コラム

民法改正が不動産投資に与える影響 ①

2018/05/16
民法改正が不動産投資に与える影響 ①

平成32年4月1日に施行が予定されている改正民法により、不動産賃貸は大きな影響を受けることが予想されます。そのため、不動産賃貸オーナーは事前に改正民法の内容を理解して、準備をしておきましょう。
民法改正による影響と、その対応策を4回に分けて解説いたします。

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1.民法の改正について

今回の改正は、約120年間にわたってほとんど改正が行われてこなかった債権関係の規定について、取引社会を支える最も基本的な法的基礎である契約に関する規定を中心に、大幅な変更を加えるものとなっており、契約実務に大きな影響を与えることが予想されます。

※平成29年5月26日、民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)が成立しました
(同年6月2日公布)

不動産賃貸といっても、さまざまな契約によって成り立っています。

  • 物件を購入する売買契約
  • 物件の賃貸借契約
  • 管理契約
  • 保証契約

そのため、今回の民法改正により大きな影響を受ける分野ということができるでしょう。

2.改正内容について

保証に関する規定の改正

保証に関する規定の改正

今回の改正では、基本的には「保証人となる個人を保護する」という観点から、まったく新しいルールが規定されました。
保証に関する今回の改正を理解せず、違法な契約を交わしてしまうと、予定していた債権回収が困難になるなど大きな不利益を被ってしまいます。

特に以下の事項には注意が必要です。

  • 書面で極度額を設定しないと保証契約が無効になる
  • 書面で極度額を設定しても定め方によっては保証契約が無効になる場合がある
  • 賃借人の説明義務違反を理由に保証契約が取り消される可能性がある
  • 賃貸人が保証人に対して情報提供をしなければならない場合がある

細かい注意点はこの後に解説いたします。

賃貸借に関する規定の改正と全体的なルールの改正

今回の改正では、民法の「賃貸借」に関する規定も改正されています。改正の中身としては、下記が明文化されています。

  • 敷金に関するルール
  • 原状回復に関するルール
  • 用法違反の場合の消滅時効ルール

また、賃貸借契約に限らず、法定利率や時効、解除などの不動産賃貸に影響を与える事項についても改正があります。

3.保証に関する規定の改正

保証に関する規定の改正

今回の民法改正で、不動産賃貸借に最も大きなインパクトを与えるのは、「保証に関する規定の改正」と言ってよいでしょう。
というのも、今回の改正は、保証契約について従前にはなかったまったく新しいルールを設定し、このルールに違反した保証契約を無効とし、もしくは、取り消しができるとするなど、賃貸オーナー側にとって厳しい法改正となっているからです。

皆さんのなかには、不動産賃貸借において、なぜ保証人が必要になるのかまで、明確に意識していない方もいらっしゃるかもしれません。
保証人が必要になるのは、賃借人が賃貸人に対して本来支払うべき債務を支払わない可能性があるからです。
この場合の債務として、代表的なのものは「賃料支払債務」があり、こちらはすぐにイメージができると思います。

ただ、賃借人が賃貸人に対して負う債務というのは、賃料支払債務だけに留まらず、さまざまな債務があるのです。

  • 賃貸借期間中に賃借人が破壊した物件の修理費用
  • 賃借人が近隣住民とトラブルを起こした際に生じた損害賠償
  • 契約期間中に中途解約する場合の違約金
  • 賃貸契約が終了した際の原状回復に関する費用
  • 賃借人が賃貸物件で自殺してしまった場合の損害賠償

不動産賃貸オーナーとしては、上記のような債務を担保するために、保証契約を締結しておく必要があるのです。

しかし、せっかく保証契約を締結しても、改正民法の下ではルールを守らないと、保証契約が無効、もしくは取り消し可能となるので、賃貸オーナーは回収できるはずの債権を回収できないことになってしまいます。

そうならないための対策を、次回解説いたします。

貸借人が入居中に自殺してしまったらどうする?

最近の裁判例には、賃借人に対する債務不履行に基づく損害賠償請求が認められ、賃貸オーナーが被った損害として賃料の約2年分が認定したものがいくつかあります。

この場合、賃借人はすでに亡くなっているわけですが、賃貸オーナーは誰に損害賠償請求をすればいいのでしょう。

一つは、死亡した賃借人の相続人(妻・子どもなど)に対して請求することが考えられます。賃借人が賃貸人に対して払うべき損害賠償債務を、相続人が賃借人から相続したといえるからです。ただし、相続人は相続放棄をすれば、この損害賠償債務を免れることが可能です。

これに対し、賃貸借契約に保証人がいる場合には、賃貸人は、仮に相続人が相続放棄したとしても、この保証人に対して損害賠償請求をすることが可能です。

居住者が自殺した物件というのは、いわゆる事故物件として、その後の賃料を低額にせざるを得なかったり、新たなテナントを募集すること自体が困難になるなど、投資物件としての価値が著しく低下する傾向にあります。そのような状況の中、賃料2年分の損害賠償を確保できればそれなりのリスクヘッジとなります。

しっかりとした保証契約を締結しリスクヘッジをしておくことも、不動産投資には必要なことだと思われます。

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永田 朋之
永田 朋之

永田 朋之

弁護士

永田 朋之

弁護士

弁護士法人フロンティア法律事務所所属。事務所事件のうち、賃貸借契約の交渉、立退き事件等の不動産案件を数多く担当しております。趣味のトライアスロンで培った人脈、体力とフットワークの軽さが自分の強みです。 代表弁護士の黒嵜とともに皆様に有益な情報を提供いたします。

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