システムキッチンやユニットバスの取り換え費用は修繕費になる?
築25年の賃貸マンションを所有しています。
設備を建築当初から替えていないため、部屋の退去がある都度、システムキッチンとユニットバスを交換する工事をしています。
解体費や設置費用も含めると1部屋につき200万円程度かかるのですが、この費用は修繕費でよいのでしょうか?
解体工事費用は経費、新たな設置費用は資本的支出になります。
解体工事費用は、全額必要経費に計上できるものと考えます。
新たな設置費用は、全額が資本的支出に該当することになります。
システムキッチン、ユニットバスが建物と物理的・機能的に一体不可分の内部造作と認められる場合には、建物と同じ耐用年数で償却していくことになります。
1.修繕費か資本的支出か
下記の判例より、全額が資産に計上するものになります。
システムキッチン及びユニットバスの取替費用は、本件建物の各住宅の通常の維持管理のための費用、すなわち修繕費であるとは認められず、新たにシステムキッチン及びユニットバスを設置し、台所及び浴室を新設したことによって、当該各住宅ひいては本件建物の価値を高め、又はその耐久性を増すことになると認められるから、その全額が資本的支出に該当するというべきである。
平成26年4月21日裁決による判断
2.器具備品か建物か
資産のうち、何の資産に該当するかによって耐用年数が異なりますが、上記裁決の中では、器具備品に該当するものは、
建物とは構造上独立・可分であって、かつ、機能上建物の用途及び使用の状況に即した建物本来の効用を維持する目的以外の固有の目的により設置されたもの
建物附属設備として独立の償却単位とされているものではない建物の内部造作、つまり、建物の内部に設置されたもので、建物と物理的・機能的に一体となって、建物のそれぞれの用途における使用のために客観的な便益を与えるものである場合には、建物に含まれ、当該建物の耐用年数により減価償却される。
としています。
さらに、
新たに設置されたシステムキッチンは床や壁面にコーキング等によって固定されているから、本件建物との物理的な接着の程度もかなり高く、容易に取り外すことができないもの
ユニットバス設置工事は、浴室があった場所に、既存の設備に替えて防水用の各種の部材を結合させたユニットバスを設置し、それらを既存の給湯、給排水設備と連結させて浴室を新設したものであることからすると、そのことによって初めて住宅内での湯水の利用や入浴を可能にするものである
ことから、システムキッチン、ユニットバスは建物の一部と判断しています。
3.取替費用の考え方
上記裁決事例では、取替え費用の考え方について下記のように言及しています。
建築当初から設置されていた各設備及び壁・床の表面等を全面的に新しい設備等に取り替えたものであり、このことは、本件建物の各住宅を形成していた一部分の取壊し・廃棄と新設が同時に行われたとみるべきものである
納税者にとって厳しい判断になっていますが、取替費用の判断基準としては、参考になります。
2018/08/10
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渡邊 浩滋
税理士・司法書士
経営難だった実家のアパート経営を大きく改善し、大家さん専門の税理士事務所を設立。北海道から沖縄まで幅広く相談を受ける。セミナー、出版、連載など多方面で活躍。専門税理士ネットワーク『knees』メンバー。
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回答者渡邊 浩滋
税理士・司法書士