「レントロール」の見方とチェックポイント[後編]
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前編では、レントロールに書かれている主な内容をご説明しました。
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後編では、リスク回避をするための、レントロールに記載された情報の読み取り方を解説いたします。
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1.レントロールからみる利回り
投資用不動産を購入しようという時、利回りはとても重視されます。
利回りの計算根拠がレントロールの下のほうに書かれているものが多く見られます。
たいていの場合、表面利回りが書かれていると思いますが、この利回りは次のような式で表されます。
満室時の表面利回り(%)= 年間賃料収入÷ 物件価格×100
まず、満室時の表面利回りは現況貸室・駐車場収入と空室・空車賃料収入の合計額を物件価格で割って出されます。
月額1,746,120円×12ヶ月÷230,000,000円×100≒9.1%
次に、現況の表面利回りは、実際にテナントから取れている年間賃料収入を物件価格で割ったものになります。
駐車場がある物件ですと、駐車場の賃料も含んで計算されます。
このように利回りに差が出てきます。
売り物件の広告では、利回りが高くみえる満室時表面利回りを前面に出していることが多いようです。
この満室時表面利回りですが、想定する賃料等によっても、計算される利回りが変わってきます。
先にお話ししたように、現況の空室部分については、実際に入居している貸室の賃料単価の平均を入れていることが多いです。
とはいうものの、例えば長期間空室になっていて、なかなかテナントが現れない、もしくは相場賃料からかけ離れている場合には、少し賃料を控えめに設定したほうが、より現実的な利回りが求められます。
先ほどの例でも、現在、空室となっている3室の賃料を、もう1,500円/坪ずつ低く設定した場合は以下のような収入になります。

空室の設定賃料を1,500円/坪低くしたことにより、表面利回りは9.1%→8.6%となりました。
2.レントロールからみえてくること
2-1.用途や賃料の差をチェック!
レントロールを眺めていると、いろんなことが見えてきます。どのタイプが人気があって、どのタイプが苦戦しているかなどもわかります。
たとえば、1階の用途が店舗で、空室になっている場合は注意が必要です。
1階店舗部分は全体に占める賃料収入の割合が高いことが多いので、周辺の地域の状況を観察して、想定賃料を慎重に設定する必要があります。
また、同じタイプで面積も同じなのに、実際にテナントから取れている賃料に大きな差がある場合には要チェックです。
具体的に例を挙げると、竣工した当初から入っているテナントは、新築時の高い設定の賃料で入居している場合があります。
そして、新築時から長く入居しているテナントが退去した場合、新たに入ってくるテナントは、同じ賃料水準での契約は難しいと思われます。
場合によっては、大幅な賃料の減少を見込まなければなりません。
また、賃料の差が大きい場合の例として、稀に過去にその部屋で事故があったことなどがあります。
その場合、当面の間は、その部屋だけ賃料が低く設定されている場合があります。
他にも、オーナーや関連会社が安い賃料で入居していたり、目的によっては高い賃料で入居している場合があるので、売り主に聞くことができるのでしたら、賃料がかけ離れている理由を聞いてみてもよいでしょう。
2-2.一括で借りられていないかをチェック!
物件によっては少数のテナントが大部分の貸室を一括で借りている場合があります。
入居している間は稼働が高くなるので良いのですが、もし、一斉に退去するということになれば大変です。
程度にもよりますが、一気に空室が増え、予想していた賃料収入が入らなくなってしまうので、賃貸経営にとって大きなリスクになります。
一斉退去の例としては、下記の場合などが考えられます。
- 同じグループの関連会社が多く入居していたが、新しいビルを建てることになったので、事務所を移転する
- 企業が従業員のための社宅としてマンションの多くの部屋を一括して借りていたが、経営不振により社宅を減らさざるを得なくなった
一括貸しの場合は、レントロールでいくつかの部屋の賃貸面積がまとまって書かれていたりするので、ここもチェックするようにしましょう。
3.まとめ
レントロールは、たった1枚でまとめられることが多い簡単な資料ですが、その中にはとても多くの情報が詰まっている重要なものです。
具体的な購入の段階になったら、収入以外の費用関係についても詳しく調査する必要があります。
さしあたっては、どのくらいの利回りになるかなど、あたりをつける意味でも、レントロールにしっかり目を通すことは必要といえるでしょう。
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