不動産投資コラム

不動産鑑定士が見た、地価が上昇する土地の特徴5つ

不動産鑑定士が見た、地価が上昇する土地の特徴5つ

不動産鑑定士は、日々たくさんの土地を調査し、鑑定をしています。
地価は国内や海外の経済情勢や地域の発展の状況など、あらゆる要因が組み合わさって形成されます。
そして、地価が上がるにはいくつか理由があるのですが、今回は、地価上昇に影響を与える特徴を5つに絞って、説明していきたいと思います。

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1.開発が進む街

まず、ひとつ目は、その不動産が所在する地域において、開発が進んでいるかどうかということです。
全国の主要都市における高度利用地の地価の動向を表すものに、国土交通省が3か月ごとに公表する「地価LOOKレポート」というものがあります。

このレポートの最新版(平成30年7月1日~平成30年10月1日の動向)では、東京都新宿区および渋谷区、神奈川県横浜市の地点で大きく上昇(オレンジ色の矢印、3%以上6%未満)していることが分かります。

地価LOOKの再開発
国土交通省 主要都市の高度利用地地価動向報告~地価LOOKレポート~を加工して作成

これは、他の地域よりも大きい上昇幅なのですが、現在、この地域で進行中または計画されている再開発の影響があるものと考えられます。

新宿の場合でいくと、世界一乗降者数が多い「新宿」駅の再整備方針である「新宿グランドターミナル」構想が公表され、20年後を見据えた一体開発の計画が始動しています。

また、TOKYU MILANO跡地を中心とした「歌舞伎町一丁目地区開発計画(新宿 TOKYU MILANO再開発計画)」などがあります。
都内有数の観光拠点である新宿歌舞伎町エリアに、地上40階地下5階、約225mの高層複合施設(ライブホール、映画館、ホテルなど)を計画しており、これにより、地域の発展の期待が高まっています。

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渋谷では、旧東横線渋谷駅のホームおよび線路があった土地に建てられた複合施設「渋谷ストリーム」と「渋谷ブリッジ」がオープンしました。

渋谷駅から南側のエリアがつながり、回遊促進が期待されています。今後も2019年度の渋谷スクランブルエリア東棟、道玄坂一丁目駅前地区、宮下公園など、開発計画が相次いでいることが地価上昇の要因になっています。

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さらに、横浜では、横浜駅の西口で、新たなランドマークタワーが建設されています。「JR横浜タワー」は26階建の複合商業施設でエンターテインメントに力を注いだ施設となります。歩行者通路でつながる「JR横浜鶴屋町ビル」も2020年の開業を目指しているなど、ますます注目が集まっています。

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2.新駅・新線が計画されている街

続いてもイメージしやすいと思いますが、新しい鉄道駅ができたり、新しい線が通ることで地価は上昇します。

INVEST ONLINEのニュース記事でも取り上げられていますが、新しい交通手段ができることによって、利便性が高まりますし、新駅の周りの施設が整備されることによって、地域が発展していくためです。

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また、大きな注目を集めている「リニア中央新幹線」が新たに通ることとなる地域の地価も著しく上昇しています。

これまで、「名古屋」駅の東側にくらべ、地価水準が低かった駅西側では、リニアの効果も期待され、急激に地価が上昇しています。

「品川-名古屋」間の開業予定は2027年と少し先ですが、下表の地価調査の基準地(中村(県)5-4)の地点などでは、継続して高い上昇率が続いています。

地価の推移(名古屋中村5-4)
H30 6,320,000 +14.7
H29 5,510,000 +28.1
H28 4,300,000 +32.3
H27 3,250,000 +36.0
H26 2,390,000 +10.1

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同じく、リニア中央新幹線の新駅が予定されている神奈川県相模原市の「橋本」駅周辺でも、周辺地区より突出して、高い上昇率を示しています。

下の参照先をご覧いただくと、「橋本」駅周辺では商業地も住宅地も大きく上昇しており、リニアの期待が地価に表れていることがわかります。

参考情報:相模原市 橋本駅周辺の地価動向(H30 地価公示・H30 地価調査結果)

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3.インバウンドに人気のある街

最近よく耳にするインバウンド(訪日外国人)の影響が地価にも影響しています。

下表は平成30年の地価調査の全用途における上昇率の一覧です。驚かれるかもしれませんが、上昇率トップ10のうち、北海道虻田郡倶知安町が4地点、京都府京都市が4地点を占めています。

地価上昇率
国土交通省 平成30年都道府県地価調査を加工して作成

これは、インバウンドの効果が顕著に出ている例といえます。
特に倶知安町では、もともと地価が安いので、上昇率がすごいことになっています。

ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、倶知安町はニセコ観光圏で、冬はパウダースノーで世界的に有名なスキー場があり、夏はラフティングなどのアクティビティを楽しむことができるため、近年、特に外国人に人気の高い観光地となっています。

関連する宿泊需要に伴い、別荘、ホテルなどの建設ラッシュが続き、地価は急上昇しています。

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また、京都については、言わずと知れた日本随一の観光都市であり、訪日外国人の急増に伴って、ますますホテル等の需要が高くなっており、土地は高値で取引されています。

なお、ランキングには入っていませんでしたが、インバウンドでにぎわう大阪「ミナミ」にある地価調査の基準地(中央(府)5-3)でも、18.3%の上昇率と依然として高い上昇率を示しています。

このようにインバウンドの増加が地価に影響を及ぼすというのは、最近の特徴といえます。

4.規制緩和

福岡県福岡市の「天神地区」の地価が急上昇しています。

下表は地価調査の基準地(福岡中央(県)5-15)の地価推移ですが、平成30年には、20.4%と大幅な上昇となりました。

地価の推移(福岡中央5-15)
H30 6,200,000 +20.4
H29 5,150,000 +16.5
H28 4,420,000 +14.2
H27 3,870,000 +11.2
H26 3,480,000 +2.4

理由としては、全国的なオフィス需要の高まりによる空室率の低下という要因などに加え、「天神ビッグバン」構想というものが影響しているようです。「天神ビッグバン」とは、アジアの拠点都市としての役割や機能をさらに高め、新しい空間と雇用を創出するプロジェクトで、民間ビルの建て替えを誘導し、ビルの延床面積を約1.7倍にしようとするものです。

国家戦略特区に指定され、航空法によるエリアの高さ制限が緩和されたり、地区計画によって容積率の割増しが可能となったりしています。このような規制緩和により、ビルの収益力が高まるなど、土地の有効利用度がアップするため、需要者が増え、地価の上昇要因につながっているといえるでしょう。

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5.震災復興

大きな地震など震災という要因は、地価にマイナスの影響を与えます。一方で、震災後の復興が順調に進み、経済活動が活発になってくると、地価は大幅な上昇を示すことがあります。

下表は地価調査の基準地(熊本中央(県)5-14)の地価推移ですが、平成29年には15.0%、平成30年には、21.1%と近年にはない上昇幅となっています。平成28年4月に起こった熊本地震から、2年半を経過し、着実に回復が進んでいることから、商業地を中心に地価が急上昇したと考えられます。

地価の推移(熊本中央5-14)
H30 1,950,000 +21.1
H29 1,610,000 +15.0
H28 1,400,000 +2.9
H27 1,360,000 +1.5
H26 1,340,000 →0.0

まとめ

地価はさまざまな要因によって変化しますが、大きく上昇している地点では、上記のような何かのプラス要因があるはずです。

直近では、2020年の東京オリンピック、2025年の大阪万博など、その地域の地価上昇につながる材料もあります。

不動産投資を検討されている方は、今後の開発計画や新駅の動き、法律や地区計画の変更など社会の動きに敏感に反応することをお勧めいたします。

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堀田 直紀
堀田 直紀

堀田 直紀

不動産鑑定士

堀田 直紀

不動産鑑定士

不動産鑑定士試験合格後、民間最大手の大和不動産鑑定株式会社にて約11年間、収益物件をはじめとした鑑定評価業務に従事。平成29年10月、ミッドポイント不動産鑑定株式会社を設立。

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