不動産投資コラム

不動産の相続・気を付けるべき点/弁護士が解説

2020/02/20
弁護士上野 晃
不動産の相続・気を付けるべき点/弁護士が解説

不動産を所有している親族が亡くなれば、相続人の誰かがその不動産を相続します。

今回は遺産に不動産が含まれていた場合の注意点について、弁護士目線で解説いたします。
相続人同士でトラブルになりやすいことですので、これを機にキホンについて知識を持っておくことをおすすめいたします。

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不動産を誰が相続するか?

不動産を所有している親族が亡くなったら、不動産について、誰が相続するか、相続人の間で話し合うことになります。
これを遺産分割協議と言います。
遺産分割協議が整わない場合、裁判所に遺産分割についての審判をしてもらうことができます。

不動産は共有にするという選択肢もありますが、法律家の多くはお勧めしません

というのも、共有にすれば次の世代さらにその次の世代と代替わりするにつれ、まったく知らない多数の人間がその不動産の持ち分を保有するという状況となってしまうからです。
こうなってしまうと売却するにしても賃貸するにしても大変に面倒なことが起こってしまいます。

なので、不動産の相続においては、相続人のだれか一人の所有とし、取得しなかった他の相続人は金銭的な満足を得るという解決を図るのがベストと考えられているのです。

相続登記/早期に行うのがベスト


不動産を相続する人が決まったら、相続登記をしましょう。
もちろん、相続することになった人が行います。相続登記は義務ではありません。なので、相続登記をしていない人もいます。

しかし、相続登記をしなかった場合、他の相続人によって勝手に売却されてしまう等のリスクが残ります
なので、そういった無用な不安をなくすためにも、早期に相続登記は行いましょう

相続税/価格の出し方と対策が重要

相続税における不動産の価格評価の方法はどういったものでしょうか。

土地については、路線価を基準として判断されます。路線価が付されていない土地については一般的に固定資産税評価額の1.1倍あるいは1.2倍を掛けた額とされています。

家屋については固定資産評価額を基準とします。賃貸されている家屋については、その家屋の固定資産税評価額から、その評価額に借家権割合と賃貸割合を乗じた価額を控除して評価されます。

いずれにしても、相続税率は今後ますます高くなっていくことが予想されます。相続税対策は、今まで以上に重要となってくるでしょう。

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相続でもめないために、生前にできること

相続でもめないために、生前にできること
相続は、皮肉を込めて「争続」などと揶揄されることがあります。

人によっては、「いやいや、ウチに限ってそんなこと…」と笑って蓋をしてしまう人もいるかもしれません。
「ウチは喧嘩するほどの資産なんてないから…」という言葉もよく耳にします。

しかし、こうしたセリフは間違いだと断言します。
ウチに限ってなどと言える家庭はありません
どれだけ仲の良い家族であっても、相続を機に縁切りまで行ってしまった例は枚挙にいとまがありません。

ビルゲイツのような資産がなくたって、いやむしろそこまでの資産がないからこそ、紛争が起きやすいのです。

親子や兄弟というのは愛情で結ばれています。だからこそ、裏返って憎しみにも転嫁しやすいのです。
その点を、財産を残す側が自覚して、早期に手を打っておく必要があるのではないでしょうか。

具体的には、遺言書を作成することをお勧めします。
遺言書を作成するにあたっては、家族でよく話し合ってみんなの理解を得たうえで作成するのが良いでしょう。
その際、なぜこうした遺言を残すのか、自身の死後、家族の生活はどうあってほしいのか、そういった思いも十分に説明されるのが良いのではないでしょうか。

まとめ

相続という事態は決して歓迎する事態ではないでしょう。愛する人が亡くなるのですから。
しかし人は必ず亡くなります。だからこそ、その人の人生はかけがえのないものと言えるのではないでしょうか。

相続に関する知識を得ておくことは、来たるべく人生の終焉のとき、それは親御さんの人生に関してはもちろん、ご自身の人生に関しても大きな意味を持つものです。

人の死という目をそむけたくなるテーマが絡んだ問題だからこそ、あえてきちんと向き合ってみてはいかがでしょうか。
それはもしかしたら、本当の意味で人生と誠実に向き合うことになるのかもしれません。

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上野 晃

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上野 晃

弁護士

早稲田大学卒業。2007年弁護士登録(東京弁護士会)。賃貸不動産オーナー対象のセミナー講師も多数務める。共著に『弁護士からの提言 債権法改正を考える』(第一法規)がある。

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