートで150~300万円程度、3階建てのアパートで200~400万円程度と非常に高額な費用がかかります。

1-1-2-2.屋上防水工事
FRP防水塗装

外壁と同様に重要な修繕箇所が「屋上」です。

屋上は雨を直接受け止めるため、屋上防水が劣化したまま放置をすると、雨漏りの原因となります。

屋上防水工事についても、使用している塗装材に応じて耐用年数が次のように異なります。

屋上防水は建物の外壁よりも劣化速度が速いケースが多いため忘れずに工事をする必要があります。

1㎡あたり5000円~8000円程度が相場ですので、外壁塗装工事と同様に大きな費用が一度にかかることとなります。

このように、アパートを維持していくためにはコンスタントにかかる室内部分の経費と、中長期的に大きな出費となる建物部分の経費の両方をあらかじめ予測し、そのうえで無理のない資金計画を開始当初から立てる必要があるのです。

1-2.賃貸運営にかかる経費

アパート経営の経費

アパート経営にかかるもうひとつの経費が「賃貸運営にかかる経費」です。

アパートの賃借人は何もせずに勝手に決まっていくわけではありません。

基本的には、不動産会社に募集を依頼して客付けをしてもらう必要があります。

不動産会社に客付けを依頼すると、成約した場合におおむね家賃の1ヵ月分を募集広告費などの名目で支払うことになります。

また、賃貸管理や家賃の集金代行を不動産会社に依頼した場合は、毎月一部屋につき3~5%程度の管理料を支払わなければなりません。

このようにアパート経営にはさまざまな経費がかかるため、収入に対する支出は少なくありません。

アパート経営に失敗する人の多くは、これらの経費に対する知識不足のせいで、実際に経費が発生する段階になってから気が付き、資金がショートしてしまうのです。

MEMO
「経費」に対する知識不足の対応策

アパート経営に失敗しないためには、少なくとも上記でご紹介した経費については前もって資金計画に盛り込んでおくことが重要です。

とはいえ、初心者投資家の方が最初からこれらの項目の金額をすべて調べてシミュレーションすることはとても大変です。

そこで、ひとつの目安として家賃収入に対しておおむね20%程度を経費として見積もって資金計画を立てておくと、少々のことでは破綻しない余裕を持ったアパート経営ができるでしょう。

2. 空室と滞納の2つのリスクを知らずに失敗

アパート経営で空室と滞納の2つのリスクを知らずに失敗

アパート経営は購入時よりも高く売却して利益を出すことが難しいため、基本的には毎月の家賃収入で利益を出していく「インカム・ゲイン」がメインの投資となります。

それだけに、毎月の家賃がきちんと入金になることが重要なのですが、ここで忘れてはならないのが「空室リスク」と「家賃滞納リスク」です。

例えば1棟10戸のアパートで1部屋あたり5万円だとします。
満室であれば10戸×5万円=50万円が家賃収入となります。

アパート経営に失敗する人は、上記の満室経営が当たり前だと考えている特徴があります。

ところが、アパート経営はそんなに甘くはありません。

2-1.空室リスクについて

アパートは常に満室とは限りません。

むしろ、年間を通して常に入退室が発生するため、その都度空室で家賃が入ってこない無収入の期間が発生します。

ひと昔前までは、入居者の居住年数が長かったため、一度入居すれば4~8年くらいはずっと家賃が保証されていました。

ところが最近は賃貸物件の供給過多によって、空室が目立つようになり、その結果敷金や礼金がゼロゼロといった初期費用格安物件が増えてきました。

これによって、賃借人が気軽に引っ越しできる環境ができてしまったため、平均的な居住年数が昔よりも短くなりつつあり、早ければ1年以内に退去してしまうケースもあります。

コンスタントに入退室が発生すると、その都度原状回復工事も発生するため、経費もかさむことになります。

2-2.家賃滞納リスクについて

家賃は賃借人がいれば必ず入金になるとは限りません。

なかには家賃を滞納する部屋が発生することもあります。

昔に比べ、終身雇用制度が崩壊している現代においては、入居時に一流企業に勤めていて入居審査を通過したような人でも、1年もしないうちに会社を辞めてしまいニートになってしまうケースも少なくありません。

家賃滞納が発生すると、家賃が入ってこないばかりか、賃借人や連帯保証人に対して家賃を督促する手間もかかることになります。

また、確定申告書上は、たとえ家賃滞納が発生していても入金されているものとして申告をして納税しなければならないため、非常に厄介です。(のちに回収不能が確定してから、貸倒損失として計上します)

MEMO
「空室と滞納のリスク」に対する対応策

空室や滞納については、いつ発生するのかについては予測ができないため、先ほどの経費と同じように一定割合をあらかじめ支出として見積もっておくことが対応策となります。

目安としては、家賃収入の「5~10%程度」を滞納や空室リスクとして考えて、資金計画を立てておくといいでしょう。

3.それでもアパート経営が良い理由とは

アパート経営がよい理由

このようにアパート経営にはある程度の専門知識が必要であるとともに、知っておかなければならないリスクもあるため、ここまでの話を聞くとちょっと敬遠したくなる人もいることでしょう。

ただ、アパート経営はこれらの話を考慮した上でも、ほかの投資と比べて初心者投資家におすすめな投資であることに変わりはありません。

それはなぜなのでしょうか。

3-1.アパート経営の失敗リスクは初心者投資家でも回避できる

アパート経営の素晴らしい点、それは失敗するリスクを初心者投資家でも比較的簡単に回避できることです。

今回ご紹介した失敗する特徴である「経費」や「空室・滞納」に関するリスクは、事前に認識してそれに合わせて適切な資金計画さえとれていれば、初心者投資家でも失敗することはありません

もっと具体的に言えば、それらのリスクを加味したとしても収支があう価格でアパートを購入することさえできれば、そのアパート経営はおおむね成功したも同然なのです。

対して、株式投資やFX、仮想通貨(ビットコイン)などの投資については、投資する前にどんなに綿密にシミュレーションしたとしても、株価や為替などの値動きを確実に予測することはできません。

また、不動産の場合はよほどのことがなければ家賃や不動産価格が急激に変動することはありませんが、株式やFX、仮想通貨については、一晩で大幅に暴落するリスクがあります。

過去に発生したバブル崩壊やリーマンショックなどによる暴落をほとんどの投資家が予測できなかったことからも分かるとおり、株式やFXについては非常に高度な投資判断が求められます

一方アパート経営であれば、入口である購入価格さえ間違えなければ、ほぼ失敗することはなく、経済情勢によるリスクもほとんど受けません。

必要なのは、購入前の入念な資金計画であり、それに合わせた価格で購入することです。

高度な投資判断を日々求められるわけではないので、初心者投資家でも安定した収益を生み出すことができるのです。

3-2.アパート経営とマンション経営の違い

アパート経営が初心者投資家に向いていることは良くお分かりいただけたかと思いますが、賃貸経営といえば、アパート経営以外にもマンション経営があります。

では、アパートとマンションでは経営にどのような違いが出てくるのでしょうか。

3-2-1.マンション経営とは

そもそもマンション経営とは、一般的には分譲マンションの1部屋を投資目的で購入して、それを賃貸物件として運用する経営手法のことをいいます。

1棟を購入するアパート経営に比べて以下のような特徴があります。

メリット
デメリット

3-2-2.アパート経営の方が初心者投資家に向いている

マンション経営の場合は、さまざまな分譲マンションを次々に購入していかなければならないため、1度にまとまった戸数が確保できるアパート経営に比べてその都度物件の選定をしなければならないため、それなりの知識や経験が必要となります。

また、マンションの共用部分についてはほかの部屋の所有者と共有しているため、自分だけの一存で修繕することができませんが、アパートであれば自分の資金に余裕があるときに、好きなタイミングで施工することができるなど、維持管理面での自由度も非常に高くなります。

さらに、確定申告をする際についても、アパート1棟であれば不動産所得の収支内訳書に記載する減価償却の計算が統一できるため、戸数が多くてもそこまで手間ではありません。

対してマンション経営の場合は、一部屋ごとに減価償却費を計算していかなければならないため、戸数が多くなってくると税理士などに依頼しないと厳しくなってくるでしょう。

まとめ

アパート経営に失敗する人のほとんどは、アパートを購入する時点で失敗がほぼ確定しています。

その理由は、今回お話したとおり、事前の知識不足や認識不足によって、本来予定しておくべき経費やリスクに対する対策が取れていないからです。

アパート経営はほかの投資のように、投資テクニックや高度な投資知識や経験は必要ありません。

今回お話した最低限の知識と、それをもとにした適切な対策を取ることができれば、アパート経営に失敗することはないでしょう。

棚田 健大郎

棚田 健大郎

行政書士

行政書士・マンション管理士・宅地建物取引士・管理業務主任者・敷金診断士・ファイナンシャルプランナー。大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。行政書士、マンション管理士、ファイナンシャルプランナーなどの資格を取得し、棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。