不動産投資コラム

神戸市に建つタワーマンションの深刻な「残高不足」

行政書士棚田 健大郎
神戸市に建つタワーマンションの深刻な「残高不足」

前回 は神戸市の分譲マンションが抱える課題について触れてきましたが、今回はそのなかでもさらに深刻な状況にあるとされている「タワーマンション」にスポットをあてて、直面している課題について解説していきたいと思います。

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タワーマンションが抱えるさらなる問題点とは?

前回までは一般的な分譲マンション全体を含めて解説をしてきましたが、神戸市が直面している大きな課題がもう1つあります。

それは「タワーマンション」です。

神戸市は都市部を中心に高さが60mを超えるタワーマンションが非常に多く、中央区の24棟を筆頭に非常に多くのタワーマンションが立ち並んでいます。

タワーマンションは一般的なマンションに比べ、限られた土地に多くの居住スペースを確保できるという土地活用上のメリットがある一方で、近年、次のような問題点が浮き彫りになってきており、将来的に周辺地価の下落にまで影響するのではと懸念され始めているのです。

タワーマンションの課題1:深刻な修繕積立金の残高不足

修繕積立金の残高不足
前回も触れた修繕積立金に関する課題ですが、タワーマンションについてはさらに問題が深刻化しています。

国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」によると、20階建て以上のマンションの適正額は「206円/㎡」なのですが、マンション管理新聞社が発表した地域別修繕積立金のデータによれば、関西地域の修繕積立金の平均額は適正額の45.1%と半分以下なのです。

つまり、国が概ねこれくらいは毎月貯蓄しましょう、と推奨している金額の半分以下の金額しか貯蓄していないのが、神戸市内にあるタワーマンションの実態なのです。

地域別に比較しても東京都23区が適正額の52.4%であるのに対し、兵庫県は41.7%と特に低い水準となっています。

神戸市におけるタワーマンションのあり方に関する課題と対応策(報告書)

タワーマンションの課題2:保有コストの負担

ローン返済
タワーマンションはもともと他のマンションよりも設備関係がハイグレードに設定されているため、管理費や修繕積立金のコストが割高になります。

また、外壁の修繕については仮設の足場を組む際に膨大なコストがかかるため、将来的に必要となる修繕積立金残高は想定以上になる可能性が高いのです。

よって、タワーマンション購入時に設定されている修繕積立金や管理費は、保有期間中に大幅に増額する可能性が高く、ローンの返済がギリギリの世帯などについては経済的に深刻な状況に陥る可能性があります。

タワーマンションの課題3:災害に対する対策

マンションの災害対策
先日日本列島に猛威をふるった台風19号でも明らかになった通り、タワーマンションは台風や集中豪雨などの水害、さらには地震に対してインフラが非常にもろいことがわかってきています。

台風19号による被害の中で、近年多くのタワーマンションが建設された武蔵小杉駅でも浸水被害が発生しており、住民に深刻な被害が及んでいるのです。
具体的には、1階や地下に設置されている電気設備が浸水した影響で、マンションの給排水が使用不能となり、多くの世帯がまともに生活できない状況に陥ってしまいました。

また、タワーマンションはエレベータが停止してしまうと、上階の住民は実質的に生活ができなくなってしまうというリスクもあるのです。

投資用で購入して賃貸に出ている部屋では、入居者に家賃を返金するなどの措置をとっている管理会社もあるそうで、住むにしても投資するにしても、タワーマンションの災害対策は必須であるといえるでしょう。

これらは神戸市で検討された内容ではありますが、基本的に日本全国的に分譲マンションが置かれている状況はほとんど同じですので他人事ではありません。

次回は、これらの課題を受けてとるべき対策について解説したいと思います。

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棚田 健大郎

行政書士

棚田 健大郎

行政書士

大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

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