コラム

借地権つきの土地「底地」の魅力とリスク[後編]

2018/06/28
借地権つきの土地「底地」の魅力とリスク[後編]

前回、「底地」投資について考える前に、借地権(旧法借地権)と底地の性質についてお話しました。

関連記事:借地権つきの土地「底地」の魅力とリスク[前編]

たしかに、「底地」には次のようなデメリットがあるため、投資対象物件とするにはなかなか難しいのですが、同時にメリットもあることをご紹介しました。
ここで再度、メリットとデメリットをみてみましょう。

底地のデメリット①:収益改善が困難
借地権(旧法借地権)の場合、明治期~昭和初期に締結された土地賃貸借の賃料(地代)は非常に安く設定されているケースが多く、収益を改善しようとしてもなかなか改善ができないという性質があります。

底地のデメリット②:流動性・担保力が低い
権利関係も複雑にからんでいる可能性があるため、担保不動産として銀行融資を受けるのが難しいという実情があります。

底地のデメリット③:価格は想定価格より低くなりがち
完全所有権と対比すれば、底地の市場価格は低くなる傾向です。

底地のメリット①:空室リスクが少ない
契約が途切れず長く継続する底地の場合、一棟収益ビルなどと比較して、空室リスクは低いと考えられます。

底地のメリット②:滅失リスクが低い
底地は土地なので、建物と比べ、災害などによる建物の滅失リスクは低くなります。

底地のメリット③:管理の負担が少ない
建物と比べ、保守・修繕費がかからないのでランニングコストが少なくてすみます。

そもそも、底地に投資する最大のメリットは、長期安定的な賃料収入が得られ、維持管理の手間がほとんどかからない点だと考えられます。では、投資対象となる底地とはどのような特徴があるか考えてみましょう。

1.投資対象となる底地のチェックポイント

①借地契約内容がしっかりと整備されている

借地契約は古いものでは明治期、大正期に契約を締結したのち、現在まで口約束で継続しているものも散見されます。
したがって、土地賃貸借契約が書面でしっかりとのこっている、契約内容がしっかりと把握できることが大前提だと考えられます。
せっかく投資採算性のある地代が見込める底地だなと思って購入したものの、実は契約内容がボロボロ、契約内容がしっかりと固まっていなかったばかりにトラブルに…。なんてことになりかねません。
また、長期にわたる借地契約の場合、世代交代がおきていることがほとんどです。かりに過去、賃貸借当事者で借地契約書が取り交わされていたとしても、地主・借地人ともに世代交代がおこっていた場合、そもそも契約書がどこにあるのか把握していないケースも多々あります。
登記簿謄本を取得し、賃貸借契約当事者に世代交代がおこっていないかを事前に調査することは必須でしょう。

②借地、建物の現状使用状況を確認する

地代がしっかりと支払われるかどうかは、土地賃借人の属性をしっかりと把握する必要があります。そのために、
・借地上の建物がどのような用途で使用されているのか
・建物は実際には誰が使用しているのか
・地主に無断で増改築や建て替えなどがなされていないか
を調査する必要があります。
たとえばですが、居住用の建物の使用目的で土地を賃貸借していたにもかかわらず、勝手に建物用途を店舗として使用していた場合、土地にかかる固定資産税(及び都市計画税)が増額になるケースもなきにしもあらずです。
そうなれば、当然、固定資産税等に対して地代収入が割に合わなくなるケースが考えられます。
また、借地上の建物が違法増改築・建て替えなどされているのであれば、同様に地代収入が割に合わないケースも考えられます。
したがって、借地、建物が現状ではどのように使用されているのかを事前調査することが重要と考えられます。

③土地の測量がなされているか、または借地部分が明確化されているか

たとえば、一筆の土地に複数の複数の借地人がいた場合に、その一部分のみを投資購入対象とすることを想定しましょう。
一部の底地を購入するとなれば、分筆を行う必要があります。分筆するためにも底地の実測測量を行う必要があります。
測量は、借地人の承諾を得ずに行えます。地主の土地ですからね。ただし、後々のトラブルを避けるためにも、関係するすべての借地人の了承を得たほうがトラブル防止になると思われます。
測量を行ったのち、借地境界確認書などを交わし、そのうえで分筆申請を行うといった流れになるでしょう。

くり返しになりますが、借地契約は相当以前から原契約が開始されているケースが多く、測量を行った結果、実測面積が登記されているよりも広かったり狭かったりする、いわゆる「縄のび」や「縄縮み」が生じていることも十分に予測されます(ちなみに、昔は縄の結び目をつかって土地の面積を測量していたことから、測量後の誤差を「縄のび」とか「縄縮み」といっています)。
当然、土地の面積が当初思っていた広さと異なるのであれば、地代を増額または減額交渉する必要性がでてくるでしょう。

2.底地は本当に投資対象物件になる?

これまで見てきたとおり、底地を投資対象物件とするには、相当の知識が必要であることは否めません。
しかし、底地の特性を理解し、投資対象となる底地を選定できるのであれば投資対象とすることは十分可能ですし、安全な投資物件であるともいえると思われます。
なんにせよ、まずは現行の地代設定が相場としてどのような水準に位置するかを把握することが先決です。
一般的には、
・住宅地で固定資産税(および都市計画税)の3倍~5倍程度
・商業地で固定資産税(および都市計画税)の2倍~3倍程度
が相場の地代と言われているようです。

商業地が住宅地と比べて倍数が小さいのは、商業地のほうが住宅地と比較して固定資産税(及び都市計画税)が高額になるケースがほとんどだからです。
しかしながら、これもあくまでも目安にすぎず、さまざまな事情により相場は変動することでしょう。
そのためには、専門家(税理士、不動産鑑定士など)に相談して地代の相場水準を把握することも必要でしょう。

3.まとめ

これまで、底地が投資対象となるのか、について考察してみましたが、さまざまなメリットもあればデメリットがあることもご理解いただけたかと思います。
建物のように物件そのものに傷がついたり、なくなってしまうリスクがほとんどなく、地代も安定的に見込め、維持管理や修繕の必要もない。

一見すればメリットも目につきますが、裏にひそむ複雑な手続き、地代の相場観が極めてつかみにくいものであること、これを頭に入れたうえで投資対象とするか検討していただければと思います。

峰 祐介

峰 祐介

不動産鑑定士

金融機関からの担保不動産評価を中心に、近年は弁護士からの借地借家非訟事件に伴い適正賃料評価に注力。賃料評価、借地権・底地評価の相談を多く手掛けている。

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