不動産投資コラム

損をしない!旗竿地7つのチェックポイント/後編

不動産鑑定士堀田 直紀
損をしない!旗竿地7つのチェックポイント/後編

前回の記事に引き続き、旗竿地の投資で損をしないための7つのチェックポイントを解説いたします。

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4.旗竿地のチェックポイント/高低差・崖

旗竿地で、かつ、道路もしくは隣地との間に高低差がある場合、崖になっている場合は、特に注意が必要です。
前面道路と敷地との間に高低差がある場合、路地状部分が階段となっている場合があるので、駐車スペースが取れないといったことがあります。

さらに、崖地になっていると、路地状部分が長いだけに擁壁の設置に余計にコストがかかってしまうことがあります。
現状では問題がなくても、将来的に擁壁の補修などが必要になり、思わぬ出費につながるので、頭に入れておいたほうが良いでしょう。

5.旗竿地のチェックポイント/私道の持分と通行・掘削承諾

面している道路が公道でなく私道の場合には、持分(共有者が持つ権利)があるか確認しましょう。
私道の持分の有無と建築確認は一致しませんので、私道の持分がなくても直ちに再建築不可とはなりませんが、他人の土地を通っていかなければならないので、権利的には非常に不安定な状態となります。

次に、位置指定道路(建築基準法42条1項5号道路、前回記事参照)だと、私道部分が共有となっていることが多いのですが、その場合、関係する共有者全員から「通行・掘削承諾」を得ておく必要があります。

「通行」は人や自動車が通ること、「掘削」は給排水管の工事などのときに、道路のアスファルトを掘り起こすことを指します。
通行や掘削について、共有者の承諾や協定書がない場合、今のところ問題は生じていなかったとしても、相続で世代が代わった場合に、将来的にトラブルになる可能性があります。

したがって、検討にあたっては、事前に「通行・掘削承諾書」などの有無や、負担金などを仲介会社に確認する必要があります。
新たに「通行・掘削」を認めてもらう場合には、いわゆる「ハンコ代」が必要になる場合があります。
特に、共有者が多い場合には、承諾を得るために大きな手間や費用がかかることがあるので、注意が必要です。

また、私道だけに面する土地は、その私道が建築基準法上の道路であっても、私道の共有持分がないと住宅ローンの審査で問題となる場合があります。
私道持分がないと、通行や掘削に関する不安定要素があり、担保価値の評価に影響するためです。
したがって、この場合も「通行・掘削承諾書」が必要となってきますので、意識しておきましょう。

6.旗竿地のチェックポイント/日当たり・風通しのよさ

旗竿地の場合、土地が奥まっているため、前に建物が建っていることが多いといえます。
道路に多く面する、間口の広い土地に比べると、日当たりが劣ってしまうことがあります。昼間にどのくらい日照があるのか、時間帯を変えて現地を確認しましょう。
また、同様に周囲の建物が風の通りを遮ってしまうため、建物内の風通しも悪くなることが考えられます。

7.旗竿地のチェックポイント/隣地(家)との距離

一概にはいえませんが、前の建物が日照を確保するために、敷地の境界ぎりぎりに建てている場合や、周囲が建物に囲まれている場合には、建物との距離が近くなり、プライバシーや音の面で気になる場合があります。
実際に隣接建物との距離、隣接建物の窓の位置などを現地で確認しておくとよいでしょう。

まとめ

以上のように、旗竿地とはどのような土地であるか、また、メリット・デメリット、旗竿地の投資で損しないためのチェックポイントをみてきました。

旗竿地というのは、金額的には確かに魅力な土地です。しかし、安いのにはいくつかの理由があります。
メリットだけでなくデメリットも理解していないと、思わぬ出費が生じたり、耐えられない欠点が出てきたりする可能性があります。
販売価格だけに惹かれてすぐに飛びつかず、この記事で説明したデメリットを検討し、十分に納得したうえで購入するようにしましょう。

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堀田 直紀

不動産鑑定士・宅地建物取引士

堀田 直紀

不動産鑑定士・宅地建物取引士

不動産鑑定士試験合格後、民間最大手の大和不動産鑑定株式会社にて約11年間、収益物件をはじめとした鑑定評価業務に従事。平成29年10月、ミッドポイント不動産鑑定株式会社を設立。

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