不動産投資コラム

契約前の「重要事項説明」とは?キホンをおさらい

2019/06/10
行政書士棚田 健大郎
契約前の「重要事項説明」とは?キホンをおさらい

宅地建物取引業法で定められている「重要事項説明」。物件を購入するかどうかは、最終的に重要事項説明を聞いてから判断します。
その内容は、具体的にどのようなものか、購入してから後悔することのないよう、事前に要点をおさえておくことが大切です。

ここでは、重要事項説明に関する基本的な知識や、不動産投資家として必ずチェックしておくべき重要事項説明の項目、気をつけるべきポイントなどについて、2回に分けて解説します。

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重要事項説明とは

不動産売買における重要事項説明とは、その名の通り宅建業法に基づいて行われる重要な事項の説明で、宅建業者に説明が義務付けられている、契約手続きの中の1つという位置付けです。

不動産会社を通して物件を購入する場合は、必ず重要事項説明を受けなければなりません。

重要事項説明はなぜ必要?

物件に関する基本的な情報については、募集図面(いわゆるマイソク)や、インターネット広告などで確認することができますが、実際に購入するとなると、買主として事前に知っておくべき情報はさらに増えます。

不動産投資物件の場合、募集図面には物件の名称や間取り、広さ、賃借人の家賃額、利回り、その他設備関係の情報などが記載されています。

重要事項説明

重要事項説明では、さらにそれらの情報を深く掘り下げて、物件概要、都市計画情報、管理組合情報、売主の権利関係などについても詳細に説明するのです。

これから購入する商品である物件の詳細な情報を知らないまま売買契約をしてしまうと、後から認識の違いからトラブルになる可能性があるため、重要事項説明を聞いて確認することが大切です。

重要事項説明のタイミングとは

重要事項説明をするタイミングは、宅建業法で契約成立の前に行うことと規定されています。

スケジュールに余裕がある場合は、契約日の前日から1週間前くらいの間で重要事項説明を聞いて、その後売買契約を締結するという流れが理想ですが、投資物件の場合は契約日当日の午前中に重要事項説明を聞いて、午後に売買契約を締結するというように、同日に行うケースの方が多いです。

重要事項説明をする人と書類

重要事項説明は売買契約を締結するかどうかを左右する重要な情報に関する説明のため、不動産会社の従業員の中でも「宅地建物取引士(宅建士)」という国家資格者がしなければならないと宅建業法で規定されています。

また、宅建士が重要事項説明をする際に用いる書類のことを「重要事項説明書」といい、基本的には重要事項説明書を読み上げていく形で説明が進行します。

重要事項説明書の内容の中には、法令上の制限や権利関係など、不動産関連の法律知識がないと説明ができない難解な部分もあるため、宅建試験を合格して免許の交付を受けた者にしか説明が許されていないのです。

重要事項説明書は物件によってはかなりのページ数に及び、説明を聞くだけで半日ほどかかる場合もあるため、当日はスケジュールを完全に開けて臨むことをおすすめします。

重要事項説明書と売買契約書の違い

重要事項説明書と売買契約書

不動産売買の書類というと、売買契約書がありますが、売買契約書は契約に必要な最低限の内容しか盛り込まれていないため、建物の設備や権利関係についてまでは触れられていません。

売買契約書は「いくらで誰から買うのか」という点にフォーカスした書類で、重要事項説明書は、「どういう物件を買うのか」という点にフォーカスしている書類とイメージすると分かりやすいでしょう。

重要事項説明書の詳しい記載事項のポイントについては、後編で解説します。

また、重要事項説明書については宅建業法によって、契約前の説明が義務付けられていますが、売買契約書については説明義務までは課されていません。

こんな重要事項説明は危ない

重要事項説明は、必ず宅建士と買主が対面で行う必要があります。不動産会社によっては郵送契約をしているケースもありますが、重要事項説明については原則として郵送ではできません(IT重説は除く)

忙しい不動産会社ですと、買主である不動産投資家あてに売買契約書と重要事項説明書を一緒に郵送して署名捺印をさせてしまうケースがありますが、この流れは宅建業法上違法ですので注意が必要です。

重要事項説明は、必ず宅建士対面のもと資格者証も確認した上で聞くようにしましょう。

前編では、重要事項説明の位置付けや概要について解説してきました。

引き続き後編では、重要事項説明書に書かれている内容や気をつけるべきポイントなどについて解説したいと思います。

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棚田 健大郎

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棚田 健大郎

行政書士

大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

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