不動産投資のQA

これって経費になるの、ならないの?確定申告する場合の項目はなに?そんな疑問に大家専門の税理士がお答えします。

生前贈与保険で毎年の贈与が自動化できる?

母が多額の現金資産を持っており、子である私たちに毎年贈与をしたいと考えています。
毎年贈与契約書を作って銀行振込をするのは大変なので、生命保険を使って自動的に贈与ができる方法があると聞きました。

どのような仕組みなのでしょうか?また、毎年の110万円の基礎控除は使えるのでしょうか?

保険を活用した「都度贈与」で毎年110万円の基礎控除が可能。自動化のメリットは大きいが、外貨建てリスクや7年加算に注意。

1.生存給付金付き保険の仕組み

ご質問の方法は「生前贈与機能付き終身保険」と呼ばれる商品です。

仕組みとしては、母(契約者・保険料負担者)が一時払いでまとまった保険料(例えば1,500万円)を支払い、その後毎年、子や孫などの指定受取人に生存給付金(例えば年100万円)が支払われるというものです。

被保険者である母が各保険年度の末日に生存していることが支払条件となっており、被保険者が亡くなった場合には残額が死亡保険金として支払われます。

2.毎年110万円の基礎控除が使える

この生存給付金が毎年の贈与(都度贈与)として扱われるのか、それとも契約時に全額が確定した定期贈与として一括課税されるのかが問題となります。

この点について、東京国税局の文書回答事例(平成27年5月28日付)で明確な回答が示されています。

結論としては、生存給付金は「都度贈与」として扱われ、毎年110万円の基礎控除が適用可能です。

定期贈与に該当しない理由は2つあります。

第一に、生存給付金は被保険者の生存という不確定な事実を支払条件としているため、契約時に将来の全額が確定しておらず、相続税法上の定期金給付契約には該当しません。

第二に、支払原因は各保険年度末日にその都度確定するものであり、契約時に全額の権利が成立しているわけではありません。

この2点から、定期贈与(一度の贈与で全額が確定する契約)とは構造が異なるとされています。

3.保険を使うメリット

この国税庁の見解を受けて、生命保険各社は「生前贈与機能付き終身保険」を積極的に商品化しています。主に銀行の窓口販売チャネルで富裕層向けに提案されています。

メリットとしては、まず保険会社が受取人の口座に直接振り込むため毎年の贈与契約書の作成が不要になり、手続きが自動化されます。また、保険会社を間に挟むことで贈与する側・される側の直接の合意という形にならず、定期贈与と認定されるリスクが低減されます。

さらに、毎年の分割払いのため受贈者が一度に多額を受け取ることがなく使い込み防止にもなります。

加えて、被保険者が亡くなった場合の残額は死亡保険金となり、500万円×法定相続人数の非課税枠を活用できるのも大きなメリットです。

4.注意すべきポイント

一方で注意点もあります。現在販売されている商品の大半は米ドル建て等の外貨建てであり、為替変動によって受取総額が払込保険料を下回る元本割れのリスクがあります。

また、2024年の税制改正により、相続発生前の生前贈与加算期間が3年から7年に延長されました。
贈与を始める時期が遅いと、せっかく贈与した分が相続財産に加算されてしまう可能性があります。早めに着手することが重要です。

さらに、受け取った生存給付金を名義預金と指摘されないよう、受取人本人が管理・使用している口座で受け取ることが大切です。

形式的に保険会社から振り込まれていても、実際に受取人が自分の意思で管理していなければ、贈与の実態がないと判断される恐れがあります。

5.まとめ

生前贈与機能付き保険は、保険会社が毎年自動的に受取人へ振り込むため手続きの手間がなく、定期贈与と認定されるリスクも低い有力な贈与手段です。
ただし、外貨建ての元本割れリスクや生前贈与加算期間の延長(最長7年)、名義預金と指摘されないための管理の徹底など、注意点も踏まえたうえで検討しましょう。

2026/06/12

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渡邊 浩滋

税理士・司法書士

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

経営難だった実家のアパート経営を大きく改善し、大家さん専門の税理士事務所を設立。北海道から沖縄まで幅広く相談を受ける。セミナー、出版、連載など多方面で活躍。専門税理士ネットワーク『knees』メンバー。

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