不動産投資コラム

注目すべき3点!大家さんの火災保険[後編]

2018/06/19
行政書士棚田 健大郎
注目すべき3点!大家さんの火災保険[後編]

賃貸物件のオーナーが必ず確認する必要のある「火災保険」について、前編では火災保険の範囲や相場、オーナーが入る火災保険と入居者が入る火災保険の違いなどについて解説しました。

関連記事:不動産投資に必要?大家さんの火災保険[前編]

今回こちらの後編では、大家さんとして知っておきたい火災保険に入った場合のメリット、地震保険について、保険の選び方についてお話ししていきます。

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1.火災保険に入った場合のメリットは大きく分けて2つ

オーナーが火災保険に入るメリットは、大きく分けると次の2点です。

1-1.「時価」と「再調達原価」の差額が保証される

入居者が火事を起こした場合は、入居者の借家人賠償保険によって室内を復旧することになりますが、保証されるのはあくまで「時価」にとどまります。

そのため、築年数に応じた減価償却方法によって、損傷箇所ごとに時価額を算定することになり、実際に復旧にかかる工事費用全部を保険金でカバーすることができません

オーナーが火災保険に加入していれば、再調達原価による計算で保険金が算定されるため、借家人賠償保険で保証されない「時価」「再調達原価」の差額の穴を埋めることができます

1-2.確定申告で「経費」にできる

オーナーが加入する火災保険料は、確定申告の際に不動産投資の「経費」として計上することができます。そのため、減価償却費などの経費と一緒に活用することで、節税効果がアップすることが期待できます。

また、台風などの自然災害によって、建物設備が損傷した場合でも補償範囲になっているケースが多いため、保険金がおりて保険料分を回収できる可能性も比較的高いと言えます。

2.地震保険は単独で加入することはできない

火災保険と地震保険
前編でも少し触れましたが、地震や地震によって発生した火災による損害については、別途地震保険に加入する必要があります。地震保険は単独で加入することはできず、火災保険とセットで加入することになります。

火災保険のように、損害項目ごとに保険金額を算定するのではなく、4つの損害の設定区分(全損、大半損、小半損、一部損)にあてはめて、それに応じた支払い率の保険金が支払われるという仕組みになっています。

また、契約できる保険金額は、火災保険の保険金額の50%が限度と決まっています。

3.保険の選び方…独自のサービスやサポートを確認

オーナー向けの火災保険を扱っている保険会社はたくさんありますが、保証内容についてはそこまで大きく変わりません。限度額の設定が同じであれば、保険の適用範囲では大きな違いは出てきません。

そのため、保険会社を選ぶ際には、付随している保険会社独自のサービスやサポートに着目すると良いでしょう。

最近では、24時間の駆けつけサービスが付帯されているものが人気です。
突然の水漏れや、鍵の紛失などの際に、保険会社の委託した業者が緊急対応してくれるというサービスでとても便利です。

その他、損害に対する保険金以外に「お見舞金」として一定額が支給される保険会社もあります。

おわりに

火災保険には、オーナーが入る火災保険と入居者が入る火災保険があり、保証される範囲は重なっている部分もあります。

ただ、万が一のときにオーナーの自己負担をほとんどない状態で復旧工事をするためには、オーナーと入居者それぞれが火災保険に加入しておくことが重要です。

火災保険料は不動産投資の「経費」として節税にも役立ちますので、まだ加入されていない方は、ぜひこれを機会に加入することをおすすめします。

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棚田 健大郎

行政書士

棚田 健大郎

行政書士

大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

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