不動産鑑定士推薦! 投資に失敗しないための基本3冊
投資を成功させるためには、正しい知識を身につけ、基本をしっかりおさえることが重要です。投資に関する書籍は数多く出版されていますが、どの本を選べばよいのか、悩ましいですよね。
この連載では、その道の専門家が選ぶ、“読む価値がある本“をピックアップしていきます。
今回は不動産鑑定士の目線でおすすめの本を3冊、ご紹介します。
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『はじめての不動産投資成功の法則』
著者:藤原正明
出版社:幻冬舎
不動産投資の流れについて分かりやすくまとめられていて、この一冊を読めば基本的な内容をひと通り学べるでしょう。
序章では、昨今注目されている不動産投資について、どのような人が成功して、どのような人が失敗するのかを、具体的な事例を含めて紹介しています。
ただ漠然と将来が不安だから始めるのではなく、何のために投資をするのか、ゴールはどこに設定するのかなど、投資をはじめるにあたっての心構えを紹介しています。
不動産投資ならではの仕組みやメリット・デメリット
オーナーのやり方次第では収益性を高められ、大きな成果を期待できるので、ほかの投資にはない、不動産だからこそ実現できるメリットを説明しています。これから、不動産投資を始めようと思っている人に、興味を抱かせる内容となっています。
物件選定のポイントについてはエリアについて説明していますが、「住みたいエリアと投資エリアは分けて考える」というのはそのとおりですね。
物件のタイプには、アパート、マンション、新築、中古、一棟、区分など、選択肢は色々ありますが、この本では注意しなくてはならないタイプやおすすめのタイプを説明しています。それぞれについて、物件のサンプルを設定して、キャッシュフローのシミュレーションをしているところが、説得力があって分かりやすいです。
不動産投資の成功は、有利な融資を引けるかどうか
融資のポイントの章では、銀行によって、金利、融資期間は違うこと、担保評価の基準も一律ではないことが分かります。不動産投資の成功は、有利な融資を引けるかどうかにかかっていますので、自分がどのくらいの融資を受けられるかの参考になると思います。
具体例が多く、わかりやすい一冊
実際に不動産投資をしており、着実に成功に近づきつつある人たちの事例も紹介されています。
同様の不動産投資に関わる本を何冊も読んだなかで、この本は具体的な事例や数字が多く紹介されており、分かりやすいのが印象的です。表面的な知識だけでなく、銀行の融資の内容や税金などにも焦点をあてるなど、やや細かい内容も一部含まれており、不動産投資についてバランスよく学べます。
『この一冊ですべてが分かる 不動産投資 新・プロの流儀』
著者:倉橋隆行監修 木内哲也ほか共著
出版社:プラチナ出版
不動産マーケットは、日々変化し、投資環境も時代によって変わっていきますので、あまり古い著書を参考にするのはおすすめしません。
そこで、直近で出版され、かつ、内容も充実しているという視点から選んだのが、この一冊です。
もちろん、不動産投資の基本的なことについても前段で丁寧に説明されています。
なかでも建物の減価償却については、この制度をうまく利用することによって、税制上のメリットを享受できるということが分かりやすく解説されています。
ほかにも、投資判断する際に見ておくべき9つの指標も、なるほど!と思わされます。自分が投資をする際に、何を基準にするか、判断のポイントとして知っておいて損はないでしょう。
よくある質問として、不動産投資をはじめようとしている人が疑問に思うようなことに、Q&A形式で、回答している章も、とても参考になると思います。
現在の不動産市況や今後不動産価格について分析
最後の章では、市場分析編として、いま現在の不動産市況や今後不動産価格がどうなっていくかという、投資家にとって最も関心があるであろうと思われることを、プロの視点から分析しています。
この本は、出版(平成30年6月)されて間もないですから、まさに今読むべき本ではないかと思います。
『不動産の価格がわかる本』
著者:大和不動産鑑定株式会社 編著
出版社:日経BP社
不動産鑑定の実務にやや近い本です。この本の出版にあたっては、私が以前、鑑定会社に在職中にほんの一部だけ担当させていただきました。
内容としては、不動産マーケットの紹介、不動産価格の考え方、用途ごとの価格の求め方、建物調査のポイント、海外不動産のことが書かれています。
不動産の評価の求め方
ひと昔前の積算評価と異なり、今では投資対象となる不動産の評価は、その不動産から生み出される収益をベースに評価する収益還元法という求め方が主流です。
詳細は、既述のコラムを参照ください。
融資に直結!不動産の評価額の求め方[前編]
融資に直結!不動産の評価額の求め方[後編]
たとえば、ホテルの収益構造は特徴的で、客室稼働率やGOP(償却前営業利益)比率などを分析して評価していきます。それぞれの用途で求め方が異なるので、読んでいて納得される部分が多いことと思います。
文章は平易ですが、シミュレーションや具体的に実際に指標とされる数値を紹介していますので、表面的な概念しか説明していないよくある評価の本と比べ、より実践的な内容となっています。
あとは、一級建築士をはじめとした専門家による建物調査や土壌汚染などを解説した章も、これから不動産に関わられるのであれば勉強になると思います。
以上タイプの異なる3冊紹介させていただきましたが、皆さんの不動産に対する知識向上の一助となれば幸いです。
東京圏人口一極集中さらに加速…不動産投資は、立地で決まる。解説本無料プレゼント
- 第1回:行政書士推薦!不動産投資を始める前に読みたい3冊
第2回:不動産鑑定士推薦! 投資に失敗しないための基本3冊
- 第3回:不動産鑑定士推薦!続・投資に失敗しないための本
- 第4回:賃貸経営のプロ推薦!不動産投資の勉強に役立つ6冊