コラム

不動産投資のリスクの1つ「入居者とのトラブル」

2018/05/14
不動産投資のリスクの1つ「入居者とのトラブル」

不動産投資のリスクと聞いて真っ先に思い浮かぶのが空室、家賃下落、ローン返済などかもしれません。

しかし実は、リスクはそれだけではありません。

不動産経営は所有する物件に第三者を住まわせるということから、入居者とのトラブルが起こりうるリスクもあるということを認識しておく必要があります。

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1.迷惑入居者を簡単には退去させられない!賃貸借契約は入居者が守られる内容になっている

普通借家契約

賃貸借契約に関する法律としては、民法に規定があり、貸す側(賃貸人)と借りる側(賃借人)は賃貸借契約を結ぶ義務があります。

しかしそれだけではなく、不動産投資物件がアパートやマンションの場合には、賃借人を保護するための借地借家法による規制があります。

これは、従前は賃貸人(ちんたいにん=オーナー)と賃借人(ちんしゃくにん=入居者)とでは賃貸人の社会的、経済的な力が勝っていて、民法だけの規定では弱い立場の賃借人を保護することができないので、賃借人保護のために賃借人の権利を強化するために定められたものです。

つまり一般的な賃貸借契約は、立場の弱い入居者(賃借人)を守る内容になっています。

2.滞納家賃はいつ回収できる?家賃滞納者を退去はさせられない!?

入居者とのトラブル
賃貸借契約を締結して、入居者が特に問題を起こすことなくきちんと家賃を支払ってくれればよいのですが、ときに問題を起こす人が入居する場合があります。

入居者が家賃を支払ってこないこともありますし、当初の約束の用法と違う使い方をしたり、騒音などによってほかの入居者や近隣の住民に迷惑をかけることもあります。

このような問題のある入居者がいる場合には、早く賃貸借契約を解除して部屋を退去してもらいたいところです。

しかし、入居者が任意に退去しない場合に強制的に退去させることはそう簡単なことではありません

3.契約違反をする入居者には退去を命じることができる

入居者とのトラブル
入居者が家賃を支払わない場合はどうでしょうか。

賃借人(入居者)は賃貸借契約上の義務として当然に一定の賃料を支払う義務を負っており、契約書にも賃料を支払わない場合には賃貸人(オーナー)は賃貸借契約を解除することができると記載されているはずです。

契約書上は賃料の支払いを1回でも怠った場合には解除できる、あるいは2回怠った場合には解除できると記載されていることが多くみられます。

しかし、契約書の文言がそうであっても現在の裁判実務からは1回や2回の賃料未払いの事実だけでは契約を解除する(退去させられる)ことは認められません

これは、賃貸借契約は賃貸人(オーナー)と賃借人(入居者)の継続的な信頼関係の上に成り立っていることを前提として、賃借人保護の観点から、1~2回程度の家賃の不払いがあっただけでは信頼関係が破壊されたとまでは言えないとして、賃貸人から一方的に契約を解消させることはできないという判断がなされることによります。

3-1.家賃未払いの場合の契約解除

それでは、家賃何ヵ月分が未払いとなれば契約解除できるのでしょうか。

これまでの裁判例からは5~6ヵ月分の未払いがあればやっと解除が認められることになりますが、遅れ遅れで賃料が支払われているような場合にはさらに期間的な条件が必要となる場合もあります。

そして、仮に訴訟で解除が認められたとしても、入居者が居座ったときは裁判所の執行官による強制執行という煩雑な手続が必要となります。

また、オーナーとしては、賃料が払えないような入居者からの未払賃料や現状回復費用等の回収は難しいことが多いため、預かっている敷金を充当してもなお未払いが残る場合には入居者の連逮保証人に請求することになります。

しかし、連帯保証人も資力に余裕がなければ事実上回収は難しいと言わざるを得ません。

3-2.入居者が違反して賃貸物件を使用した場合の契約解除

では、入居者が当初定められた用法に違反して賃貸物件を使用した場合はどうでしょうか。

例えば、居住用として賃貸した部屋を事務所として使用している、事務所として賃貸した物件で飲食店を開店したなどの事例があります。

また、最近では、居住用として賃貸した部屋を民泊用として使用するなどの事例も見られます。

本来、賃借人(入居者)は賃貸借契約で定められた用法にしたがって物件を使用する義務を負っていて、賃貸人(オーナー)は用法違反があれば債務不履行として賃貸借契約を解除して退去させることができます。

上記のような事例の場合には明確に用法違反があるとして原則として契約解除が認められると思われます。

ただし、その用法違反の程度によっては、賃貸借契約関係の基礎となる信頼関係が破壊される程度にはいたっていないとして契約解除が認められない場合もあります。

また、賃貸人(オーナー)は賃借人が(入居者)用法違反をしたことによって建物のほかの居住者や近隣の居住者から損害賠償請求を受けることも考えられます。

オーナーとしては半年以上(場合によっては1年)以上賃料が入って来なくなること、裁判に掛かる費用が余計にかかってしまうことなどのリスクは知っておくべきでしょう。

4.オーナーが直接トラブルに巻き込まれない管理方法を選べ!

このような入居者とのトラブルは、アパート経営においてつきものであるともいえます。

問題のある入居者との問題を避けるため、オーナーとして選択できる契約形態や管理体制もあるのでご紹介します。

4-1.定期借家契約

定期借家契約

定期借家契約は普通借家契約と違い、その名のとおり期限が定められた賃貸借契約です。

期限が定められているため、居座られ退去させられにくいという問題を回避できるのです。

期間が終了すると、契約満了につき入居者に退去してもらうことができ、また契約を継続する場合は「更新」ではなく「再契約」という形をとります。

4-2.転貸借方式

転貸借方式

多くのオーナーは管理業務を自ら行うのではなく、管理会社に委託しています。

「転貸借方式(てんたいしゃくほうしき)」という管理体制は、経営自体を管理会社が行う方式です。

転貸借方式の賃貸借契約は管理会社と入居者の間で結ばれ、オーナーは契約の当事者に該当しません

経営上のさまざまなトラブルの対処も管理会社が行うため、トラブルに直接対処することを回避できるのです。

もしも裁判等の問題が起こっても、対処するのは管理会社となります。

5.まとめ

いかがでしたでしょうか。

基本の賃貸借契約は、法的に入居者が守られるようにできていますので、オーナー自身がトラブルを回避するためには、まず管理方式を決定する際にその中身をよく吟味することです。

そしてその際には管理会社に丸投げではなく、よく理解した上で、ご自身にマッチした管理方式を採用している管理会社を選定していくことが重要です。

また大前提として、物件選びの段階で好立地を選ぶようにしたり、入居者の勤務先、年収等事前審査をきちんと行うことでも問題を起こす入居者を避けやすくなります。

矛盾するようですが、まずはリスクを認識し理解すること

それによって管理会社や不動産仲介業者に具体的な相談を持ち掛けられるので、より適切な対策法が見つけやすくなります。

「しっかり準備してきている人」と見てもらえることで、主導権を奪われずに交渉しやすくなるというメリットもあるでしょう。

しっかり知識をもっておくことは判断力もつきますし、自己防衛の安定経営のための第一歩と言えるのです。

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黒嵜 隆
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弁護士

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弁護士法人フロンティア法律事務所代表弁護士です。これまで多くの不動産オーナーの方から法律相談を受けてきました。その経験をもとに不動産投資をお考えの方に有益な情報を発信いたします。

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