不動産投資のQA

これって経費になるの、ならないの?確定申告する場合の項目はなに?そんな疑問に大家専門の税理士がお答えします。

役員の自宅を会社の社宅にすることはできる?

法人で物件を所有し、賃貸しています。

法人であれば、自宅を社宅にできると聞きました。

現在、自宅は個人で所有していますが、この自宅を法人が借り上げて社宅にすることは可能でしょうか?

役員又は使用人の福利厚生のためや業務の必要性から提供されるものなので難しいでしょう。

結論から申し上げますと、難しいです。

社宅とは、役員又は使用人の福利厚生のためや業務の必要性から提供されるものになります。

既に自宅として利用している建物を、社宅にして、既に居住している役員等に貸し付けることは、社宅の趣旨から逸脱するものと考えられます。

そのため、このような自宅を社宅として借りることは、実質的に、借り上げ賃料と社宅家賃の差額を給与(住宅手当)として支払ったものとして、所得税が課税されることになります。

借り上げ賃料10万円、社宅家賃2万円とした場合

《法人側の処理》

支払家賃 10万円  / 現預金 8万円
             雑収入 2万円
役員給与 8万円   / 支払家賃 8万円

つまり、役員給与8万円分が経費(過大給与となった場合は損金不算入)、源泉税の処理が発生します。

《個人側の処理》

給与収入8万円として所得税の課税対象になります。

結果的に、社宅にせずに、給与で支給したのと同じ取り扱いになります。

2019/12/01

不動産投資は、立地で決まる。人口動向や賃貸需要に合わせた「新築一棟投資法」とは

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

経営難だった実家のアパート経営を大きく改善し、大家さん専門の税理士事務所を設立。北海道から沖縄まで幅広く相談を受ける。セミナー、出版、連載など多方面で活躍。専門税理士ネットワーク『knees』メンバー。

記事一覧