個人よりも法人の方が融資は受けやすいのはなぜ?
これから不動産投資を始めます。
個人で不動産を購入するよりも、法人で購入する方が融資が通りやすいと聞きました。
なぜ法人の方がよいのでしょうか?
資産拡大には、金融機関から融資を受けて物件を購入していくことが必要です。
個人での融資は、上場企業にお勤めだとか、公務員などの属性が高い方は、受けやすいです。
それは属性に対して融資が出るからです。
しかし、それは1~2棟までの話。
3棟くらい購入した途端に、融資が出なくなる方をよく見ます。
絶対に法人の方が融資が受けられると断言はできませんが、個人よりも法人の方が、融資が受けやすいポイントが3つあります。
融資上限額
個人の場合、サラリーマンの年収の◯倍まで。とか、◯億円まで。などの上限がある金融機関があります。
上限まで一杯になってしまうと、それ以上は借りられなくなってしまうのです。
法人であれば、上限がない場合がほとんどなので、よい決算書にしていけば、融資を受けて資産拡大することも可能になります。
よい決算書とは、一言で言うと、「純資産の金額をいかに大きくするか」です。
金融機関は、決算書をいろいろな指標を使って見ますが、純資産の金額を重要視しています。
純資産の金額は、ざっくり分けると、「資本金と利益剰余金」から構成されています。
資本金とは、会社に入れた自己資金です。
設立時に入れるお金と、途中で増資したお金が合算されます。
資本金を増やすことで会社が大きいと判断されますが、資本金を大きくすると、法人住民税の均等割が増えてしまったり、優遇税制が適用できなくなるなどのデメリットが生じてしまいます。
そこで通常は、利益剰余金を増やすことを考えていきます。
利益剰余金は、「過去の利益の積み上げ」になります。
毎年の(税引き後)利益が利益剰余金に積み上がっていくのです。
利益剰余金を大きくするためには、黒字にすることが必要ですが、その黒字である期を重ねていくことで、さらに大きくなっていくのです。
単年の利益は小さくても、積み上げれば大きくなっていくので、法人で早く運営を始めた方がよいと言えます。
年齢制限
個人の場合、借入金の返済期間の最長を、「80歳になるまで」等と制限されることが一般的です。
地主さんが相続対策でアパートを建築する場合には、子供を連帯保証人にすることで、借りられる場合はあります。
しかし、土地から購入する不動産投資は、80歳を超える返済期間の融資は難しいです。
法人の場合には、個人に相続が発生したとしても、存続することになるため、年齢によって借りられないことはありません。
ただし、代表者の方がご高齢の場合には、承継者を役員に入れて、連帯保証をしてもらうことで融資できることがあります。
融資担当者のやる気
金融機関では、一般的に法人融資に力を入れています。
個人の融資額を伸ばすよりも、法人の融資額を伸ばすことが求められ、評価されるのです。
したがって、個人の融資よりも法人への融資の方が、金融機関の担当者が積極的になります。
融資ができるかどうかは、最終的には、担当者が「貸したい」と思う気持ちが強いかどうかで決まると言っても過言ではありません。
多少、属性や物件条件が厳しくても、稟議書をしっかり書いて上司を説得できる担当者であれば、融資してもらえる可能性が高まります。
さらに、連帯保証人であれば、代表者でよいというメリットがあります。
個人だと、奥様など別の人を連帯保証人にしなければならないことがあります。
2024/11/01
手間をかけずに将来に備えた資産をつくる…空室リスクが低い不動産投資とは?
回答者渡邊 浩滋
税理士・司法書士