コロナによる家賃減免を損金算入すると節税になる?
新聞で、新型コロナウィルス感染症の影響によりテナントの賃料を減免した場合に、税務上の損金算入ができるとありました。
減免すれば節税になるのでしょうか?
結論から申し上げると、節税にはなりません。
減免分には、税金をかけません(寄付金にはならない)という意味です。
詳しく説明すると、法人の場合、営利の追求が存在目的となるため、取引先などに売掛金を免除したときは、合理的な理由がない場合には、原則として相手方に対して寄付金を支出したものとして取り扱うことになっています。
(現金) 20万円 / (家賃収入)20万円
(寄付金)10万円 / (家賃収入)10万円
家賃収入が20万円ではなく、当初の30万円計上しなければならないことがポイントです。
そして減額した10万円は、寄付金として(一部※)損金不算入(経費として認めない)となります。
つまり、売上30万円-経費19,375円(※の例の場合)=約28万円に税金がかかることになります。
※(一般の)寄付金の損金限度額
(資本金×0.25%+所得×2.5%)×1/4の金額だけ損金として認められます。
(例)資本金100万円、所得300万円の場合
(100万円×0.25%+300万円×2.5%)×1/4=19,375円
(現金) 20万円 / (家賃収入)20万円
(貸倒損失)10万円 / (家賃収入)10万円
寄付金にならず、損金(貸倒損失)になるため、
家賃収入30万円には税金がかからないことになります。
売上30万円-経費10万円=20万円だけに税金がかかることになります。
そもそも家賃受け取っていないのだから、そこに税金をかけること自体がおかしいと思うのが一般的な考えでしょう。
しかし、法人税の世界では、理由なく家賃を減額したら、そこに税金をかけることになっています。
コロナによる家賃減額であれば、そこには税金をかけないということを確認しているにすぎません。
大家さんの税金がこれによって大きく減額されるという話ではありませんのでご注意ください。
なお、会計上は売上は減少していませんが(減額分は経費になるだけ)、減少したものとみなして、納税猶予(売上が20%減少した場合の措置)や固定資産税の減免(売上が30%以上減少した場合の措置)の適用が受けられることになっています。
2020/04/26
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回答者渡邊 浩滋
税理士・司法書士