不動産投資コラム

中古マンションにひそむ水漏れ、故障リスク実例

行政書士棚田 健大郎
中古マンションにひそむ水漏れ、故障リスク実例

前回のコラム買ってはいけない!築古の「雨漏りマンション」 では、マンションの雨漏りについて、発生した場合の対策や雨漏りしやすい物件の特徴をご紹介しました。
雨漏りリスクは非常に深刻であることがわかったところで、次にお伝えしたいのが「水漏れ」リスクです。

同じ水による被害ですが、トラブルの性質が異なるため、対処法や回避策について事前に知っておく必要があります。

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築15年以上の物件は、水漏れリスクが常にある

配管の寿命は15~30年程度といわれていますが、実際のところ15年程度で水漏れを起こすケースは珍しくありません。

真上に部屋がある状態で天井から水が垂れてきた場合は、雨漏りではなく水漏れです。

賃借人から水漏れの連絡が入ったら、まず水の色を確認しましょう。
水が比較的透明であれば給水管、給湯管、濁っていれば排水管からの漏水であると推測できるからです。

水漏れの原因は、雨漏りよりも特定がしやすく、概ね次のいずれかであることが多いです。

配管の老朽化

パッキンの劣化

大量に水をこぼした

洗濯機の排水の接続不良

業者を手配さえできればすぐに直せるので、もしも被害を受けた場合は上階の管理会社に連絡をとって至急対応してもらいましょう。

水漏れは加害者になる方がリスク

雨漏りは自らが被害者になるケースですが、水漏れの場合は被害者よりも加害者になってしまうほうが、経済的損失が大きくなります。

そもそも、室内の配管(横管)については、専有部扱いになるため、水漏れの改善工事の費用はすべて加害者部屋の所有者が実費で負担しなければなりません。

さらに、下の階の人の家財に損害を与えてしまった場合は、その賠償もしなければならないため、所有者自身が火災保険に入っていないと、かなりの費用を支払う必要性が出てきます。

床に点検口がある物件は要注意

点検口

購入予定の部屋の床に点検口が備え付けられている場合は、過去に水漏れを起こして施工した跡である可能性が高いため、詳細を確認しておくことが重要です。

また、ユニットバスのパネルの一部を外すと、床下が見える場合があるので、もしも可能であれば、床下に濡れた後がないか、カビがはえて湿気っぽくなっていないか、などについて確認するとよいでしょう。

実は曲者のモニター付きインターホン

モニター付きインターホン

オートロック物件が主流になり始めてから20年ほどが経過したため、初期の頃のマンションでは、オートロックが故障する事例がよくあります。

なかでも、故障した際に問題となりやすいのが、「モニター付きインターホン」の物件です。

モニター付きインターホンはマンションのオートロックと連動していて、オートロックに備え付けられているカメラの映像が、室内のモニター付きインターホンで見られるという設備で、最近では必須のマンション設備となっています。

築15年前後の物件から導入が進んでいますが、なかには故障する物件も出てきているのです。

インターホン自体の故障ならセーフ、最悪なのは「通信系統」

モニターが映らない、インターホンを押しても鳴らない、といったクレームが発生した際、室内側のインターホン本体の故障であれば、数万円程度の負担ですぐに改善できます。

しかし、故障の原因がオートロックとの間の「通信系統」の異常だった場合は最悪です。

この場合は、マンション共用設備の修繕となるため、理事会や総会の承認が必要になります。
昔の配線は、のちの取り替え工事のことまで深く考えていないものもあり、配線を交換するためにかなりの施工費がかかる場合があるのです。

雨漏りの場合に比べ、こういった設備の故障による修繕は緊急性がなかなか管理組合に伝わりにくく、工事がされずに放置されてしまうケースも少なくありません。

なかには、オートロックが故障しているにもかかわらず、修理費に多額の費用がかかることから、総会において修理をしないという議決をしてしまうマンションもあるくらいです。

インターホンが古い物件は要チェック

築15年以上のオートロック付きマンションに投資する場合は、オートロックとの配線について、過去に入れ替え工事をしているか確認しておきましょう。

もしも過去に何らの施工実績もない場合、今後故障して多額の修理費用がかかる可能性があります。

費用そのものについては、共用部扱いなので、修繕積立金から充当され、直接の自己負担はありませんが、それによって月額の修繕積立金が値上がりする可能性が高いため注意が必要です。

また、すでに故障していて修理の目途が立っていない場合は、そのまま放置される可能性がありますので絶対に買ってはいけません。

まとめ 修繕リスクが高い物件を事前に見抜けるかが重要

今回は「買ってはいけないマンション」の、修繕リスクの高い事例として、雨漏り、水漏れ、モニター付きインターホンについて解説してきました。

これらのトラブルは発生してしまうと、それなりの出費は覚悟しなければならないため、できる限り事前に見抜いて購入を避ける努力が必要です。

特に雨漏りについては、立面図などを見ると雨漏りしやすそうな部屋の位置がわかりますので、事前によく確認するよう心がけましょう。

不動産投資は、立地で決まる。人口動向や賃貸需要に合わせた「新築一棟投資法」とは

棚田 健大郎

行政書士

棚田 健大郎

行政書士

大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

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