コラム

その建物は大丈夫?投資におけるアスベスト問題

2018/09/07
その建物は大丈夫?投資におけるアスベスト問題

投資物件を検討するにあたっては、予想される賃料収入や利回りなどに一番に目がいくと思います。もちろんこれは投資にあたって大事なことですが、不動産自体がもっているかもしれないリスク、境に関するリスクについて知っておくことも大切です。

こちらでは建物と土地に関するリスクについて、前編ではアスベスト、後編では土壌汚染について、2回に渡ってご説明いたします。

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アスベストとは?物件購入・売却の際には知っておくべきこと

アスベストについては、皆さんニュースなどである程度はご存知かと思いますが、ここでは少し詳しくご紹介したいと思います。
アスベストとは、天然に産する繊維状の鉱物で、「石綿(せきめん、いしわた)」ともよばれています。主なものはクリソタイル(白石綿)、アモサイト(茶石綿)、クロシドライト(青石綿)があり、後の平成20年2月6日付で厚生労働省から通達が発令され、トレモライト、アオンソフィライト、アクチノライトという種類が加わりました。

白石綿(クリソタイル):白みのあるアスベスト繊維の塊▼
白石綿
茶石綿(アモサイト):茶色がかかったアスベストの繊維の塊▼
茶石綿
青石綿(クロシドライト):青みがあるアスベスト繊維の塊▼
青石綿
「アスベスト関連写真・含有建築材料」(大阪市)を加工して作成

現在は原則禁止も、過去に製造・使用された建物には注意

アスベストは、建物において建築材料(木材や鉄鋼材、石材など)として使用され、耐熱性、耐久性に優れ、安価なことから鉄骨の耐火被覆や外壁材などに多く用いられました。
しかし、石綿は肺がんや中皮腫を発症する発がん性が問題となり、現在では、原則として製造・使用が禁止されています(規制の変遷は下記参照)。

アスベストに関する規制の変遷▼

年代 規制内容
昭和50年 含有率5%を超えるアスベストの吹き付け作業の原則禁止
平成7年 特に毒性の強いクロシドライト(青石綿)・アモサイト(茶石綿)の製造・輸入・使用の全面禁止
含有率1%を超えるアスベストの吹き付け作業の禁止(ただし,保護具着用などの条件つきで可能)
平成16年 クリソタイル(白石綿)を含む建材などの製造・輸入・使用の原則禁止
平成17年 含有率1%を超えるアスベストの吹き付け作業について、保護具着用等の条件を削除⇒原則禁止
平成18年 含有率0.1%超のアスベスト製品の製造、使用、取り扱い等が禁止
平成20年 アスベスト分析において、主に3種類が分析対象とされてきたが、6種類に拡大

したがって、これから建築される建物については問題ありませんが、過去に製造・使用されたものが、現在も残っている場合には注意が必要です。場合によっては、すぐに除去などの対応をしなくてはならないものや、将来的に建物を解体するときに費用として考慮しなくてはならないものがあります。
そのためアスベストの存在は、費用の増大や売却のしにくさにつながってきますので、物件購入もしくは売却の際には知っておく必要があります。

鉄骨には要注意

ほかの構造でもアスベストがまったく使われていないということは言えませんが、建物の構造でとくに注意したいのが鉄骨造です。
鉄骨造の場合、耐火被覆材が必要となっていますが、アスベスト含有吹付け材はコストの面で安価であったため、広く使用されてきた経緯があるからです。

建物に使用されている?アスベストの調査

所有者に確認

アスベスト使用に関しての調査の有無は、重要事項説明書(重説)の記載事項とされています。重説とは不動産取引をするかどうかを決めるために必要な情報が記載された書面です。

したがって、調査を行っていた場合は、調査の実施機関、調査範囲、調査方法、調査年月日、石綿の使用の有無、使用箇所・状態を記載しなければなりません。よって、購入の際には、これらの内容について、所有者にあらかじめ確認しておいたほうがよいでしょう。

ただし、肝心の調査を実施するかどうかは所有者の判断に委ねられているので、調査自体は義務になっていないことには注意が必要です。

建物の設計図書を確認

設計図書とは建物を建設する際に必要な図面や仕様書がまとまった冊子のことで、配置図、仕様書、平面図、立面図などがあります。

仕様書のなかに、建築各部に使用してある建材名(製品名)を一覧にした仕上げ表というページがあり、表中に「アスベスト」や「石綿」という表記がある場合はアスベストが使用されているといえます。

アスベスト建材の種類と危険度

アスベスト建材は飛散のしやすさから以下に分類されます。

レベル1:吹付け材
使用例)鉄骨耐火被覆材、天井断熱材等

レベル2:保温材・断熱材等
使用例)配管エルボ等の保温材、鉄骨耐火被覆材等

レベル3:成形板等
使用例)壁材、天井材、外壁材等

アスベスト含有建材があるからといって、すべてをすぐに除去しなければならないというわけではありませんが、アスベスト含有吹付け材がある場合、増改築、大規模な修繕・模様替えの際に除去等(一定の規模以下の場合は封じ込めまたは囲い込みを許容)を行わなければなりません。
飛散性および危険性が高いので、除去時には飛散防止対策工事が必要となり、コストの増加につながります。

除去費用の参考

吹付けアスベストの除去にかかる費用としては、事業者によってかなりの開きがありますが、国土交通省が公表している調査によると、以下のとおりとなっていますので参考にしてみてください。

アスベスト処理面積 処理費用の目安
300㎡以下 2.0万円/㎡~8.5万円/㎡
300㎡~1,000㎡ 1.5万円/㎡~4.5万円/㎡
1,000㎡以上  1.0万円/㎡~3.0万円/㎡

 
後編 では土壌汚染について解説いたします。

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堀田 直紀
堀田 直紀

堀田 直紀

不動産鑑定士

堀田 直紀

不動産鑑定士

立命館大学法学部卒業後、住友不動産販売株式会社にてタワーマンション等を販売。 不動産鑑定士試験合格後は、民間最大手の大和不動産鑑定株式会社にて約11年間、収益物件をはじめとした鑑定評価業務に従事。平成29年10月、ミッドポイント不動産鑑定株式会社を設立。

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