不動産投資コラム

不動産鑑定士、投資用の戸建てを買う~購入理由編

不動産鑑定士堀田 直紀
不動産鑑定士、投資用の戸建てを買う~購入理由編

皆さんこんにちは。不動産鑑定士の堀田です。
最近、戸建住宅を買いました!

家を購入したといっても、自分で住むためのものではありません。
この家をどなたかに賃貸することが目的です。

そこで、今回からシリーズで、その過程を皆さんに共有させていただきたいと思います。
具体的な内容としては、物件の取得から賃借人への引き渡しまでを予定しています。

「予定」と言いましたのは、執筆している時点では、実はまだ借りられる方が決まっていません。したがって、最後の結末は見えておらず、どうなるか分からないのですが、とりあえずスタートしてみることにします。

家を貸し出すためにはリフォームをする必要がありますし、入居者を探す活動をしなければなりません。
そのあたりの一連の流れをお伝えできればと思っています。

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投資のための戸建住宅を購入した理由

私は1年以上、中古の戸建住宅を探していました。
その間に20件を超す空き家を見学したと思います。
今回、ちょうど欲しいと思える物件に出会えたので、意を決して購入に踏み切りました。
少し前に他の物件を検討していて、申し込もうとしたのですが、わずかな時間の差で先約が入り、逃してしまったという苦い経験がありました。
今回はその場で判断をして、買い付けを入れました。

では、なぜ、いまこのタイミングで戸建住宅を購入することにしたのでしょうか。
そこには私なりの考えがありました。

具体的な物件を紹介する前に、今回は、そもそもなぜ戸建住宅を買おうと思ったかということからお話したいと思います。

理由は大きく3つあります。

1つ目は空き家の増加とその資産価値、2つ目は地方移住の需要の高まり、3つ目は中古戸建マーケットや不動産投資の勉強です。

1.空き家の増加とその資産価値

何となく皆さんご存知だと思いますが、空き家の数と、全体の住宅数に占める空き家の割合が増加しています。
空き家数・空き家率推移
総務省「平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 結果の概要」

空き家に関する統計としては、総務省が5年ごとに公表している「住宅・土地統計調査」があります。
最近のものでは平成30年の調査で、5年前に比べ、全国の空き家は848万9千戸と3.6%の増加、空き家率は13.6%と過去最高となっています。
少子高齢化が進む日本では空き家の数は年々増えており、今後もこの傾向は続くものと思われます。

空き家が増えている要因の一つに、親の住んでいた住宅を相続で取得したけれど、子供は都心部に住んでいて将来的にもその家に住む予定がないというケースなどがあります。
この場合には、空き家の管理に手間がかかり、固定資産税も払わなければならないので、多少安くても売却したいという動機があると考えられます。

一方で、購入する立場からすると、比較的低価格で戸建住宅を手に入れることができます。
受け取る賃料次第になりますが、安く購入することができれば、そこに投資を行う価値が生まれます

今回、私は初めての購入、しかも物件が築年数の経過した中古住宅ということで、金融機関の融資を受けるのが難しいのかなと判断しました。
したがって、今回は融資を利用せず、なけなしの資金をかき集めて購入することにしました。

古い空き家は低価格で購入しやすいといっても、最近ではこのような戸建投資をされる方が増えているので、場所によって価格は上昇気味になっているともいえます。

次に中古住宅の流通に関するデータを見てみましょう。
既存住宅流通シェア推移・国際比較
国土交通省「既存住宅市場の活性化について」

国土交通省の「既存住宅市場の活性化について」によると、全住宅の流通量(既存流通+新築着工)に占める既存住宅の流通シェアは、日本では約14.5%(平成30年)にとどまっています。
この率は欧米諸国と比べると1/6~1/5程度と低い水準です。

このように日本では、諸外国に比べ中古住宅の流通が進んでおらず、まだ十分住めるのに取り壊しては、また建て替えるという新築重視の傾向があるといえます。
ただ、短いスパンで次々に新築を建てるというのは、環境面を考えると望ましいことではありません。

このような状況の中、ようやく最近、国の指針で既存住宅・リフォーム市場の活性化を促そうという動きが見られます。
われわれ不動産鑑定の分野でも建物評価についての指針が示され、中古住宅の価値の見直しが積極的に行われるようになりました。

以上のことから、今後は中古住宅に注目が集まっていくのではないか、という可能性を感じたというのが購入の一つの理由となっています。

2.地方移住の需要の高まり


次の理由は、地方へ移住したいという需要が高まっているのではないかということです。
地方移住の話題は以前からありましたが、東京で暮らすことのメリットが移住することのメリットに優位し、実際に行動に移す方はごく少数にとどまっていました。

しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で変化してきています。
リモートワークが一般的になり、これまでの働き方や住まいに対する考え方が大きく変わりました。
実際のデータでも、東京一極集中の流れが弱まってきているのが分かります。

これに加え、国や地方自治体でも支援金を拡充しており、移住に関するコストが実質的に下がってきているということもあります。
このように、地方にある住宅、特にリモートワークなどをするのに都合の良い、部屋数の多い戸建住宅を検討する世帯が増えているのではないかと考えたからです。

地方移住については以前の記事やYoutubeで紹介していますので、参考にしていただければと思います。

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2020年 新型コロナで地方移住は進んだ!?

3.中古戸建マーケットや不動産投資の勉強


最後の理由は、中古住宅のマーケット感を実践的に肌で感じられ、不動産投資の勉強にもなると考えたからです。
不動産鑑定士として、戸建住宅を評価することは多々ありますが、正直、賃貸を目的とした戸建市場というのはあまり注目されていませんでした。

最近注目されつつある中古戸建の賃貸市場を知るには、自ら投資を行うのが最も理解が深まるのではないかと思いました。
このほかにも、今後、ますます増加する空き家の活用方法やリフォーム・DIYの勉強もすることができるかなというのも、購入に踏み切った理由です。

このようにいくつかの理由が重なり、今回の購入につながりました。
次回からは、具体的な物件の中身についてご紹介していきたいと思います。

手間をかけずに将来に備えた資産をつくる…空室リスクが低い不動産投資とは?

堀田 直紀

不動産鑑定士・宅地建物取引士

堀田 直紀

不動産鑑定士・宅地建物取引士

不動産鑑定士試験合格後、民間最大手の大和不動産鑑定株式会社にて約11年間、収益物件をはじめとした鑑定評価業務に従事。平成29年10月、ミッドポイント不動産鑑定株式会社を設立。

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