不動産投資のQA

これって経費になるの、ならないの?確定申告する場合の項目はなに?そんな疑問に大家専門の税理士がお答えします。

借入金の返済などで資金繰りが苦しい場合、改善する方法はある?

アパートを複数棟、所有しています。

賃貸経営を始めたときは税金が還付されていましたが、ここ何年かは税金が高くなってきています。
建物を定率法で償却していて、減価償却が少なくなってきていることが原因かと思います。

借入金の残期間は10年で資金繰りも苦しくなってきて、税金を払うために賃貸経営をやっている感じがしています。

資金繰りを改善する方法はありますか?

青色事業専従者に給与を支給したり、法人化するなど、お金が出ていかない節税をしましょう。

デッドクロスとは

デッドクロスとは、借金をしてアパートを経営している場合に、1年間あたりの元本返済額が減価償却費よりも大きくなる時点をいいます。

元本の返済は「お金が出ていくが、経費にならない」減価償却は「お金が出ていかないが、経費になる」という相反する関係になっています。
このバランスがうまくいかないとキャッシュフローがマイナスになる危険性があるので注意しなくてはいけません。

定率法で減価償却をすると、年々償却費が少なくなっていきます
また、借り入れの返済方法を元利均等返済にすると、返済額は一定になりますが、借入金の利子の金額は少なくなっていきます

年数を重ねていく毎に「お金が出ていかないが、経費になる」減価償却よりも「お金が出ていくが、経費にならない」借入金の元本の返済が大きくなっていくため、支出する税金が増えていきます。

つまり、年々支出する返済額はかわらないのに、利息金額と減価償却の減少から所得が大きくなります。
そして、支払う所得税が多くなるため、キャッシュフロー上、手残りがマイナスになる可能性が高くなります。

返済期間が残り10年とのことですので、この時期に資金繰りが苦しくなる方がかなり多くいらっしゃいます。

デッドクロスの回避方法

事前に積み立て

本来であれば、このデッドクロスの時期を事前に把握し、家賃収入の一部を積み立てておいて資金繰りが苦しくなる時期に繰り上げ返済をすれば、毎月の返済額が減り資金繰りが改善します。
しかし、今までの積み立てがないと難しいでしょう。

税金を減らす

それ以外の回避方法としては、まず税金を減らすことを考えましょう。

税金を減らすと言っても、経費を使えばよいということではありません。
経費を使うことで、お金が出ていくので、資金繰りはより悪くなります。お金が出ていかない節税をしましょう。

例えば、青色事業専従者に給与を支給したり、法人化したりすることです。

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賃貸経営で法人化するメリット②法人特有の節税

返済期間延長

税金を減らしても資金繰りがよくならないのであれば、借り換えなどにより返済期間延長を延ばして、毎月の返済額を減らすことを考えましょう。
返済総額は減らない(返済期間を延ばすので、むしろ増える)ので一時しのぎでしかありません。
しかし、返済期間を延ばすことで資金繰りは改善されるので、建物のバリューアップをするなどしてこの先も家賃収入が維持できる体制を整えることが必要です。

売却

借入金が負担と考えるのであれば、高く売却できるうちに売却してしまうことも一つの方法かと思います。

2019/04/18

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渡邊 浩滋

税理士・司法書士

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

経営難だった実家のアパート経営を大きく改善し、大家さん専門の税理士事務所を設立。北海道から沖縄まで幅広く相談を受ける。セミナー、出版、連載など多方面で活躍。専門税理士ネットワーク『knees』メンバー。

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