不動産投資のQA

これって経費になるの、ならないの?確定申告する場合の項目はなに?そんな疑問に大家専門の税理士がお答えします。

宅地建物取引士の資格取得費用は経費になる?

これから不動産投資をして、賃貸物件を増やしていこうと考えています。

今まで不動産業界では働いたことはないので、これから不動産の知識を身につけようと思い、宅地建物取引主任士の資格を取得しようと勉強を始めました。資格取得のために、専門学校に行くのですが、その費用は必要経費になりますか?

経費にするのは難しいと思われます。

結論から申し上げると、必要経費にするのは難しいと考えます
資格取得のための費用については、所得税法基本通達において下記のように取り扱われています。

業務を営む者又はその使用人(業務を営む者の親族でその業務に従事しているものを含む。)が当該業務の遂行に直接必要な技能又は知識の習得又は研修等を受けるために要する費用の額は、当該習得又は研修等のために通常必要とされるものに限り、必要経費に算入する
所得税法基本通達37-24

直接業務に必要かどうかで判断がなされることになります。

宅地建物取引主任士は、不動産の仲介や継続的な売買などの宅地建物取引業を行う場合に必要であり、賃貸経営だけを行う場合には直接必要な資格ではありません

平成15年10月27日裁決において、弁護士が大学院に通う授業料等の必要経費を認めなかった事例で、下記のような判断をしています。

請求人の業務遂行上直接関係があり、かつ、通常必要な支出であるとまでいうことはできず、むしろ請求人が自己研鑽のために本件大学院に進んだものと認めるのが相当で、本件授業料等に係る支出は、事業所得を生ずべき業務について生じた費用と認めることはできないから、必要経費とすることはできない平成15年10月27日裁決

宅地建物取引主任士の資格が賃貸経営するうえで直接必要といえない以上は、資格取得のための費用を経費に計上することは難しいと判断します。

ただし、宅地建物取引主任士の資格は、民法、宅建業法、不動産の法令上の制限、税法など、不動産の取引を学ぶ上で役立つ内容になっています。
必要経費になる、ならないにかかわらず、賃貸経営を行う上でも、積極的に勉強をしていただきたいと思います。

2018/08/10

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渡邊 浩滋

税理士・司法書士

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

経営難だった実家のアパート経営を大きく改善し、大家さん専門の税理士事務所を設立。北海道から沖縄まで幅広く相談を受ける。セミナー、出版、連載など多方面で活躍。専門税理士ネットワーク『knees』メンバー。

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