コラム

不動産投資をする前に知っておきたい3つの予備知識

行政書士棚田 健大郎
不動産投資をする前に知っておきたい3つの予備知識

不動産投資を始めてみようと思い立っても、専門的な知識に対する不安や、失敗したときのリスクを恐れて断念した方も多いでしょう。

確かに不動産投資に関する知識は専門的な用語も多いため、初心者にとっては心配になるかもしれませんが、決してそれで諦める必要はありません。

実は、以下のごく基本的な部分だけ理解できていれば、不動産投資は十分可能です。

本記事では、これら不動産投資を始める前に知っておきたいポイントをまとめました。

お読みいただければ、不動産投資のメリットだけではなく、リスクや失敗事例についても知ることができますので、事前対策を講じる手助けにもなるはずです。
ぜひ参考にしてみてください。

まずは不動産投資のことを理解しよう

不動産 〇×

不動産投資を始める前に、まずは「不動産投資」とはそもそもどのようなものなのか、よく理解しておくことが重要です。

ここでは、不動産投資の仕組み、種類、そして最近の市場動向などについて解説します。

不動産投資の仕組み

不動産投資の主な目的は、大きく分けると「利益」「節税」の2本柱です。
そこでまずは、不動産投資における「利益」について詳しく見ていきましょう。

不動産投資における2種類の「利益」とは

不動産投資のインカムゲイン・キャピタルゲイン

不動産投資とは、簡単に言うと不動産を購入して運用することで「利益」を出していく投資手法のことをいいます。

不動産投資によって得られれる利益は、大きく分けて次の2種類があります。

キャピタル・ゲイン(売却益)

不動産を買った時よりも高い価格で売って、その差額で利益を出すことをいいます。

インカム・ゲイン(家賃収入)

不動産を他人に賃貸して、そこから得られる家賃収入で利益を出すことをいいます。

昭和のバブル期のように、不動産価格が急激に高騰しているときは、「キャピタル・ゲイン」を狙う投資家が多い傾向です。

ただ、最近では東京都心部の一部を除くと、キャピタル・ゲインはあまり望めない状況なので、「インカム・ゲイン」でこつこつ利益を出す方が主流となっています。

このように不動産投資による利益は、主にキャピタル・ゲインによる「売却益」と、インカム・ゲインによる「家賃収入」によって生み出されます。

不動産投資の「レバレッジ効果」とは?

テコの原理、不動産、自己資金、融資

不動産投資は「不動産を買う」ことから始まります。

ただ、不動産は数千万円もする高額な商品ですから、一般個人が現金で買おうとすれば、何年もかけて貯金をしなければなりません。

そこで不動産投資では、銀行からアパートローンなどでお金を借りて投資をするのが一般的です。

年収500万円の一般的なサラリーマンでも、100万円程度の自己資金さえあれば、数千万円規模の融資が受けられるため、何年もかけて貯金することなく、今すぐにでも不動産投資を始めることができます。

このように、自己資金の何倍もの多額の融資を引いて、規模の大きな投資ができるため、「自己資金に対する利益率」を大幅に高めることができます。

この仕組みのことを「レバレッジ効果(テコの原理)」といいます。

サラリーマンでも効率的に利益を上げることができるのは、この「レバレッジ効果」が期待できるからなのです。

ここまでで、不動産投資とは、レバレッジ効果を利用して、キャピタル・ゲイン(売却益)やインカム・ゲイン(家賃収入)によって効率的に利益を出す投資、ということがお分かりいただけましたでしょうか。

では、次に不動産投資のもうひとつの目的である「節税」の仕組みについて解説します。

不動産投資が「節税」になるわけとは?

不動産事業 確定申告 節税

不動産投資をすると「節税」になる、という話は聞いたことがあるのではないでしょうか。

ただ、なぜ節税になるのか、その仕組みまで理解している人は少ないでしょう。
不動産投資による節税は、次の2つのパターンがあります。

1:アパートを建てることで「不動産評価額」が下がる

土地を所有している人の場合、更地の状態と建物が建っている状態とで、税金が大幅に変わることをご存知でしょうか。

土地を何もない「更地」の状態にしておくと、不動産評価額が高くなり、それをベース課税される固定資産税、贈与税、相続税などの税金が高くなる仕組みになっています。

そこで、更地にアパートを建てることで、土地の利用用途が更地の時よりも制限されるため、不動産評価額を大幅に下げることができ節税効果が期待できます。

2:「帳簿上の赤字」を利用して節税

サラリーマンなどの給与所得者は、一定の所得税や住民税が給与から天引きされて納税しています。

サラリーマンが不動産投資をすると、建物部分の減価償却費やローン利息を経費として計上することができるため、確定申告の際に不動産所得を「赤字計上」することができます。

そして、不動産所得の赤字は給与所得から差し引くことができます。

これを「損益通算」といいます。

これによって、すでに納税している所得税や住民税が、損益通算後の所得で再計算されて、その差額分の「還付」を受けることができるのです。

「赤字」というとあまり良いイメージがないかもしれませんが、不動産投資における赤字を作っているのは「減価償却費」です。

減価償却とは、建物の購入価格を法定耐用年数で分けて徐々に経費として計上する、という仕組みなので、実際にお金が出ていくわけではありません。

つまり、キャッシュフロー的には利益が出ているけれど、確定申告書上は減価償却費のおかげで赤字にできるため、税金が戻ってくるのです。

一般的なサラリーマンに不動産投資が注目されているのは、この節税の仕組みを利用することができるからなのです。

さて、不動産投資の仕組みやメリットについてはおよそ理解できましたでしょうか。

では次に、不動産投資にはどのような「種類」があるのかについて見ていきましょう。

1.不動産投資の種類

不動産投資は投資対象となる不動産の特徴によって、次のような種類があります。

一棟投資と区分投資

不動産投資の種類

アパートやマンションを丸ごと一棟購入することを「一棟投資」といいます。

不動産投資の規模としては最も大きく、物件の規模によっては億単位の投資となります。

レバレッジ効果はより大きくなりますが、失敗した時のリスクも比例して大きくなります。

対して、一棟のマンションを一部屋ごとに購入して投資することを「区分投資」といいます。

いわゆる分譲マンションに投資する手法で、さまざまな場所の物件に分散投資できるため、万が一の時のリスク分散になりますが、レバレッジ効果は一棟投資よりも劣ります。

新築物件投資と中古物件投資

新築物件投資と中古物件投資

新築物件に投資することを「新築物件投資」、中古物件に投資することを「中古物件投資」といいます。

賃貸に出すことを考えると、新築物件のほうが有利ですが、その反面、同じ規模の物件でも新築物件の価格のほうが割高となります。

国内投資と海外投資

国内投資と海外投資

ひと昔前まで海外投資はかなりハードルが高く、一部の限られた人のみが行っていました。

ところが最近では、欧米諸国はもちろんの事、インドやマレーシア、フィリピンなどさまざまな国の物件を、エージェントを介して一般の人でも購入ができる環境が整いつつあります。

これらの特徴を「国内新築一棟投資」のように組み合わせて、自分にあった不動産投資を見つけることがとても重要です。

不動産投資を取り巻く現状

ここ数年の不動産投資市況は、日銀の「マイナス金利政策」による低金利融資の影響と、「東京オリンピック」への期待による外国人の国内投資よって、東京都心部を中心に不動産価格が高騰している状況です。

銀行はマイナス金利政策によって、不動産投資に対する融資を積極的に行っており、すでに昭和のバブル期の不動産向け貸出残高を超えているほどです。

融資の審査も通りやすく、かつ、金利も非常に低いため、不動産価格が高騰している今でも、無理なく投資をすることができる状況です。

一方で、東京オリンピック効果を期待して購入した中国人や台湾人を中心とする外国の投資家が、東京オリンピック開催を前に、そろそろ売却して利益を確定し始めるのではないかともいわれており、それによる相場の変動が懸念されています。

なお、日本全体としてみれば、人口は減少していますが、東京都についてはまだまだ人口が増え続けているため、不動産需要は依然として高いといえます。

また、2018年6月から施行予定の「住宅宿泊事業法」によって、これまで規制が厳しかったいわゆる「民泊」が事実上解禁になることで、運用の選択肢が増えるため、不動産投資業界にとっては好材料といえるでしょう。

2.不動産投資のリスクと失敗事例

不動産投資に失敗するほとんどの人にある「共通点」

不動産投資を始めるにあたって、事前に必ず知っておくべきことは、メリットよりもむしろ「デメリット」であるといえます。

ここでは、不動産投資で失敗しないために、事前に知っておくべき「リスク」と「失敗事例」について解説します。

2-1. リスク

不動産投資に潜んでいる「リスク」にはさまざまなものがありますが、初心者が必ず知っておくべきリスクは「空室リスク」と「家賃下落リスク」です。

不動産投資をするために組んだローンについては、「家賃収入」で返済に充てることを想定しています。

そのため、部屋が空室になって家賃が入ってこなかったり、当初予定していたよりも家賃が下落してしまったりすると、ローンの返済が苦しくなってきます。

不動産投資で最も避けなければならないのは「ローン破綻」です。

不動産業者によっては、物件を売りつけることだけを考えているケースも多く、「空室リスク」や「家賃下落リスク」を一切教えないまま、物件を購入させる場合があり、ローン破綻に追い込まれてしまう人がいます。

不動産投資をする以上は、「空室リスク」と「家賃下落リスク」を避けて通ることはできません。

そのため、ローン破綻しないためには、あらかじめ空室や家賃下落を想定し、万が一のときにも自己資金でローンが返済できるよう、「余裕のある資金計画」を立てておくことが重要です。

2-2. 失敗事例

不動産投資に失敗するほとんどの人には、ある「共通点」があります。
それは下記2つの「よくある失敗事例」を読むことでおわかりいただけます。

失敗事例1

不動産業者から「家賃10万円は取れる物件だから」と言われ、それをベースにしたローン返済計画を立てて購入。

ところが実際は賃貸物件が供給過剰なエリアで、家賃8万円程度がやっとの状況だった。結果、不動産投資開始直後から赤字キャッシュフローになってしまった。

失敗事例2

不動産業者から割安な「掘り出し物中古物件」があると言われ、確かに相場よりも安かったためローンを組んで購入。

ところがその物件はメンテナンス状態がひどく、改修工事などにかなりの費用がかかってしまった。

この2つの事例の共通点、それは不動産業者や営業担当者のトークの中で「メリット」だけを「鵜呑み」にしている点です。

そして、このように鵜呑みにして失敗した人は、必ずと言っていいほど「〇〇会社に騙された」「〇〇さんに騙された」などと言い訳をします。

残念ながら、それは大きな間違いです。

そもそも不動産業者は営利企業ですから、投資家を儲けさせることよりも、自社が儲けることが第一です。

ですから、メリットだけを強調して営業してくることは、ある意味当然なのです。

成功している不動産投資家は、このような営業トークを参考にはしても、絶対に「鵜呑み」にはしません。

先ほどの事例1で言えば、必ず自分自身でも周辺の家賃相場を地元の不動産業者に聞いて回る、事例2で言えば、実際に現地まで建物の状態を確認しに行く、などといったことをしていれば、失敗は未然に防げたはずです。

このように、不動産投資の失敗事例の多くは、不動産業者の言うことだけを「鵜呑み」にした結果であるということをよく覚えておきましょう。

3.不動産投資を始めるために必要な知識

本に腰掛けるビジネスマン

最後に不動産投資を始めるにあたって、これだけは必ず覚えておくべきという知識について解説します。

その1:不動産投資の「お金」にまつわる必要知識

MEMO

利回りに関する知識

不動産投資がどのくらい儲かるのかを見比べる重要な指標となるのが「利回り」です。

利回りとは、「年間家賃収入に対する物件価格の割合」のことで、下記の計算式によって導きだされます。

利回り=年間家賃収入÷物件価格×100

例えば以下の2つの物件があるとします。

X物件とY物件の比較

 

X物件:年間家賃収入100万円 物件価格3000万円
Y物件:年間家賃収入50万円  物件価格1000万円

パッと見ただけでは、どちらのほうが儲かるのか解りにくいですが、それぞれの利回りを計算すると一目瞭然です。

X物件:100÷3000×100=3.33%
Y物件:50÷1000×100=5.00%

よって、Y物件のほうがより投資に対するリターンが良い優良物件であることがわかります。

複数の投資物件を比べる際には、必ず「利回り」を計算するようにしましょう。

MEMO

減価償却費に関する知識

先ほど節税の部分で出てきた「減価償却費」についてもう少し詳しく解説します。

減価償却費とは「ものの劣化代」と考えるとイメージしやすいかと思います。

仮に1億円の建物を購入したとして、減価償却という仕組みがないとすると、購入した初年度の確定申告は1億円の大赤字となります。

ところが、翌年からは家賃収入が入ってきて支出はほとんどなくなるため、大幅な黒字となります。

これでは会計上のバランスが悪すぎます。

そこで「建物のような劣化していく資産については、その耐用年数に応じて徐々に経費として計上していきましょう」というのが減価償却の考え方です。

木造であれば22年、鉄筋コンクリートであれば47年かけて徐々に購入価格を経費として計上していくのです。

減価償却の仕組みを正しく理解できていないと、不動産投資の「節税」の仕組みもよく分からないままになってしまいますので注意しましょう。

MEMO

必要経費に関する知識

不動産所得の確定申告をするうえで、非常に重要となってくるのが必要経費です。

不動産投資で節税するためには、不動産所得をできるかぎり低く抑えるか赤字にする必要があるため、経費として計上できる「必要経費」がどの程度まで認められるのかがポイントとなります。

不動産投資の必要経費として認められるものには、以下のような項目があります。

  • 不動産業者へ支払う仲介手数料
  • 登記費用
  • 固定資産税
  • 印紙代
  • 物件現地までの交通費
  • 原状回復費用
  • その他諸修繕費用

認められる範囲は、あくまで不動産投資に関連して支出した費用に限られます。
支出した経費をもれなく計上することが、節税のためにも非常に大切です。

その2:不動産投資の「契約」にまつわる必要知識

MEMO

手付金に関する知識

不動産投資で物件を購入する際には、売買契約締結時に「手付金」を売主に対して支払います。手付金はそのまま売買代金の一部に充当されます。

万が一売主が売買契約を解除したくなった場合は、手付金を放棄することで契約を解除することが可能です。

反対に買主が売買契約を解除したい場合は、手付金を2倍にして相手に返還します。

これを「手付倍返し」といいます。

また、売買契約をしてから一定期間が経過した後に解除しようとすると、手付金よりも高額な「違約金(売買代金の20%程度)」が発生しますので注意しましょう。

MEMO

重要事項説明に関する知識

不動産を購入する際、売買契約に先立って行われるのが「重要事項説明」で、説明に用いられる書類を「重要事項説明書(通称「重説」という)」といいます。

重要事項説明書とは、不動産の詳細な情報が書かれた書面で、所有者などの権利関係に関する情報や、建物設備などの情報までありとあらゆることが書かれています。

重要事項説明は、半日から丸一日かけて丁寧に行われます。

初心者の場合は事前に重要事項説明書の写しをもらって、重要事項説明の当日までに予習しておくとスムーズです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

不動産投資というと、初めての方にとってはハードルが高く感じるかもしれませんが、実際にやってみると意外と簡単です。

今回ご紹介した不動産投資の知識と、具体的なリスクさえ理解して適切な対策を施しておけば、初心者でもほぼ失敗しない不動産投資が可能になるでしょう。

棚田 健大郎

棚田 健大郎

行政書士

行政書士・マンション管理士・宅地建物取引士・管理業務主任者・敷金診断士・ファイナンシャルプランナー。大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。行政書士、マンション管理士、ファイナンシャルプランナーなどの資格を取得し、棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。