サブリース契約で失敗しないための3つのポイント
前回は、実際にサブリースを運営している管理会社の担当者に「サブリースの仕組みとメリット・デメリット」を 解説してもらいました。本業が忙しい方にとっては、管理をお任せできて、リスクヘッジになる仕組みだということがわかりました。
では、なぜ“問題”という言葉と一緒によく耳にするのか。それはサブリースを運営する管理会社によって、条件が異なるためです。今回は悪質なサブリース会社を見分けるために重要な、契約書のチェックポイントについて解説してもらいます。
─サブリースを契約するときに注意するポイントがあれば教えてもらえますか?
「サブリースを考えた時には、その管理会社の契約書をよく読むことが重要です。管理会社に有利な条件で書かれていることがあり、気付かずに契約してトラブルになることがあります。
今回は、チェックポイントを3つに分けて解説いたします」
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1.賃料支払いの免責期間と成約手数料について
1-1.免責期間
─1つ目のチェックポイントを教えてください。
「まず、最初に確認していただきたいのは、初回免責期間です。これはサブリースを運営する管理会社が家賃の保証を開始するまでに、支払いを免除してもらう期間のことです。
例えば免責期間60日とある場合、引渡し日より60日間は賃料が入ってこないことになります。
その反面、60日経過すると入居の有無に関わらず、賃料の支払いが始まります。
総戸数によっても異なりますが、入居が決まりやすい場所では免責期間が短くなり、決まりにくい場所では免責期間が長くなります。
その他にも免責期間を経過しても、空室期間の間は評価賃料の70%しか保証されないなんてケースもありました。
また、途中免責期間もあります。こちらは一部の会社が使用している形式で、初回同様に退去毎に免責期間が設定されている契約のことです。
文字通り、お部屋の解約が出ますと、解約日より免責期間分の支払いが無くなります。
ご自身が契約しようとしている管理会社の免責期間が、どのタイミングに発生し、どのくらいの期間か、事前にチェックをしてください。
1-2.成約時の手数料
─入居者募集時には免責期間が設定されているとのことですが、入居者が決まった時の成約時の手数料はサブリースでもかかるのでしょうか?
「サブリース契約の場合でも成約毎に1ヵ月分の手数料が掛かるケースが一般的です。
ただ、先ほどご説明した”途中免責期間“を設定している場合は成約毎の手数料がかからないという場合もあります。また、礼金が取得できた場合は成約時の手数料を頂かない方法を取っているケースもありますね」
2.契約期間と保証賃料の見直しについて
─2つ目のチェックポイントを教えてください。
「例えば『30年契約 但し、2年毎の保証賃料見直し』と契約書に記載されていた場合は、契約時の賃料が保証されるのは最初の2年間になります。
2年後の改定時に見直しが無かった場合は、そこからまた2年間は保証されるということになります。
そのため、サブリース契約の場合に契約期間で重要視した方がよいのは、全体の契約期間よりも、保証賃料の見直しがどのくらいに一度見直しが行われるのか、また見直しの際の賃料の改定幅についてです。
賃料の改定幅について契約書に定めがない場合は、無制限で改定ができてしまうのですよ。
以前、一部のハウスメーカーで問題になったのもこのケースです。新築時は高い保証賃料を提示して建築の請負契約を行ったのにもかかわらず、初回の見直し時に大幅に保証賃料が下がって問題となったケースがありました」
3.サブリース契約の解除について
─3つ目のチェックポイントを教えてください。
「3つ目は保証賃料が大幅に下がった場合や、シェアハウスで問題があったように、サブリース会社からの賃料が延滞してしまった場合などには管理会社を見直さなくてはなりません。
このような場合に備えて、契約解除をする場合に、オーナーに不利な条項が無いかを事前に確認しておく必要があります。
- 契約解除について通知期間は何カ月前か?
- 契約解除について借主、貸主どちらからでも可能か?
- 契約解除の際に違約金が掛かるかどうか?
過去にあった事例で、『正当事由(双方の契約違反)が無い場合は違約金を総賃料の3カ月分支払う』という条項がついており、実際には解約が難しい契約になっているケースがありました。
そのほかにも、保証賃料の改定に従わない場合は『今後は賃料保証をできません』と言われ、サブリース契約を打ち切られるというケースもありました。
つまり、サブリース業者を選ぶ際には契約書がとても重要になるのです。
契約書は難解に思えるかもしれませんが、不動産投資を円滑に行うためにも、上記の3つのポイントは必ず確認してください」
4.安心してサブリース契約を結ぶために
サブリースは仕組みが問題なのではなく、保証賃料の支払い遅延トラブルや、運営する管理会社との契約に、オーナーに不利な条項が含まれている場合、それに気づかず契約してしまうことで問題が起きるようです。
契約する前に、保証賃料が周辺の賃料と比較して無理がある設定になっていないか、賃料が遅延したときや、不測の事態が起きたときの解約方法は適切か、オーナー自身が契約書を読み解き判断することが大切です。
すでにサブリース契約されている方も、契約書を読み直し、問題となりそうな条項が含まれていないかご確認いただき、トラブルが起きないように事前に対処できるよう備えたいものです。
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