入居者が亡くなったら【前編】必要な対応と賃借権
よく聞く不動産投資のリスクの1つに「入居者の自殺や孤独死」があげられます。
万が一、自分の所有しているマンションで入居者が亡くなってしまったら、大家としてどのような対応が必要になるのか、事前に確認しておくことは非常に大切です。
そこで今回は、自殺や孤独死をはじめ、病死や事故など、入居者が突然亡くなった場合に大家がとらなければいけない対応や、生じるリスクについて、2回に分けて解説いたします。
現役の大家さんはもちろんのこと、これから不動産投資を始めようと考えている方は、ぜひ読んで万が一の際に備えておきましょう。
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発見した場合に取るべき対応について
万が一、自身の所有する賃貸物件で、入居者が亡くなっていることを発見したら、その後、オーナーとしてはどのような対応を取るべきなのでしょうか。
ここでは、大家自身が発見する場合と、入居者の家族が発見する場合に分けて解説します。
大家が発見する場合の注意点
基本的に大家は、入居者の住んでいる部屋の鍵を、勝手に開けて入ることができません。
ただ、何日も連絡がつかなかったり、家賃滞納の督促をしても応答がまったくない場合は、万が一の事態を疑う必要があります。
その場合は、まず「警察」に連絡をして事情を説明し、安否確認のために部屋に入りたいので立ち会ってほしい旨を伝えましょう。すると、交番の警察官が現場まで来てくれますので、警察官に鍵を渡して開けてもらいましょう。
このときのポイントは、必ず警察官に鍵を開けて入ってもらうことです。
大家自身が先頭になって入室して死亡している状態を発見すると、大家が第一発見者となってしまい、色々と状況を説明しなければなりません。
まずは警察に室内の状況を確認してもらい、必要に応じて救急車を呼ぶなどすればよいでしょう。
親族やその他の場合
入居者の家族や友人が発見した場合については、電話などで大家に連絡が入ります。
電話を受けた際には、冷静に次の点について確認しましょう。
- いつ発見されたのか
- 室内のどの場所で亡くなっていたのか
- 死因は何か
- 死亡が確認された場所
- 死後どれくらい経過しているのか
これらの情報については、今後の賃貸運営や損害賠償の問題において大きく影響するため、最初に電話を受けた時点で必ず確認してメモに残しておくことをおすすめします。
賃借人が死亡したら、賃借権は消滅するのか
賃借人の死亡が確認された場合、物件を借りるという権利である「賃借権」はその後どうなるのでしょうか。
賃借権は相続される
賃借人が死亡した場合、賃借人が持っていた賃借権という権利は「相続」の対象となります。よって、賃借人が死亡したとしても、それによって当然に賃貸借契約が終了するわけではないのです。
大家としてすべきことは、まず「連帯保証人」に連絡を取ることです。
連帯保証人であれば、賃借人の相続人の連絡先を知っている可能性が高いですし、場合によっては連帯保証人が相続人というケースもあります。
賃借権は相続の対象ではありますが、一人暮らしの孤独死などの場合は、相続人が賃借権を相続したうえで契約の解除を申し出ることが一般的です。
ただ、大家が勝手に解除することはできないため、まずは相続人の連絡先をおさえることが重要になります。
滞納賃料は回収できるのか
亡くなった賃借人が家賃を滞納していた場合、未払い分を回収することはできるのでしょうか。また、できるとした場合、誰に対して、どのように請求すればよいのでしょうか。
滞納賃料の2つの請求先
入居者が家賃を滞納したまま亡くなった場合、未払い分については、以下の2カ所に対して請求することができます。
連帯保証人に請求する
連帯保証人がいる場合は、速やかに未払い分の請求をしましょう。
連帯保証人は、契約者本人が死亡したとしても、引き続き支払い義務が残るため、請求することができるのです。
相続人に請求する
相続人は亡くなった本人の債権債務すべてを相続することになるため、未払い分の家賃の支払い債務も相続します。ただし、相続人には「相続放棄」という選択肢も残されているため、まずは相続人が相続をするのかどうかの確認が必要です。
後編ではほかの部屋への告知について、また賃貸募集の告知義務などについて解説いたします。
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