不動産投資コラム

トラブル頻発はなぜ?競売物件の魅力とリスク

弁護士上野 晃
トラブル頻発はなぜ?競売物件の魅力とリスク

ご承知のとおり、競売物件の購入は通常の不動産物件の購入とは異なります。
何が異なるのでしょうか。

今日はそのあたりについてお話したいと思います。

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競売物件と通常の物件の違い

競売物件というのは、例えば借金を支払うことができない人が所有する不動産について、裁判所を介して強制的に売却をする手続きの対象物件を言います。

所有者が本来売却を望んでいないということが、ひとつの大きな特徴です。
通常の売買の場合、そんなことは起き得ませんよね。この点が、トラブルが生じる素地がある点です。

所有者が望む売買ではないこと、裁判所が介在している売買であることといった特徴から、買手は自分自身で物件情報を取得することになります。物件情報はインターネットで容易に取得できます。

競売手続きの流れ

ここで簡単に競売の手続きの流れについて説明しましょう。
先ほどお話したように、不動産の競売が行われるということは、その不動産の所有者が借金を負っていて返済ができていないという事実があることを意味します。

つまり不動産の所有者は債務者であり、債権者が存在するということです。
そして、競売手続きの申立は、債権者によって行われるのです。

かかる競売手続きの申し立てを受けた裁判所が競売開始決定を出すと、いよいよ競売手続きのスタートです。

入札までの流れ

現況調査

まずは現況調査が行われ、裁判所が選任した評価人と執行官が不動産を訪問します。
評価人とは不動産鑑定士の資格を有する裁判所が指定した者で、この人が不動産の評価を行うのです。

なお、この現況調査において、債務者が訪問を拒むことはできません
これは法律で決まっています。鍵をかけていたとしても、こじ開けられます。

かかる現況調査を踏まえて、現況調査報告書評価書というものが作成されます。

これに物件の概要を記載した物件明細書を加えて、よく3点セットなどと言われます。

一般公開・入札

その後、入札期間や開札日が決められると、いよいよ物件が一般公開されます。
買い手の方々の目に触れるのはこの段階です。

ちなみに、入札には期間入札というタイプと期日入札というタイプがあります。

期間入札というのは概ね1週間程度入札の期間が設けられているものです。
それに対し、期日入札とは、入札期間が1日だけのものとなります。

入札において、誰がどの金額を付けているかというものは分かりません。
それ故に、他の人の動向をみながら金額を決めるということはできません

このように競売手続きというのは、裁判所ががっちり介在したものなので、売り手と話し合いながら金額を決定したり契約内容を調整したりすることができません
さらに当該物件に隠れた瑕疵があった場合、買手はその瑕疵について文句を言えません

こういったところは、通常の売買とは大きく違っており、買手に非常に不利な部分です。

それでもなお、競売によって不動産を取得することを望む方が相当数いらっしゃる理由は非常にシンプルです。
そう、安い!これにつきます。

特に不動産業者さんにとっては、買い取ってリノベして売却すれば大きな利益になることもあり、魅力的な買取手段のひとつと言えるのではないでしょうか。

起きやすいトラブル

デメリットがあってもなお魅力的な競売物件ですが、当然のことながらトラブル事例はあります。

しかも、そもそも「競売物件は売り手が望んでいない売却」であるという特徴を否応なく有していることから、トラブルは生じやすいと言えます。

以下、代表的なトラブル事例です。

立退きトラブル

立退きのトラブルは決して競売物件だけのトラブルではありません。
しかし、売り手の協力が得られにくいという点で、トラブルが発生しやすいと言えます。具体的な立退きの方法等については、別途お話させていただきます。

区分マンションの管理費や修繕費の滞納金も?金銭トラブル

管理費や修繕費の滞納金については、評価額において滞納額を差し引いて算出されているため、滞納トラブルが法的に発生するというのは起きないというのが「建前」です。

しかし、執行官による調査で滞納が見落とされていた場合など、現実には競売買取後の滞納金銭トラブルに巻き込まれるということは多々あります
これも売主が自主的に売る任意売却では(売主が事前に説明するのが通常のため)発生しにくいトラブルです。

修繕費等が多額になる可能性

修繕費

これは非常に問題です。
例えば不動産会社さんが買い取ってリノベして売りに出そうと考えていた場合、買い取った後にいろいろな欠陥が判明し大変な修繕費用を要するといったことも十分あり得ます。
そうなったら利益どころではありません。

競売にはこうしたリスクは必ず潜んでいます。
それ故に、入札をする前に、物件について可能な限り(裏情報も含めて)調べておくことが非常に重要です。

その他、いざ買い取って中を見てみたら予期せぬ残置物があったといったこともあります。

以上、競売物件について、ざっとご説明しました。
競売物件はデメリットも多くありますが、そうしたリスクを踏まえても魅力があるのは否めません。
慎重にかつ上手に活用なさることをお勧めします。

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上野 晃

弁護士

上野 晃

弁護士

早稲田大学卒業。2007年弁護士登録(東京弁護士会)。賃貸不動産オーナー対象のセミナー講師も多数務める。共著に『弁護士からの提言 債権法改正を考える』(第一法規)がある。

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