競売物件に居住者が…強制執行・退去までの流れとは
前回、競売物件について、通常の物件との違いや競売手続きの流れなどについて、そしてトラブルが起きやすいことなどについてお話ししました。
前回記事
競売物件において、物件内に居住者がいるという状況は珍しい事ではありません。
望まずして物件が売りに出されているのですから、そこに住み続けたいと希望する人がいるのはある意味予想の付くことです。
では、こうした状況において、物件の購入者はどのような対処をしたらよいのでしょうか。
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強制執行までの流れ
物件買受人は、代金を納付した直後から正式な所有者となります。
正式な所有者となった買受人にとって、旧所有者で居住し続けている人は単なる不法占拠者となります。
つまり、法的に追い出すことができるのです。
さて、ではどのような手続で立退きを求めることができるのでしょうか。
不動産引渡命令・強制執行の申し立て
まず買受人は、裁判所に不動産引渡命令の申立てを行います。
この申立てを受けた裁判所は、不動産引渡命令を出します。
かかる命令がなされてなお居住者が立ち退かない場合、買受人はいよいよ強制執行の申し立てを行うことになります。
ここまでの期間は概ね2週間くらいでしょうか。
強制執行の申立てがなされるとただちに強制執行が行われるのかと言えばそうではありません。ここからが案外時間がかかるのです。
強制執行の手続きは、大きく分けて「催告」と「断行」の2つがあります。
明渡しの「催告」
催告においては、裁判所の執行官をはじめ、強制執行の業者、不動産管理会社さんなどが立ち会います。
この催告日に行われることは何かというと、簡単に言うと強制執行の予告をするのです。
部屋に入って強制執行の説明をし、貼紙を張って帰る。
貼紙というのは何かと言うと、強制執行日を記載した貼紙です。
これを勝手にはがすと罰金になります。
この催告日、予告をする以外にもうひとつ目的があります。
それは、部屋の中の動産の量を確認するという目的です。
これは強制執行を実際に行う民間業者さんの役割です。
この業者さんは催告日に同行し、部屋の中の動産の量を観察し、その後執行作業を行った際の見積もりを出します。
2トントラック何台必要で人工は何人で段ボールが何枚で…といった感じで。
もちろんこれはオーナーさんにとっては大きな関心事です。
法的にこの執行業者さんの費用は居住者が持つものではありますが、現実に居住者は強制執行されている状態なのでお金がありません。
ですので実際上は、買受人である新オーナーさんが負担することになってしまうのです。
それ故に、この執行費用の見積もりは当然関心事となるのです。
強制執行の「断行」
この予告日において居住者と話し合いがもたれた結果、最終的な強制執行までいかずに自主的に退去してもらうということもあります。
催告から1ヵ月ほど経過して、なお居住者が自主的に退去しなかった場合、強制執行が行われます。これを「断行」と言います。
断行日はトラックが来て執行業者さんが自宅周辺に待機していて、物々しい雰囲気となります。
居住者が危険な行動を取るような怖れがある場合(例えば反社会的勢力だったり)、警察が立ち会ってくれることもあります。
催告時と同様、執行官や不動産会社の方などが立ち会うことになります。
あまり世間では見慣れない人物としては、鍵業者さんなどがいたりもします。
この方、どういう方かと言うと、鍵を無理やりこじ開けるために付き添っているのです。
もちろん、必ずこじ開けるというわけではありません。
居住者が率先して鍵を開けてくれればそれで済むことですし、不在だったとしても管理会社が持参したスペアキーで開けれるのが通常なので。
しかしながら、例えば居住者が勝手に鍵を交換してしまっていたりして、強制執行手続を妨害しようとする場合もあります。そうした場合に活躍するのがこの鍵業者さんなのです。
まるでゴルゴ13のようなアタッシュケースの中に鍵をこじ開けるための秘密のグッズが入っていて…鍵をこじ開けるときなど、本当に感心してしまいますよ、見事です。
断行まで行った場合、申立からの期間は概ね2ヵ月弱といったところでしょうか。案外時間がかかるのです。
居住者は不法占拠者とはいえ、無理やり追い出されるということですから人権上の配慮なのでしょう。
制度上、時間をかけて進める手続となっているのです。
なので、この手続を進めながら、居住者と粘り強く交渉も続けることが肝要かと思います。
結局その方が退去の時期を早めることがあります。
加えて執行費用もかからず、時間的にも経済的にも得な結果となるのです。
法的な手続全般に言えることかもしれませんが、裁判所の手続きを進める前に、あるいは進めながらも居住者と話し合う、いわゆる「任意交渉」というものを進めることは大切です。
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