日本政策金融公庫から融資を受けて物件を購入する方法
日本政策金融公庫は、民間金融機関とは融資が通りやすい物件の傾向に違いがあるため、特徴を理解することで、不動産投資において効果的に利用することが可能です。
前半 につづき後半では、実際に日本政策金融公庫から融資を受ける際の流れと、融資のポイントとなる事業計画書(創業計画書)の書き方について詳しく解説します。
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日本政策金融公庫を利用する際の流れ
日本政策金融公庫を利用して融資を受ける際の、一般的な流れについてみていきましょう。
ステップ1:制度利用について相談する
いきなり物件探しから始めることも可能ですが、日本政策金融公庫を初めて利用する場合については、事前に一度相談してみることをおすすめします。
電話もしくは支店窓口で直接相談することが可能です。
相談:支店窓口、商工会議所、生活衛生共業組合、都道府県の生活衛生営業指導センター
すでに不動産投資をされている方は、直近2期分の確定申告書や決算書を持参すると、より具体的なアドバイスを受けられます。
ステップ2:物件を探す
前半でも解説した通り、日本政策金融公庫向けの物件は「築年数」よりも「収益性」が重要なので、ある程度「高利回り」の物件を見つけることがポイントとなります。
例えば都内で探す場合、ワンルーム区分マンションで築年数が10~20年以上経過している物件であれば、2,000万円以下で購入できる可能性が高いので、審査が通りやすくなります。
実際に金利2%、融資期間15年くらいでシミュレーションをして、キャッシュフローが安定的に回りそうか確認してみることが重要です。
日本政策金融公庫の融資は融資期間が短いため、確実に返済できるキャッシュフローを実現できる利回りで考えましょう。
ステップ3:事業計画書の作成
不動産投資で日本政策金融公庫を利用するためには、不動産賃貸事業に対する事業計画書を作成して提出しなければなりません。
ここが、民間金融機関との一番の違いといっても過言ではないでしょう。
民間金融機関の場合は、収支のシミュレーションくらいであれば提出することもありますが、いわゆるかしこまった書式で事業計画書(創業計画書)を出すことはほとんどありません。
書き方については、後ほど詳しく解説します。
ステップ4:申込み
書類の準備ができたら、正式に借入申込みを行います。申込みに必要な主な書類は以下の通りです。
これら以外にも、不動産賃貸事業で融資を受ける場合に必要となる書類がありますので、それについては後ほど解説します。
ステップ5:面談
借入申込書を提出すると、1週間ほどで担当者から面談の日程調整について電話があります。
この際、不足する書類などがあれば、面談時に持参するよう指示されます。
ステップ6:審査
面談が終わると、融資審査が開始し、およそ1ヵ月程度で審査結果が通知されます。
ステップ7:金銭消費貸借契約書の締結
審査が通ったら、金銭消費貸借契約書、抵当権設定契約書など、住宅ローンでもおなじみの契約を締結して概ね手続きは終了します。
融資を受けるためのポイントは?
日本政策金融公庫から融資を受ける最大のポイントは、面談と提出する事業計画書などの書類です。
不動産賃貸事業に対して融資を受けるためには、事業計画書や添付書類によって、問題なく返済できることや、自身の見通しが甘くないことを証明する必要があります。
そのためにも、裏付け資料となる事業計画書などの書類がとても重要なのです。
事業計画書の書き方のポイントについて
日本政策金融公庫から不動産賃貸事業で融資を受けるために重要なことは、ポイントを押さえた事業計画書と、裏付けとなる添付書類の準備です。
事業計画書については、日本政策金融公庫のホームページから「創業計画書」の書式をダウンロードして使用することができます。
今回は、創業計画書の中で特にポイントとなる項目の書き方について、解説したいと思います。
ポイント1:創業の動機
最初に書くのが、創業の動機です。
日本政策金融公庫は、政府が100%出資している金融機関ですから、出資する事業が社会貢献につながるという公益性、公共性を重要視しています。
例えば、中古物件をリフォームによって再生して、空き家対策に寄与するなど、公的な利益につながることをアピールできるよう書くとよいでしょう。
ポイント2:必要な資金と調達方法
必要な資金については、実際に不動産業者からもらった見積書をもとに正確に記載することが重要です。
そのほかにも、不動産取得税、リフォームをする場合は工事明細や見積書についても必要になります。
調達方法については、できるだけ物件価格の2割程度の自己資金があったほうが、審査が通りやすくなります。
この項目のポイントは、「具体的な金額を自分自身で把握できている」ということをアピールすることです。
根拠のない金額では、仮に融資が通っても後で誤差が生じてキャッシュフローを圧迫する可能性がありますので、とにかく具体的かつ正確な金額を記入しましょう。
ポイント3:事業の見通し
運用開始から返済が終わるまでのキャッシュフローの見通しに、甘さがないかチェックされます。
ここでの重要となるポイントは、収入と支出を記載した「キャッシュフロー試算表」などを作成して、返済計画に無理がないことを証明することです。
特に支出については、築年数に合わせて適切な「修繕費」が盛り込まれているかを細かく見られます。
必要な添付書類
事業の見通しを裏付けするために、購入する物件に関する以下の書類については事前に準備して一緒に提出する必要があります。
事業計画書は、正確性、具体性、返済可能性の3点が盛り込まれていることで説得力が高まります。
今回記載した情報以外にも、プラスになりそうな資料があれば一緒に提出することをおすすめします。
まとめ
日本政策金融公庫は、低金利の固定金利でローンが組めるというメリットがありますが、事業計画書の作成が面倒で利用を躊躇しているという方も少なくないでしょう。
ただ、正確性、具体性、返済可能性を盛り込んだ事業計画書を作成していくと、本当にこの物件を買うべきかどうかについて、自分自身でも冷静に判断できますので、むしろメリットと捉えるべきでしょう。
日本政策金融公庫から融資を受けて成功している投資家はたくさんいますので、まずは一度窓口に相談してみることをおすすめします。
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