コラム

入居者が亡くなったら【後編】告知義務と賃料の影響

入居者が亡くなったら【後編】告知義務と賃料の影響

不動産投資のリスクの1つ「入居者の死亡」。
万が一自分の所有物件で入居者が亡くなってしまった場合の大家としての対応について、前編 では「発見した場合の対応」「賃借権について」「滞納賃料について」等を解説しました。

後編ではほかの入居者への対応や賃貸募集の告知義務などについて解説いたします。

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ほかの部屋の入居者への告知について

入居者が亡くなった場合、ほかの部屋の入居者に告知する必要はあるのでしょうか。
これについては、亡くなったときの状況によって判断が変わってきます。

例えば、自殺や殺人事件で亡くなった場合は、物件現地に警察やパトカーがたくさん来るため、ほかの部屋の入居者は不安に感じるでしょう。このような場合は、告知義務の有無に関わらず、大家として入居者に何があったか説明すべきでしょう。

一方で、病死や突然死で、死後すぐに発見されたような場合は、そんなに大事にならない可能性が高いため、あえてこちらからほかの部屋の入居者に告知する必要はないでしょう。

このように、あくまで個別に判断していくことになります。

部屋の原状回復費用は誰が負担する?

部屋の現状回復は
一人暮らしの孤独死の場合、遺体の発見が遅れることがよくあります。
時期にもよりますが、夏などに発見が遅れると、急速に遺体が腐敗するため、それによって室内が汚れたり、虫がわいてしまうことも少なくありません。

この場合、部屋の原状回復費用は、前編 で説明した家賃滞納と同じく、連帯保証人もしくは相続人に対して請求することが可能です。
ただし、相続人が相続放棄してしまうと、請求できるのは連帯保証人だけとなります。

ちなみに、連帯保証人でもあり相続人でもある、というケースが時々ありますが、この場合は相続放棄したとしても、自身の連帯保証人としての地位は変わらないため、請求することが可能です。

遺品整理は誰がやる?

亡くなった部屋の遺品整理についても、同じく連帯保証人か相続人にしてもらうことになります。ちなみに、相続人が資産価値のある遺品を処分した場合は、原則として相続放棄はできなくなります

もしも、相続人が誰もいない場合は、連帯保証人に撤去をお願いするしかないでしょう。

賃貸募集における注意点について

所有している賃貸物件で人が亡くなった場合は、その後の賃貸募集においてもかなりの影響が出てきます。
ここでは、最も大きな影響である「告知義務」とそれによる「賃料への影響」について解説します。

告知義務

物件で人が亡くなった場合は、状況によっては次の入居者募集の際に「告知義務」が生じます。

例えば、自殺や殺人事件の場合は、心理的な影響が大きいため、必ず告知する必要があります。

一方、高齢者が寿命で亡くなられてすぐに発見されたような、いわゆる「自然死」の場合、心理的影響は少ないため告知をしない場合もあります(自然死はある意味当然のことだからです)。

人が亡くなった場合の告知義務については、明確な法律の規定はないため、次の入居者に対して与える心理的影響を考慮して、個別に判断していくしかありません。

賃料への影響

人が亡くなった部屋に率先して住みたいという人は少ないですから、賃貸募集をする際には借り手がつくよう、賃料を相場より「値下げ」することが一般的です。

値下げ幅については、個別の事案と、物件の立地や賃貸需要にもよるため、一概にいうことはできません。目安としては、相場価格よりも2~4割程度(誰が見ても安いと感じるレベル)安く募集する傾向にあります。

また、相場家賃と下落した家賃との差額は、死亡の影響による損害のため、連帯保証人や相続人に対して「損害賠償請求」することが可能です。(金額については、個別の事案に応じて示談や裁判によって決まります)

まとめ

今回は、入居者が亡くなった場合に大家がどのように対応すればよいのかをテーマに解説してきました。

以下3点がとくに重要です。

  • 「賃借権」は相続の対象であるため、本人が亡くなっても、当然には賃貸借契約は終了しない
  • 「滞納家賃」や「原状回復費用」は、連帯保証人や相続人に請求できる
  • 死亡状況によっては「告知」が必要になるが、それによって家賃が下がった場合は、連帯保証人や相続人に「損害賠償請求」ができる

入居者が亡くなったとしても、残っている支払い関係については、請求することができるため、焦る必要はありません。

まずは落ち着いて、ひとつひとつ対処していきましょう。

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棚田 健大郎
棚田 健大郎

棚田 健大郎

行政書士

棚田 健大郎

行政書士

大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。行政書士、マンション管理士、ファイナンシャルプランナーなどの資格を取得し、棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

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