不動産投資のQA

これって経費になるの、ならないの?確定申告する場合の項目はなに?そんな疑問に大家専門の税理士がお答えします。

過去の経費の返金を受けた。収入になる?消費税に影響する?

個人で賃貸マンションの経営をしています。

管理会社に管理を依頼し、年3回の定期清掃費用、3年に1回の排水管清掃もお願いしています。

先日、管理会社のミスで定期清掃と排水管清掃が、契約通りに実施されていないことが判明しました。

過去にさかのぼって未実施分の費用を計算し、15万程度の返金を受けることとなりました。

(1)返金額15万円は今年度の所得扱いになりますか?

(2)このマンションにはテナント賃料があり、消費税の課税事業者になるか免税事業者になるかの微妙なラインにいます。

この返金額が課税売上に加算されるなど、課税事業者の判定に影響はありますか?

(1)(2)以下となります。

(1)所得税の取り扱い

事業的規模(5棟10室以上)か、事業的規模未満かによって取り扱いが異なると考えます。

固定資産税を過去払いすぎていたことが発覚し、納税額が一部返金された場合の処理は、事業的規模なら、返金された年の不動産所得の収入に計上。

事業的規模未満の場合は、払った年にさかのぼって、経費を減額した修正申告が必要とされています。

上記の考え方に準じて考えると、

事業的規模で賃貸経営している場合には、今年度の不動産所得の収入に計上し、事業的規模未満の場合には、過去の申告を修正することになろうかと思います。

(2)消費税の取り扱い

課税売上げとは、事業のための資産の譲渡、貸付け、サービスの提供が対象です。

過去支払った経費の返金は、課税売上ではありません。

したがって、消費税の課税事業者になる要件(課税売上高1,000万円超)には影響はしません。

なお、返金を受けた年が課税事業者である場合には、返金を受けた期間の仕入れ税額控除の調整(マイナス)を行うことになります。

2021/08/02

不動産投資は、立地で決まる。人口動向や賃貸需要に合わせた「新築一棟投資法」とは

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

経営難だった実家のアパート経営を大きく改善し、大家さん専門の税理士事務所を設立。北海道から沖縄まで幅広く相談を受ける。セミナー、出版、連載など多方面で活躍。専門税理士ネットワーク『knees』メンバー。

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