親族に賃貸する場合、家賃はいくらまで安く設定できる?
親族に無償でアパートの1室を使用させると、その部屋に係る経費は計上できないと聞きました。
無償にならないように、いくらか賃料を取ろうと思っています。
できる限り家賃を安く設定したいですが、通常の家賃より何割くらいまで下げられますか?
その場合、家賃の集金は管理会社にお願いしたほうがよいですか?
使用貸借や租税回避行為に該当しないよう検討する必要があります。
タダで賃貸すると(使用貸借)、事業として利用していない資産となって、固定資産税や減価償却費などが経費として計上できなくなってしまいます。
タダでなければよいのか、いくらまで安くできるのかについては、次の2つの観点から検討する必要があります。
(1)使用貸借にならないか
少額の賃料であっても、使用貸借になることがあります。
民法595条第1項には、
「借主は、借用物の通常の必要費を負担する」と規定しています。
このことから、最高裁の判断では、固定資産税相当額以下の賃料については、借り主が必要費を負担していると考えて、使用貸借と認定されます。
したがって、その部屋に相当する固定資産税・都市計画税相当額以上であることが前提になります。
昭和41年10月27日最高裁判所の判決
(2)租税回避行為になっていないか
固定資産税以上の賃料であっても、減価償却費や利息を差し引くと赤字になることがあります。
そうすると、不動産所得が少なくなったり、他の所得と損益通算できることになってしまいます。
家賃を意図的に下げて、所得を減らすことができてしまいます。
税務署からは、租税回避行為と見られてしまうと、経費が認められないことも考えられます。
経費を差し引いても、赤字にならないような賃料に設定するべきと考えます。
(第三者に賃貸している賃料でも赤字になる場合は、第三者に賃貸している以上の金額に設定する必要はありません。)
家賃の管理ですが、管理会社に依頼する必要はありません。
直接やり取りすることで問題ありません。
しかし、受け渡しが証拠として残るように振り込みにされることをお勧めします。
2021/05/07
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回答者渡邊 浩滋
税理士・司法書士