不動産投資コラム

遠方の不動産投資を失敗させないためのポイントとは

2020/02/16
行政書士棚田 健大郎
遠方の不動産投資を失敗させないためのポイントとは

前編 では遠方で不動産投資をすることのメリット・デメリットをご紹介しました。
遠方の物件購入・賃貸経営をすることによるデメリットの多くは、事前の対策次第でほとんどを解消することが可能です。

そこで後編では、遠方の物件に投資する場合のポイントや、具体的な対策などについて解説します。

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ある程度はエリアをしぼる

投資エリアについては、狭すぎるとリスク分散になりませんし、広げすぎると購入時も賃貸経営時も前編 で解説したようなデメリットが生じてしまいます。

そこで、自宅近くのエリア以外すべてを選択肢に入れるのではなく、関東圏、関西圏、北海道、といった具合に、大まかなエリアを絞ることで、デメリットを最小限におさえることが可能です。

東京、大阪、沖縄でそれぞれ物件を1戸ずつ保有するとなると、リスク分散はできるものの、何をするにしても非効率になってしまいます。

東京、千葉、神奈川、埼玉、もしくは、大阪、京都、奈良、神戸といった感じである程度エリアを絞って投資することで、相場観や土地勘が身につきやすくなり、デメリットを解消できるでしょう。

慣習や傾向も身につく

賃貸募集のやり方については、地域によって敷金を取らなかったり、取ったとしても金額の相場が違ったりしますが、エリアをある程度しぼりこめば、地域の慣習や賃貸需要の傾向も身につきやすくなるでしょう。

不動産会社とのパイプ作り

不動産会社

投資対象エリアを広げるためには、信頼できる不動産会社と担当者とのパイプ作りがとても重要になってきます。

遠方の物件をすぐに見に行けなくても、信頼できる担当者が探してきてくれた物件であれば、写真や動画だけで購入を決断することも可能になるでしょう。

複数の不動産会社に次々問い合わせて物件を探すことも重要ではありますが、遠方まで手を伸ばすのであれば、気軽に相談できる担当者を作ってパイプを太くしていくことが重要です。

1つの不動産会社で2物件以上購入すれば、見込み顧客として大切に扱ってもらいやすくなる傾向があるので、遠方の物件に投資をする場合も、できれば同じ不動産会社の担当者に仲介してもらって買うとよいでしょう。

見込み顧客・お得意様になることのメリット

一見さんを敬遠するお店があるように、不動産会社も一見さんより何度も買ってくれる投資家の方を優先して対応してくれます。有力な見込み顧客、お得意様だと認識してもらえると、次のようなメリットを受けられる可能性があります。

未公開物件の情報提供

価格が相場よりも安い高利回り物件については、インターネットなどで募集を開始するとすぐに決まってしまいますが、見込み顧客、お得意様になれば、そういった市場に出回る前の優良物件の情報を、優先的に教えてもらえるようになります。

現地確認の代行

遠方で現地を確認することが難しい物件の場合でも、担当者が代わりに内見をして写真や動画を撮ってきてくれる可能性があります。

契約に来てくれる

通常、売買契約をする際には不動産会社の事務所まで出向いて重要事項説明を聞かなければなりませんが、お得意様となれば、自宅まで担当者が宅地建物取引士と一緒に出張して手続きをしてくれる場合もあります。

融資が通りやすくなる

不動産会社は金融機関と提携しているケースが多いので、お得意様として認識してもらえれば、他で単独でローン審査を出すよりも、審査が通りやすくなります。

管理会社との関係構築

管理会社

遠方の物件を安定的に運営していくためには、自分一人で管理することは難しいため、管理会社への委託が必須です。

前編 で解説したデメリットの多くは、管理会社との信頼関係さえ構築できていれば、デメリットではなくなります。

管理会社選びのポイント

管理会社は大きく分けて、「賃貸管理に強い会社」と、「賃貸募集に強い会社」がありますが、遠方の物件に投資する場合については、何かあった時に素早く対応してもらいやすい「賃貸管理に強い会社」を優先して探すことをおすすめします。

賃貸募集の面については、近隣の不動産会社にもマイソクを渡して募集してもらい、申し込みが入った後の手続きについては、管理会社を窓口とすることで十分補うことが可能です。

賃貸管理に強い会社の見分け方

管理会社のホームページを見て、次に該当する内容が書かれていれば、その管理会社は賃貸管理に強い会社である可能性が高いです。

土日祝日はもちろんの事、年末年始、ゴールデンウィーク、お盆などの長期休みの時でも、緊急対応の窓口を開けている管理会社であれば、賃貸管理に強いとみてよいでしょう。

管理戸数と社員数のバランス

管理戸数が多いことは決して悪いことではありません。ですが、社員数に比べて物件数が多すぎる会社ですと、対応を後回しにされる可能性があります。

中小企業の管理会社の場合、従業員10名に対して管理戸数が2,000戸以上となると、1戸あたり十分な対応が行き届かない可能性が出てくるため注意が必要です。

事前に一度電話で問い合わせをして、1名でおよそ何物件を担当しているのか聞いてみるとよいでしょう。

既存管理物件の視察

その管理会社がすでに管理している物件の現地を確認することで、管理会社の質を直接確認できます。管理を適切に行なっていれば、空室が少なく、清掃も行き届いているはずです。

緊急対応業者と別途契約するという選択肢も

どうしても賃貸管理を得意としている不動産会社がないという場合は、緊急対応を専門としている業者と別途契約するという選択肢もあります。

緊急対応業者とは、戸あたり年額、もしくは月額料金を支払うことで、水漏れ、雨漏り、エアコン故障、鍵紛失といった緊急対応について、大家や管理会社に代わって専用のコールセンターで受付をした上で、緊急出動してくれる業者のことです。

費用としては、2年間で戸あたり15,000円、月額数百円程度から利用ができますので、緊急対応できる管理会社が見つからない場合は、選択肢の1つとして検討してみましょう。

知らない地域の土地勘をカバーする方法

土地勘

遠方の物件を購入するとなると、どうしても補えないのが土地勘です。

例えば、地方の投資家の方が都内の物件を購入する場合、山手線や中央線など全国的にも有名な路線が最寄駅の物件であれば、ある程度わかると思いますが、都電荒川線などマイナーな路線となると、イメージがしにくくなります。

「都電荒川線 面影橋駅徒歩1分」と聞くと、地方の方にしてみれば、山手線の内側で駅徒歩1分だからそれなりに家賃が高くとれそう、と感じるかもしれません。

ですが実際には、都電荒川線で通勤通学をする人は少なく、徒歩15分以上歩いて高田馬場駅を利用することになるため、家賃が安くなる傾向にあります。

こういった地域性の高い諸事情については、住んでみないとなかなかわかりません

民泊を使ってみる

現地に視察に行く余裕がある場合は、ビジネスホテルではなく、近隣の民泊物件に宿泊してみると、より周辺の環境や土地勘を理解しやすくります。

都内など都心部については、投資用ワンルームでも民泊営業している部屋が多数ありますので、せっかく現地まで行くのであれば、近隣の民泊物件をairbnbで探して実際に泊まってみるとよいでしょう。

まとめ

不動産投資で遠方の物件に投資することは、投資の選択肢を広げてリスク分散することができるため、決して悪いことではありません。

ただ、自宅から遠いがゆえのデメリットもあるため、不動産会社や管理会社と友好な関係を築いてサポートしてもらうことがとても大切です。

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棚田 健大郎

行政書士

棚田 健大郎

行政書士

大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

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