「重要事項説明」で大家が必ず確認するべきポイント
前編 に続き、後編では実際の重要事項説明書に書かれている内容や、不動産投資家として必ず確認しておくべきポイントや対策などについて解説します。
これから契約手続きに入るという不動産投資家の方は、ぜひこの記事を読んで参考にしてください。
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重要事項説明書のポイントを解説
重要事項説明書には、売買契約書には盛り込まれていない重要な内容が書かれているため、基本的には記載されていること全てが重要ですが、今回はその中でも不動産投資家として絶対におさえておくべき項目について、整理して解説したいと思います。
ポイント1:売主の表示
物件の売主が誰なのかについて住所と氏名が記載されており、新築物件であれば物件を建てた不動産会社名、中古物件であれば現所有者の氏名住所が記載されます。
ここでのポイントは、実際の登記名義人と一致しているか確認することです。
通常は所有者=売主ですので、不動産登記簿に記載されている所有者と、重要事項説明書上の売主の表示は一致するはずです。
ただ、稀に相続などで登記簿上の所有者とは別人だったり、住所だけ登記簿と違ったりといった場合があります。
登記簿上の所有者と一致しない場合は、その理由について不動産会社に確認しておく必要があります。他人物売買などのトラブルに巻き込まれる事態の予防にもなりますので、登記簿と一致しない場合は必ず理由を聞きましょう。
ポイント2:不動産の表示
これから購入する物件に関する詳細な情報が記載されています。
売買契約書にも、物件の所在地や広さ、構造などが記載されていますので、できれば売買契約書と照らし合わせながら、1つずつ相違がないか確認していくことをおすすめします。
●鉄骨造と聞いていたが、木造と記載されている
●築年数が募集図面と異なっている
こういった場合は、重要事項説明書にサインをせず、理由を不動産会社に確認するようにしましょう。
ポイント3:登記簿に記載されている内容について
不動産の登記簿謄本に記載されている情報が記載されている部分になります。
所有者の名義人や住所に相違がないかを確認しますが、一番注意すべき点は「所有権以外の権利に関する事項」です。
この部分に抵当権が設定されている場合は、必ず引渡しまでに抵当権を抹消してもらわなければならないため注意が必要です。
中古物件を購入する場合、売主もローンを組んで物件を購入していることが多いため、抵当権が設定されていることがよくあります。
抵当権の記載がある場合は、売主が売買代金でローン残債を完済できる状態なのかについて、不動産会社に確認しましょう。
ポイント4:第三者による占有
物件の入居者に関する情報が記載されています。
家賃額については、事前に募集図面で確認できますが、入居者の属性などについては、ここで初めて確認ができます。
通常は、賃貸借契約書や入居申込書を添付してくれますので、内容をよく確認しましょう。
また、現時点で家賃滞納が生じていないか、過去に遅れたことはないか、などについても不動産会社に確認しておくことが重要です。
ポイント5:都市計画制限について
都市計画法による制限の内容が記載されている部分ですが、ここについては、購入後に増改築や建て直しなどを考えていなければ、そこまで気にする必要はありません。念のため、建ぺい率や容積率について確認しておけばよいでしょう。
ただし、「市街化調整区域」との記載があった場合には注意が必要です。市街化調整区域とは、市街化を抑制していく区域のため、購入後建て直しや増改築をする際に、多くの制限がかかります。
通常は「市街化区域」となっていることがほとんどですが、価格が割安な物件は「市街化調整区域」の可能性がありますので注意しましょう。
ポイント6:私道負担について
敷地が私道に面している場合、私道負担の記載がある可能性があります。
私道負担とは、売買する土地の中に含まれる私道部分のことで、私道には建物が建てられないので、建ぺい率や容積率の計算には含まれません。
場合によっては負担金が発生することもありますので、必ずチェックが必要です。
ポイント7:ローン特約に関する内容について
ローンを組んで不動産投資をする場合に必ず確認しなければならないのが、「ローン特約」の部分です。
重要事項説明を受ける段階では、まだ融資は確定しておらず、売買契約を締結してから本審査となるため、万が一ローン審査が通らなかった場合には、ローン特約によって契約を白紙に戻すことになります。
融資を受ける予定の金融機関名、金額、金利、借入期間などについて記載されていますので、事前に聞いていた内容と間違いがないか確認しましょう。
記載されている内容の融資が下りなかったり、ローン特約の期限までに審査結果が出なかった場合は、物件を購入することができません。
ローンを利用する予定なのに、ローン特約に関する記載がないと、ローン審査が通らなくても残代金を決済しなければならなくなるので、十分注意しましょう。
リスク回避のためにできること
このように、重要事項説明では非常に多くの情報について一気に説明を受けるため、一般の方がその場で全てを聞いて理解することは、そう簡単ではありません。
そこで、重要事項説明当日の負担を軽くして、要点を聞き逃さないようにするために、次のような対策をとるとよいでしょう。
事前に重要事項説明書の雛形を送付してもらう
重要事項説明を実施する数日前に、不動産会社から重要事項説明書の雛形を郵送で送ってもらい、自宅で一度読んでおくことで、当日の負担を軽くすることができます。
自分自身で一度読んで、わからない部分や気になる部分について、当日宅建士に質問するという流れをとることで、聞き逃しや、勘違いによるトラブルを予防できるのです。
当日の時間短縮にもつながりますので、できるだけ重要事項説明書を事前に取り寄せて読んでおくようにしましょう。
おわりに
重要事項説明書は、売買契約書よりもさらに詳細な情報が記載されていますので、契約する前にもれなく確認する必要があります。
今回解説したポイントを中心によく確認をして、わからない部分は必ず宅建士に質問して理解できてから契約することが重要です。
重要事項説明は内容がとても多いので、事前に重要事項説明書の雛形を取り寄せて、予習をしてから当日に臨むことで、聞き逃しや勘違いを防げるとともに、理解をより深められますのでぜひ実践してみてください。
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