不動産投資コラム

損をしない!旗竿地7つのチェックポイント/前編

不動産鑑定士堀田 直紀
損をしない!旗竿地7つのチェックポイント/前編

前回は「旗竿地(はたざおち)」について、メリット・デメリットを解説しました。
今回からは、2回にわたって「旗竿地の投資で損をしないための7つのチェックポイント」について解説します。
メリット・デメリットを踏まえたうえでチェックをし、投資に適した旗竿地であるかどうかの判断材料にしてみてください。

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1.旗竿地のチェックポイント/接道

前回の記事でのデメリットでも挙げましたが、接道の状態によっては、思わぬ後悔をしてしまうことがあります。
建築基準法(43条1項)では、

「建築物の敷地は、幅員4m以上の道路に2m以上接しなければならない」(都市計画区域外を除く)

とされています。
これを接道義務といいますが、この条件を満たさない場合、建物は建てられません。
土地を取得したのはいいけど、建物が建てられない、といった最悪のケースが考えられます。

旗竿地では特に、竿の部分である間口が狭いため、この接道義務を満たさないこともあり得ます。
現状では建物が存在していても、実際には2mなかったという場合もあるので、十分注意が必要です。
間口が2mなくても現状建物がある場合、そのまま利用することはできますが、将来の再建築が不可となります。当然、土地の利用用途が限定されてしまうので、売却価格も低くなります。
なお、「幅員4m以上の道路」ですが、道路なら何でも良いわけではなく、下記のような建築基準法上の道路でなくてはなりません。

2.旗竿地のチェックポイント/間口(竿の部分・通路)の幅と長さ

建築基準法以外にも、間口の幅と長さは要チェックポイントです。

各自治体によっては、防災上などの理由から、路地状部分の長さによって、路地状部分の幅を2mより厳しい条件で設定していることがあります。
この制限は一律ではなく、各自治体によって条例は違いますので、十分な確認が必要です。

(一例)名古屋市HPより

また、実際の利用にあたっても知っておいたほうがよいことがあります。
旗竿地のメリットとして、路地状部分に駐車スペースや駐輪スペースを効率良く配置できることを挙げましたが、反対にその間口の大きさによっては、不便なこともあります

例えば、接道義務としてぎりぎり2mを確保できたとしても、現実的には3m程度の幅がないと、駐車するときに手間取ったり、人の通行に支障が出てきてしまったりと、使い勝手が悪いといえます。

さらに、間口が狭く、通行しにくいということは、建物を建てたり、取り壊しをしたりする場合に、建築資材や重機の搬入に影響が出るということでもあります。
程度にもよりますが、建築費や人手が余計にかかることになり、通常の場合よりもコストが割高になることを覚悟しなければなりません。
古家付きの旗竿地を購入する場合に、取り壊しにどの程度の費用がかかるか確認が必要です。

3.旗竿地のチェックポイント/ライフライン・電線の引き込み

旗竿地を検討するに当たって、水道、電気などのライフラインがどうなっているか気にする必要があります。

新たに水道を引こうという場合には、通路の部分の長さによって費用が変わってきます。水道メーターが道路側にあるか敷地の奥にあるかによっても、配管の長さが変わってきます。

また、電気ですが、電線を直接引けない場合、敷地内に支柱を設置しなければならないため、思わぬ費用が発生する場合があります。
場合によっては他人の土地上をまたいで通さなくてはならないなどの問題があります。
ライフラインが整備されていない場合には、あらかじめ工事の見積もりをとって、余分に予算を確保しておくようにしましょう

次回は、7つのチェックポイントのうち、残りの4つを解説いたします。

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堀田 直紀

不動産鑑定士・宅地建物取引士

堀田 直紀

不動産鑑定士・宅地建物取引士

不動産鑑定士試験合格後、民間最大手の大和不動産鑑定株式会社にて約11年間、収益物件をはじめとした鑑定評価業務に従事。平成29年10月、ミッドポイント不動産鑑定株式会社を設立。

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