不動産投資コラム

不動産鑑定士推薦!続・投資に失敗しないための本

不動産鑑定士堀田 直紀
不動産鑑定士推薦!続・投資に失敗しないための本

少し前に「不動産鑑定士推薦!投資に失敗しないための基本3冊」 というコラムで、書籍を3冊紹介させていただきましたが、今回はその続編です。

次々に新しい不動産投資本が出版されますので、どれを読むか迷ってしまうと思います。
投資に対する考え方や心構えといった内容はいつの時代でもあてはまるかもしれませんが、不動産を取り巻く環境は日々変わっていますので、ある程度新しいものを読むことをお勧めします。
今回は、著者に突撃インタビューをした内容も含めてお伝えしたいと思います。

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『初心者から経験者まですべての段階で差がつく!不動産投資 最強の教科書』

著者:鈴木宏史
出版社:東洋経済新報社

まず、ご紹介したいのはこの1冊です。
実はこの著者、鈴木氏は不動産鑑定士であって、私の古くからの友人です。

不動産鑑定士になるためには短答式、論文式試験があり、晴れて合格してもまだ実務修習というものがあります。
この修習では何日も集団で講義を受けたり、膨大な課題を提出したりとなかなか大変なものなのですが、鈴木氏とはこの修習で苦楽を共にした仲間です。

このような縁もあって、今回は久しぶりにお会いして、直接話をすることができました。

年間収入1億円超。家族のことも考えられる「余裕」

鈴木氏はいってみれば、不動産鑑定士というより、完全な投資家です。
もともとは不動産鑑定の仕事をしていましたが、転職し大手メーカーでの勤務も経て、ついに投資家としてサラリーマン生活に別れを告げました。
いまは、不動産への総投資額は10億円超、年間収入は1億円超となっているそうです。

まず、久しぶりに彼に会った時の印象は、「余裕」のようなものが感じられたことです。サラリーマン時代よりも経済的、精神的に自由になり、自分の人生を楽しんでいるようでした。

仕事をバリバリしている人は、お金があっても時間がない、もしくはストレスが多い。
反対に時間的にゆとりを持たせたい人は、その生活を支える十分なお金がない。

これは多くの人が抱える悩みだと思います。
不動産投資は、その悩みを解決するひとつの方法なのだと、鈴木氏の話を聞いていて、改めて実感しました。

多くの人が働いている時期に家族で南国リゾートに旅行に行ったり、子供の将来の教育のことを真剣に考えていたりと、現況を話してくれました。
経済的自由があるからこそ、自分だけでなく家族のことも考える余裕が生まれるのだなと思いました。

ただ、誰もが簡単にこの「自由」を手に入れられるわけではありません。
今回の鈴木氏の本では、明確なゴールをもって、どのような計画を立てて、どのような実践をしていった結果、いまに至ったのかということが、ストーリー立てて書かれています。

内容としては、本の題名の通り、初心者から経験者まで役に立つ本だと思います。実際に経験したこと、失敗したことが場面ごとにちりばめられていて、とても参考になります。

「経済的自由」を手に入れるために

不動産投資本というのは、著者の立場や所属する会社の事情によって、本の中に宣伝が入っていたり、その分野への投資を促すような内容となっていたりすることが、往々にしてあります。
これは仕方のないことですが、今回の鈴木氏の著者では、あまりしがらみのようなものは感じられず、素直に思ったことを書いていて、内容に偏りがないなという感想です。

いまはご存知の通り、不動産価格も高騰しているため、不動産投資をするタイミングとしては遅いのではないかという意見があります。
しかし、鈴木氏はこう答えます。

「不動産投資のタイミングは自分がやろうと決断したとき。はじめるのに遅すぎることはない。いかなるときも不動産投資は与えられた環境で行うものであり、成功に導く術は必ずある」と。

確かに、いまはタイミングではないと、何かと理由をつけ、一歩が踏み出せない言い訳にしているのかもしれませんね。
「経済的自由」を手に入れるためには、まずは思い切って行動するということが大事だということが心に残りました。

今回の本は、構成や内容もしっかりしていて、力作だと思いますので、一度手にとって読んでいただければと思います。

『儲かる!空き家・古家不動産投資入門』

著者:三木章裕、大熊重之
出版社:フォレスト出版

次にご紹介するのは、空き家・古家に関する本です。
不動産投資の中でも、特に戸建の投資、さらに空き家・古家に絞って書かれた本になります。

著者である三木氏は収益不動産の経営コンサルタントで大家業、大熊氏は一般社団法人全国古家再生推進協議会(以下、全古協)理事長などの肩書を持っています。

土地から投資用の収益建物を建てたり、築浅の物件を購入して、綺麗にリフォームして、賃貸したりという視点とは全く別の発想で、利用されていない空き家・古家を再生して有効利用しようという投資です。

言ってみれば、ボロ家を安く買い取って、最低限のリフォームをして、住宅を必要とする人に貸すといったもので、一番の魅力は何といっても、少ない投資額で、継続収入を得られるということです。

コストをかけて完璧にリフォームする必要はない?

中でも、興味深かったのは、全古協が主催する「空き家・古家物件見学ツアー」についてです。
これは、物件購入検討者のほかに、古家再生士という、空き家・古家の賃貸物件化を専門としたリフォームを行う職人で全古協が認定した工事会社が同行して、工事のアドバイスや見積などするといったものです。
リフォームは収益向上につながる最低限のリフォームだけを行い、収益に貢献しない工事は積極的にはしないということです。

全体的にリフォームして綺麗にしたほうが、入居者の印象がよくなるというのは、当たり前のことですが、それほどまでにコストをかけて完璧にする必要はない、入居者はそこまで求めていないということもよくあります
それより、賃料が安いほうが喜ばれるということです。

その見極めについて、この本では、詳しく説明しています。
外観に少し手を加えるだけで見違えるほどおしゃれに見せたり、壁紙の使い方次第で与える印象が大きく変わったりと、随所にカラー写真をつけて、紹介しています。

古家の再生は今後の社会的ニーズあり

もうひとつ参考になったのは、物件を買うときは、周辺の適正賃料を徹底的に調べ、想定利回りで割って、リフォーム費用を差し引き、購入限度額を把握するということです。こうすることで、収益に見合わない金額で買ってしまうということが避けられます。
木造古家では融資を付けることが難しいですが、反面、少額の手元資金から不動産投資をはじめられるというのはハードルが低いかもしれません。

空き家が今後、間違いなく増加する日本において、古家を再生して、有効利用することは社会的なニーズにも合っているので、今後ますます注目の分野になっていくのではないでしょうか。

『物件サポート3500人! 事例で見る“勝ち組み大家”の法則』

勝ち組大家

著者:新川義忠
出版社:ごま書房新社

さきほどは戸建についてですが、こちらは主にアパートについて多く書かれた本です。

著者は不動産投資専門会社の営業マンであり、その経験を活かして書かれたものです。

元不動産投資会社の営業マンの抱負な実績

特徴としては、著者の経歴や経験に基づく投資術を中心に書かれています。

また、豊富な実績の中から、成功する大家さんの事例を数多く紹介しており、大家さんが購入したときの物件の種類や利回り、金融機関の別などが挙げられており、参考になるものがあると思います。

そのほか、物件の価格を交渉するときのコツや、投資家としてやってはいけないことなどがあげられています。全体的にさらっと読める本だと思います。

印象に残ったのは、「オーナーの人間力を高める」ということです。
ビジネスなのである程度厳しさは必要ですが、管理会社などに対して信頼関係なくしては、長い目で見たときにうまくいきません。思いやりを持って接することが肝心という基本姿勢を再認識させられました。

以上タイプの異なる3冊紹介させていただきました。参考にしていただければ幸いです。
どの本についても共通していることは、本で知識を蓄えたうえで、やはり一歩踏み出すこと、実践をすることが何よりも大事だということです。

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堀田 直紀

不動産鑑定士・宅地建物取引士

堀田 直紀

不動産鑑定士・宅地建物取引士

不動産鑑定士試験合格後、民間最大手の大和不動産鑑定株式会社にて約11年間、収益物件をはじめとした鑑定評価業務に従事。平成29年10月、ミッドポイント不動産鑑定株式会社を設立。

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