タバコのヤニ汚れがひどい、敷金から控除できる?
賃借人と敷金精算でもめています。
2年間入居していた賃借人が退去したのですが、室内でかなりタバコを吸っていたようで、ヤニによる汚れがかなりひどい状況です。
壁紙の張り替え費用や清掃費用などを敷金から控除しようとしたところ、賃借人から納得できないといわれています。
どうすればいいでしょうか。
敷金から控除できる可能性がありますが、全額は難しいです。
タバコのヤニ汚れやそれにともなう臭気については、大家にとっての悩みの種でもあります。タバコによる汚れによって、壁紙の張り替えなどが必要になった場合には、賃借人に対して一定の費用負担を求めることが可能です。
ただし、その際に注意しなければならないのは「耐用年数」です。
例えば、10年住んでいた人が退去した場合、たとえタバコのヤニで汚れていたとしても、その壁紙はすでに耐用年数を超えています。壁紙の耐用年数は6年であり、6年を超えて使用している壁紙については、実質的に価値がありません。
よって、賃借人がタバコで汚そうが、そもそも張り替え代金は大家が持つべきなのです。
このように、タバコが原因で張り替えや交換をする場合については、対象物の耐用年数がどれくらい経過しているのかによって、賃借人に請求できる金額が変わってきます。
壁紙の張り替え費用が10万円だとして、居住年数が3年間とした場合、すでに耐用年数の半分を経過しているため5万円しか請求できないということです。
ただし、これはあくまで壁紙そのものの材料費に対する考え方です。
賃借人があまりにもひどくタバコを吸ったような場合には、善管注意義務違反として、壁紙張替えの「工事費用部分」や「人件費部分」については、実費そのものを請求できる可能性があります。
ただ、何れにしても賃借人ともめやすい部分なので、できれば、タバコのヤニ汚れによる復旧費用について賃貸借契約書に記載するなどして、入居してもらうとよいでしょう。
2019/07/27
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回答者棚田 健大郎
行政書士・マンション管理士・宅地建物取引士・管理業務主任者・敷金診断士・ファイナンシャルプランナー