新型コロナで急変!都心部オフィス需要
前回のコラム では、先日発表された令和2年の地価調査についてお話しました。
新型コロナウイルス感染症の拡大によって、地価が下落に転じた地点が多かったとお伝えしました。
東京圏の商業地の平均変動率は+4.9%(令和元年)→+1.0%(令和2年)、
三大都市圏(東京、大阪、名古屋)でも+5.2%(令和元年)→+0.7%(令和2年)
と、プラスの上昇率を維持したものの、その率が大幅に縮小しました。
令和2年・地価調査/コロナ禍で地価3年ぶり下落
このような地価の冷え込みは、新型コロナの感染拡大によりインバウンド需要が減少したこと、営業休止・時間短縮により、店舗の売上が減少したことなどが要因としてあげられます。
飲食店や小売店、ホテルなどについては、その影響を直接的に受けているため、賃料の値下げや支払猶予交渉の要請があり、不動産価値にも関係あるというのは分かります。
しかし、他方でオフィスについてはどのような影響があるのでしょうか。
まず、新型コロナの影響を受ける前と後では、オフィス市況がどう変化したかを見てみましょう。
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オフィス需要の意向変化
新型コロナの影響が空室率の上昇という形で、少しずつ現れてきていますが、企業の意識としてはどうなのでしょうか。
コロナ前はオフィス拡大傾向
株式会社ザイマックス不動産総合研究所の「大都市圏オフィス需要調査2019秋」で、オフィス面積がどのように変化してきたかが分かります。
この調査によると、2019年秋の時点でオフィス面積が「拡張した」という回答が8.7%、「縮小した」という回答が2.8%でした。
この時点ではオフィス面積が明らかに拡大傾向にあったということが分かります。
株式会社ザイマックス不動産総合研究所「大都市圏オフィス需要調査2019秋」より一部加工
面積「縮小」意向が大幅増加
次に同社調査「働き方とワークプレイスに関する首都圏企業調査2020年8月」を見てみます。これはコロナの影響を受けている状況での調査になります。
この調査の中で、今後のオフィスの面積の意向を尋ねた項目があります。
コロナ収束後のオフィス面積の意向については、「拡張したい」が3.2%、「縮小したい」が30.4%となっています。
「縮小したい」が「拡張したい」を大幅に上回る結果となっています。
新型コロナの先行きが不透明な今の状態ではなく、コロナが収束した後においても面積を縮小したいとの結果になっています。
明らかにオフィスに対する企業の考え方が変化していることがわかります。
株式会社ザイマックス不動産総合研究所「働き方とワークプレイスに関する首都圏企業調査 2020年8月」
オフィスの空室率は5%程度が需要と供給のバランスが取れていて、5%を超えると賃料が徐々に下落していくといわれています。
以上のように、新型コロナによって、企業のオフィスに対する考え方が変化しています。
企業は業績見込みによって次期以降の事業計画を策定していきます。
今後オフィスの面積をどうしていくかという企業の方針が、空室率と賃料の動向に影響を与えていくものと考えられます。
You Tube動画:「〜新型コロナで急変〜 都心部オフィスマーケット2020秋」はこちら
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