不動産鑑定士の戸建て投資~塀補修・塗装のDIY編
「戸建て投資」シリーズ、第5話。
前回 は、リフォームを実施する箇所の確認、流行りのキーワード、チェックしておきたいポイントについてお話しました。
今回は、リフォームの工程表と工事の経過、そして、リフォーム業者ではなく自分で行う作業、つまりDIYについても触れてみたいと思います。
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1.リフォーム工事の工程表
こちらがリフォーム業者の方に提示いただいた工程表になります。
まずは、床の下地や畳、襖など、古くなって取り換えを行う部分の解体・処分を行います。
工程の序盤、現地を訪れたときの1階和室の写真です。
畳が撤去され、床板がごっそり外されていたため、骨組みの状態になっていました。
ここでは、「根太」と「大引」の状態を確認できました。
根が太いと書いて「ねだ」と読むのですが、これは床を張るために必要となる部材です。
また、大引(おおびき)は床板や根太を支える部材をさします。
通常、大引の方が太くてしっかりしており、根太と垂直に交わるように配置されています。
近くで確認しましたが、シロアリの被害や腐っている部位はなく、頑丈だったので問題なさそうです。
そのほか、この日、撤去されていたのは洗面台と不要なエアコンなどです。
作業の後の掃除がしっかりされていて、とても丁寧な印象を受けました。
その後、電気工事として、配線処理をした後、床を張っていくことになります。
ひと通り、床が張られた後は、廊下と玄関の天井・ドア・枠の塗装に入ります。
傷がついている木部は下地調整(ケレン)をしてからの塗装になります。
完全に塗装が乾いてから、壁のクロス、床のクッションフロア貼りの工程になります。
次に、電気工事の仕上げが行われ、最後に新調した畳・襖・障子・網戸・洗面台などが取り付けられます。
作業が終わった段階で、責任者が施工の不良、漏れがないかの確認をします。
手直しをした後、家主のチェックを経て、工事完了となります。
予定では、概ね1ヵ月のスケジュールとなっています。
2.DIYにチャレンジ
この物件では、リフォームは基本的に建物内部のみにとどめ、外部についてはあまり手を加えないつもりでいます。
古家投資では、投下した資本に対して、しっかりとリターンが期待できるかがポイントになってきます。
お金をかけて、全面リフォームを行えば、当然、見映えは良くなります。しかし、その分、家賃を高く設定する必要があり、入居者募集のときに苦労することになります。
どこにコストをかけるか悩みましたが、今回は外部の状態が良好だったので、建物内部に集中しました。
ただ、正面の塀は少し黒ずんでいて、一部ひび割れも生じていましたので、手直しする必要があると判断しました。
そこで、塀に関しては可能な範囲で、自分で何とかしてみようと思いました。
まずは高圧洗浄機を使って、汚れをきれいに落とした後、ひび割れ部分を補修して、全体的に塗装していくことにしました。
①高圧洗浄機
今回はインターネット上の口コミなどを参考に探してみました。
利用したのはRentio(レンティオ)という家電をレンタルしてくれるサービスです。
レンタルしたのは「ケルヒャー」という、高圧洗浄機ではメジャーなメーカーの製品です。
料金は3泊4日で6,980円(税・送料込み)でした。調べたら私の地域では、送料が往復で3,500円くらいだったので、レンタル料の半分ほどが送料といった感じです。
ネットで予約すると、製品が自宅に届きます。使用後の返却もコンビニに持っていくだけということでかなりお手軽な感じでした。
レンタル|ケルヒャー 家庭用高圧洗浄機 ベランダクリーナー K3サイレント(K3-60) – Rentio
初めて使用した感想は、想像していたより簡単で、効果も抜群でした。
汚れているものが徐々にきれいになっていくというのは、かなりの快感でした。
ヘッドの部分を何通りも付け替えできるのですが、部品によっては洗浄力が強くなりすぎて、壁自体を傷めてしまう恐れがあるので、そこだけは要注意です。
②コーキング材と塗料
次は塗装です。塗料といってもものすごく塗料の種類が多くて、塗る場所や用途によって、さまざまな特徴があります。
塀の補修ですが、まず、ひび割れ部分にコーキング材の密着性・耐久性を高めるため、プライマーというものを塗ります。
今回はセメダイン社製の「プライマーMP1000」を使いました。これを細いハケでなるべく奥まで塗っていきます。
次にコーキング材選びですが、ここで注意が必要です。
コーキング材の上から塗料を塗れるものと塗れないものがあるということです。
まず、シリコン系のコーキング材は撥水、発油性が高いので、上から色を塗る場合は使ってはいけないということです。
シリコン系は浴室などの水回りで、コーキングの上から塗装しないものには丈夫で適しているのですが、外壁など上から塗装する場合には弾いてしまうので向いていません。
今回は、上から塗装をすることを決めているので、シリコン系ではなく、変成シリコンという種類を使いました。
口コミの評価が比較的良く、プライマーと同じセメダイン社製の「変成シリコーンシール」を使いました。白の塗料を使うので、変成シリコンも白色のものにしてみました。これをコーキングガンにセットして使用します。
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次に塗装です。いきなり色のついた塗料を塗るのではなく、まずは下塗りをします。
使ったのはアサヒペン社製の「水性シーラー」という商品です。これをローラーやハケで塗っていきます。
次に上塗りの塗料ですが、ホームセンターなどで一般的に買えるアサヒペン社製の「水性スーパーコート」というものを選びました。1回塗りで十分な耐久性を発揮するという特徴があります。購入したのは、つや消しの白色で、目分量で計算して1.6リットルのものにしました。若干余るくらいでしたが、ちょうど良い量でした。
スーパーコートには水性と油性があります。匂いがきつくなく、コストが抑えられた水性のものにしました。素人でもムラなく塗れますし、カラーバリエーションも豊富なので、使い勝手は良いと思いました。
このように材料は決定したのですが、少し不安だったので、作業の前に知り合いの塗装のプロに相談しました。以下のようなアドバイスをもらいました。
1.コーキング材については本体の先端を斜めに細く切って、なるべく、ひび割れの奥の方にコーキング材が入るようにする。
2.下塗りの前に、古い塗装はなるべく剥がし、金のブラシで表面のザラザラを落としておく。
3.下塗りを1回でなく2回にして、十分に下地を固めておく。
塀の補修と塗装は2日間に分けて行いました。
特に塗装するときは、天気の良い日を選んで作業しました。
全体に白く塗った結果、格段に明るくなり印象も良くなりました。
反省点としては、塗装しない箇所をマスキングテープでしっかりと養生したのですが、塗料が完全に乾く前にテープを剥がしてしまったので、塗料が垂れてしまったことです。
逆に完全に乾いてしまってからだとパリパリになって剥がしにくくなるので、そのタイミングの見極めが難しいと思いました。
結局、垂れてしまった部分は、どうしても気になるので、色を変えて再度塗装することにしました。1日余計にかかってしまいましたが、ツートンカラーになって、白一色より趣きが出たので、結果良しという感じです。
このように今回はリフォームの工程とその作業内容、塀をDIYしてみた様子をお伝えしました。
【登場人物】
<塗装アドバイス>プロアークス株式会社 中村敦志さん
東京圏人口一極集中さらに加速…不動産投資は、立地で決まる。解説本無料プレゼント
- 第1回:不動産鑑定士、投資用の戸建てを買う~購入理由編
- 第2回:不動産鑑定士、投資用の戸建てを買う~物件紹介編
- 第3回:不動産鑑定士の戸建て投資/買付~引渡し編
- 第4回:不動産鑑定士、投資用の戸建てを買う~リフォーム下見編
第5回:不動産鑑定士の戸建て投資~塀補修・塗装のDIY編
- 第6回:不動産鑑定士の戸建て投資/リモートワーク部屋へ大改造編