所有物している部屋から下の部屋に水漏れ…下の階にはどこまで賠償?
先日管理会社から電話があり、私の所有している区分マンションの201号室から101号室に水漏れしていることが発覚しました。
下の階の所有者から壁紙の張替え費用や賃借人の家財の賠償を要求されているのですが、どこまで賠償すればよいのでしょうか?
下の階の所有者には濡れた壁紙などの張り替え費用など、賃借人には家財の賠償などが必要になりますが、まずは発生原因の特定が必要です。
所有している賃貸物件で水漏れが発生した場合は、以下の手順で対処する必要があります。
1:発生原因の特定
区分マンションで水漏れが発覚した場合は、水漏れの発生原因によって損害賠償の流れが変わってきます。
水漏れの原因が給排水管の劣化など設備が原因で漏れている場合については、201号室の所有者の責任において101号室の所有者及び賃借人に対して賠償することになります。
一方で、201号室の賃借人が大量に水をこぼしたなどの理由で水漏れを発生させた場合については、201号室の賃借人の責任で損害賠償する流れになるので、まずは発生原因について現地を確認して特定することが重要です。
2:損害賠償
設備が原因の場合は所有者の火災保険、賃借人に原因があれば賃借人の火災保険を適用することで101号室の所有者や賃借人に対する損害を賠償することになります。
賃借人については通常、賃貸借契約をする時に火災保険に加入しているので問題ありませんが、所有者については火災保険に未加入の方が時々おられますので注意が必要です。
火災保険に未加入だと、全額実費で賠償しなければならないので場合によってはかなりの金額になることもあります。
損害賠償の範囲
水漏れによる損害賠償の範囲は、水漏れの規模にもよりますが概ね次のような項目が予想されます。
原則として、水漏れの場合は乾けば問題がない程度の被害であれば賠償する必要はないといわれています。
例えば、水漏れによって服が濡れてしまったような場合でも、乾けば問題がない程度の被害であれば買い替え費用を負担する必要はありません。
被害者の保険は使えるのか
ちなみに、101号室の所有者や賃借人に自分の火災保険を使ってもらうことも可能です。
ただし、被害者の保険会社から保険金が下りたとしても、水漏れの原因元に保険会社から求償されるため、保険を使ってもらったからといって自己負担がなくなるというわけではありません。
水漏れが発生すると損害賠償額が高額になることがあるので、まだ火災保険に加入していないという方は、不動産投資の経費として計上できるのですぐにでも加入することをおすすめします。
2020/03/14
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回答者棚田 健大郎
行政書士・マンション管理士・宅地建物取引士・管理業務主任者・敷金診断士・ファイナンシャルプランナー