不動産投資コラム

少子化社会の不動産投資で狙うべき2つの入居者層

2018/09/17
行政書士棚田 健大郎
少子化社会の不動産投資で狙うべき2つの入居者層

みなさんもすでにご存知のとおり、日本の「少子高齢化」は急速に進行しています。
日本の生産年齢人口(15歳~64歳の人口)は、1995年をピークに減少を続けていて、2008年からは総人口についても減少しはじめました。

そこで今回は、昨今の急激な人口推移の変動によって「今後の不動産投資に与える影響」、および「ターゲットとすべき入居者層」について解説します。

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1.日本の少子高齢化社会の現状

「少子化高齢化」という言葉だけが一人歩きしている感じがありますが、実際のところどの程度少子高齢化が進んでいるのでしょうか。

総務省の国勢調査および国立社会保障・人口問題研究所のデータによると、日本の人口推移は以下のとおりです。

我が国の人口の推移総務省ホームページ

総人口が減るなか、65歳以上の高齢者の人口割合だけが増えていることがわかります。さらにこの流れは、シミュレーションを続けていくとどんどん加速していきます。

仮に2020年に新築RCマンションを購入したとして、およそ減価償却が終わる40年後(2060年)は、日本の人口は1億人を割り込んでいるにも関わらず、高齢者人口は今とさほど変わらないという予想がされていることがわかります。

上記の内容を表にまとめると以下のようになります。

( )は総人口に対する割合

総人口 14歳以下 15~64歳 65歳以上
2005年 12,729万人
(100%)
1,752万人
(14%)
8,409万人
(66%)
2,567万人
(20%)
2020年 12,410万人
(100%)
1,457万人
(12%)
7,341万人
(59%)
3,612万人
(29%)
2060年 8,674万人
(100%)
791万人
(9%)
4,418万人
(51%)
3,464万人
(40%)

 

このデータからわかる「不動産投資において重要な影響を与えるポイント」は、以下の2点です。

  • 「生産年齢人口」が2060年には今のおよそ半分ほどにまで減ってしまう。
  • 人口に占める「高齢者」の割合が40%に達する

2.2020年以降の不動産投資でターゲットとすべき2つの入居者層

データからわかるように、今後日本の人口推移は大きく変化していきます。
よって、これまでと同じような入居者層をターゲットとしていたのでは、供給過多となってしまい不動産投資に失敗してしまう可能性もあります。

現在の賃貸物件における主要な入居者層といえば、ほぼ生産年齢人口とイコールと考えている方もいらっしゃいるかもしれません。
しかし生産年齢人口は今後40年ほどで今の半分程度にまで減少してしまうことを考えると、少ない層を奪い合うよりも、別の層に目を向けることが重要になってきます。

ここでは、今後注目すべき2つのターゲット層について解説していきます。

2-1.「高齢者」の取り込みで安定した不動産投資

高齢入居者
これからの不動産投資で注目すべきは「高齢者層」です。
高齢者の入居というと、「あまり借りて欲しくない」というイメージがついているせいか、積極的に取り込む投資家が少ないのが現状です。

【高齢入居者に対する投資家のイメージ】

  • 収入面の不安
  • 室内で亡くなったら困る
  • 保証人がいない
  • 漠然とした不安

このようにマイナスイメージが強い高齢入居者ですが、実は考え方によってはプラスになる面もあります。

  • 年金による安定した収入
  • 火災保険によっては、死亡した際に見舞金が出る
  • 保証会社を利用すれば保証人は不要になる
  • 日中仕事をしていないため、比較的連絡が取りやすい

このように、実はデメリットの多くは別のメリットで打ち消せるものが多いのです。

今現在は、まだ高齢入居者が敬遠されているからこそ、今のうちに目をつけて投資物件を選定することがとても重要です。

例えば、駅から近くの高い物件に投資するよりも、郊外でも専門病院の近くなどの安い物件に投資をするなど、視点を変えていくとよいでしょう。

2-2.外国人入居者の取り込み

外国人入居者
もう1つのポイントは「外国人入居者」です。
日本の人口が増えない以上、国内需要にこれ以上期待しても厳しいでしょう。

一方で、これから増える予定なのが「インバウンド外国人」です。
政府は国家政策としてインバウンド外国人を増やそうと動いています。

日本政府観光局発表の統計データによると、インバウンド外国人の人口は、東京オリンピック開催が決まった2013年の1,036万人以降増加し続けており、2017年には2,869万人と3倍に迫る勢いで増えています

そこで今注目されてきているのが「民泊」です。
ここまで一気に外国人旅行者が増えると、宿泊施設が不足してきます。
そこに目をつけた投資家たちが、手持ちの物件で民泊をはじめて外国人旅行者に貸し出すケースが増えています。

民泊についてはこれまで法整備が追いついていませんでしたが、2018年6月15日から民泊新法と言われる「住宅宿泊事業法」が施行されたことで、合法的に民泊を営業しやすい環境が整いつつあります。

ただ、民泊については「年間180日」という営業日数制限があるなど、まだまだ課題がある状況ではありますが、今後の不動産投資における1つの選択肢として、増加するインバウンド外国人は無視できない存在となるでしょう。

おわりに

いかがでしたでしょうか。
少子高齢化が進む以上、これまでと同じように

「高齢者はちょっと…」
「外国人は遠慮したい…」

といったスタンスで不動産投資をしていると、いつの間にか空室が目立つようになる可能性があります。

よって、今のうちから「高齢者の取り込み」や「インバウンド外国人の活用」などを視野に入れながら、投資する地域や物件を選定することが重要になるでしょう。

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棚田 健大郎

行政書士

棚田 健大郎

行政書士

大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

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