コラム

知っておきたい「抵当権」と「根抵当権」 [後編]

2018/05/31
知っておきたい「抵当権」と「根抵当権」 [後編]

前編では、「抵当権」と「根抵当権」の違いや、「連帯保証人」と「連帯債務」の違いについて解説しましたが、今回は抵当権・根抵当権が実行されるとどうなるかについて解説いたします。
また、ローン返済したあとに気を付けるべき「抵当権抹消登記」についても触れたいと思います。

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抵当権・根抵当権が付いたまま名義変更はできる?

抵当権と根抵当権ともに、返済が受けられなかったときには強制的に競売の手続きを取り、その売却代金から優先的に返済を受けられますが、債権者がその不動産を実際に占有して使用するわけではありません。
つまり、抵当権や根抵当権が付いていたとしても、不動産の占有自体は所有者であることに変わりはなく、所有者がその不動産を使用し、収益を上げることができます

所有者自身が不動産を自由に使用できるので、ご自身の親族に不動産を贈与したり、売却したりして、不動産の名義も自由に変更できるように思われます。
しかしながら、金融機関や保証会社と締結した契約の中で、「債権者の承諾」がなければ担保物件の現状を変更したり、第三者のために権利を設定したり、譲渡したりすることができないという条項があるはずです。

譲渡とは、不動産等の財産を譲り渡すことで、有償無償は問いません。贈与や売買もこの譲渡に当たりますので、新たに管理会社を設立して、その会社に担保不動産を売却するためには、金融機関の事前の承諾が必要となります。
金融機関の承諾を得ず、勝手に名義変更をしてしまうと、契約違反になり一括返済を求められてしまう可能性がありますので、担保不動産の名義を変更する場合には、必ず金融機関の承諾を得ましょう。

抵当権・根抵当権の実行とは?

収益不動産の購入の際に金融機関から融資を受け、抵当権もしくは根抵当権を設定しているが、何らかの理由により毎月のローンの返済が滞ってしまった場合、金融機関は実際に抵当権もしくは根抵当権を実行することになります。
では、その際、どのような手続きを取るのでしょうか。

競売の申し立てによる差し押え

債権者は、ローンの支払いが滞り回収が難しいと判断した場合には、抵当権の実行として、裁判所に競売の申し立てをすることにより、不動産を差し押さえることになります。
裁判所は、競売の申し立てを認めると、競売開始の決定を出し、管轄法務局に差し押えの登記を依頼します。

なお、同一の不動産に対して、複数の差し押えの登記をすることもできます。
差し押えの登記がされたとしても、所有者はその不動産を自由に処分することができるとされていますが、差し押えをした債権者が優先するので、執行手続上は、その処分がないものとして取り扱われてしまいます。

抵当不動産の競売による売却

債権者から裁判所に対し競売の申し立てがなされることによって、不動産に差し押えの登記がなされ、競売による売却の手続きに入ります。
債権者から競売の申し立てがあると、裁判所から委嘱された不動産鑑定士が不動産の評価を行います。そして競売の価格を決定し、入札の期日に競売が実施されることとなります。

競売物件の買受人の決定は、最高金額の入札者に決定されます。この買受人は、定められた期間内に競落代金を裁判所に納付しなければなりません。代金を納付すると、その不動産の所有権を取得するので、裁判所は不動産に設定されているすべての抵当権等の抹消登記や、買受人への所有権移転登記を行い、競売は終了します。

担保不動産収益執行

抵当権の実行の方法として、担保に入っている不動産を競売にかけ、売却代金から返済を受ける方法のほか、「担保不動産収益執行」という方法があります。
これは、担保の目的となっている不動産を賃貸し、その賃料から債権の回収を図ろうとする執行方法です。主に、賃貸ビルや賃貸マンションなどの投資用不動産で採用される方法と言われています。
この場合、不動産には差し押えの登記がなされるため、所有者は自由に不動産を収益処分することが出来なくなり、賃料も裁判所が選任する管理人が徴収することになります。

差し押さえた不動産を競売するか、担保不動産収益執行のどちらを選択するかは、債務者が決められることではなく、債権者が選択し裁判所に申し立てることにより開始します。

忘れてはいけない抵当権抹消登記

これから不動産の運用がうまく進み、金融機関から受けたローンを返済した場合、不動産に設定されている抵当権の登記を抹消する必要があります
このとき、金融機関から抵当権を抹消するために必要な書類が交付されます。
しかし、この書類を受け取ったとしても、なかなか抵当権抹消登記を申請せずに、そのまま放置してしまう方も多くいらっしゃいます。確かに、抵当権の抹消登記を申請しなくても何ら不利益はないとも思われますが、そのままでは新たに金融機関から融資を受けることが難しくなってしまいます
金融機関としては、自分達の担保より優先する抵当権がすでに登記されている不動産には、通常融資はしないからです。

今後ご自身が所有する不動産を有効に活用するため、必要な書類を受け取りましたら、早めにお手続きをすることをおすすめします。

関連記事:知っておきたい「抵当権」と「根抵当権」 [前編]

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宮﨑 辰也
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宮﨑 辰也

司法書士

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