不動産投資コラム

低費用でできるリフォームは空室対策に効果あり?

一級建築士遠田 将徳
低費用でできるリフォームは空室対策に効果あり?

なかなか埋まらない空室は、賃貸経営する大家さんを悩ませる問題です。
空室期間が長くなるとこんな言葉が頭をよぎったりしませんでしょうか。

「家賃が高いのかなあ…」
「こんな古い設備では今どきの入居者は…」
「畳からフローリングに変えた方が…」 等々…

そんな不安を打ち消すためには競合物件との差別化を検討してみてはいかがでしょうか?
費用を抑えて差別化できる、効果の高いリフォームをご紹介します。

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本題に入る前に/リフォームは最優先事項ではない

効果の高いリフォームを紹介します!と言いながらも、まずは大事なことをお伝えしなければなりません。
賃貸業界に長くかかわってきた私としては、空室対策として検討すべき事項はまず募集内容、次に不動産屋さんへの営業、その次に考える項目です。
リフォームというのはあくまで「空室対策の一つの方法であり、空室対策として検討する優先順位は3番目」でしかありません。

効果の高いリフォームは…これだ!あれだ!それはいくらだ!という明快なものを期待された方、大変申し訳ございません。
それよりもまずは考えなければいけないこと、やらなければいけないことがあるのです。

まずは基本に立ち返りましょう。

「空室を埋める」ということについて

そもそも空室を埋める目的とは何でしょうか?

そうです。「収入を上げること」です。

しかしながら多くの方は「空室を埋める」ことが「目的」となってしまい、資金繰りを悪化させていませんでしょうか。大前提を見失っては賃貸経営は厳しくなってしまいます。

自分のマンション・アパートに住んでもらう入居者さんとして、どの層をターゲットにしているのか。そのターゲットにはこのリフォーム投資は必要なのか

空室対策

不動産屋さんが安易に設備導入を勧めるのは、入居案内がしやすいからであって、マーケティングによるものではないと思われます。
リフォーム業者さんも同様です。見積提案時にマーケティング結果やリフォーム後の収支変化を見せて頂ける業者さんはほとんどいないでしょう。

空室を埋める施策としてどんな手段を選ぶのか。それは大家さん自身で決めていかなければいけないことなのです。

リフォームの効果を最大化するために

まだまだ本題に入りませんが、下記はリフォームの効果を最大にするためには必ず実践してほしいことです!

複数物件を所有されている方はまずは優先的にテコ入れをする物件の選定が必要です。
家賃ではなく、稼働率重視で検討しましょう。
その上で、先に述べた通り、以下の順番で空室対策を実施します。

①WEBでの誤記、未記載はない?募集内容のチェック

現代の物件探しでは検索条件を設定してからの検索が一般的です。
駅からの距離、設備、築年数等、誤記や未記載はありませんでしょうか。
検索から外れてしまえば選ばれる回数が減ってしまいます。

また、物件写真はキレイに撮影されていますか?
写真を変えるだけでも十分印象が変わります。

②不動産屋さんへの営業活動

空室を埋めるのは、不動産屋さんの営業の力が必要です。
その方々へ自分の物件を売り込みに行っていますでしょうか。
自分以外にも非常に多くの賃貸物件オーナーがいることを意識するとよいかもしれません。

③リフォーム

①、②を実施するだけでも十分効果がありますので、リフォームはその次に検討しましょう。
また、①、②の実施がなければリフォームの効果も最大化できません
リフォームしても写真が変わっていない、検索項目が変わっていないのでは意味がありませんし、リフォームした内容を営業さんが知らないようでは効果が半減してしまうでしょう。

低費用で効果の高いリフォームとは…

ようやく本題に入ってまいります。

昨年、「全国賃貸住宅新聞2018/105発行号」にて入居者に人気の設備ランキングが発表されました。
「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても入居が決まる」、「この設備がなければ入居が決まらない」の2部門にて集計している毎年恒例のランキングです。

人気設備

※全国賃貸住宅新聞調べ

これを見て頂くと大きな違いではないものの、ターゲットにより、求めているものに違いがある事がわかると思います。

「低費用で効果の高いリフォーム」というのは、「ターゲットに向けたリフォーム」といえるのではないでしょうか。

人気のリフォームの費用例

上記ランキングも考慮しつつ、低費用で効果の高いリフォームをご紹介していきます。

リフォーム費用例
■追い炊き機能 費用:30万円前後~

・ファミリー向け物件には非常に効果のある設備です。入居の決め手になりそうです。
※ガス給湯器交換。浴槽が追い炊き対応可。ドレン排水のための配管工事は別途。

■TVモニター付きインターホン 費用:5万円前後~

・ファミリーでも単身でも入居の条件となる設備の一つとなりそうです。
・賃貸物件の検索サイトでは、有無にチェックをして検索ができます。

■温水洗浄便座に交換 費用:7万円前後~

・ファミリーでも単身でも入居の条件となる設備の一つとなりそうです。
・賃貸物件の検索サイトでは、有無にチェックをして検索ができます。

■浴室換気乾燥機 費用:13万円前後~

・競合物件との差別化になる設備です。
・賃貸物件の検索サイトでは、有無にチェックをして検索ができます。

■畳からフローリングへ変更(6畳) 費用:14万円前後~

・設備ではないため、ランキングには入ってきません。
・不人気と言われますが、ターゲットによって検討してもよいでしょう。
・クッションフロアにする事で、約10万円程度となります。

■アクセントクロス(4.5畳の部屋の一面のみ) 費用:1万円前後~

・一面を変えるだけで雰囲気が変わります。
・安価で効果の大きいリフォームの一つでしょう。

※条件により金額は変動します。特に単独工事での実施は、大きく変動します。

まとめ

低費用で効果の高いリフォームをご紹介させていただきました。
せっかくリフォームするのですから、効果の最大化を図ることが理想的です。
リフォームではありませんが、無料インターネットの導入や備え付けの家具・家電があるのも非常に魅力的です。
どんな入居者さんをターゲットにするのか、まずは戦略を練って空室対策を始めましょう。

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遠田 将徳

一級建築士

遠田 将徳

一級建築士

戸建住宅・賃貸住宅の新築、リフォームの見積り、外構工事と幅広く手掛け、許認可業務、実施設計、デザイン、コーディネートまで、建築に関わる様々な目線からの適切なアドバイスを得意とする。

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