不動産投資コラム

セミリタイアは不動産投資では可能?リスクと失敗例

行政書士棚田 健大郎
セミリタイアは不動産投資では可能?リスクと失敗例

前編 では、不動産投資でセミリタイアをするメリットや、セミリタイアに必要な収入、貯蓄などについて解説してきました。

後編では、セミリタイアまでのシミュレーションや、リスク、セミリタイアのよくある失敗パターンなどについて解説していきたいと思います。

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40代、50代のセミリタイアのシミュレーション

セミリタイアをするためには、前編で解説したようにある程度の収益を家賃収入で確保している必要があるため、一定の準備期間が必要です。

ここでは、無理なくセミリタイアができる40~50代を想定して、大まかにシミュレーションしてみたいと思います。

20代は貯蓄を優先

不動産投資はローンを使って投資ができるため、やろうと思えば自己資金が少なくてもフルローンで区分マンションなどには投資することは可能です。

ただ、セミリタイアを目標におく場合については、ある程度の戸数を確保するまで継続して投資する必要があるため、フルローンではなく、返済計画に余裕のある不動産投資から始める必要があります。

20代のうちは給料もそこまで多くないでしょうから、焦らず貯蓄をして自己資金を準備する期間にあてましょう

目安としては、年収350万円と仮定した場合、年間で50~100万円、500万円くらいの貯金を目指しましょう。

30代は投資物件を増やす

資金計画

20代後半から30代後半にかけては、投資物件を購入して戸数を徐々に増やしていくフェーズへと移行します。

都内の物件に不動産投資をする場合、家賃7万円と仮定すると、およそ7~10戸がセミリタイアの目安となってきます。ただ、結婚していて子供もいるような場合では、12~15戸くらいは見ておかないと、万が一の時に不安が残るでしょう。

40~50代でセミリタイア

セミリタイアは早ければ30代でも可能ですが、セミリタイアを急いでどんどん物件を購入していくと、貯蓄をすべて使い果たしてしまう可能性があります。

また、セミリタイアをするとローン審査が通らなくなる可能性もありますので、きちんと生活していける自信が持てる40~50代まではできるだけ仕事を続けた方が無難です。

セミリタイアのリスク

セミリタイアすることで、多くのメリットを受けられますが、一定のリスクがあることにも留意しなければなりません。

健康面(運動不足、仕事などの刺激不足、精神的満足度)

不動産投資でセミリタイアが実現すると、基本的には日常的にすることはほとんどなくなるため、会社員をしていた頃と比較すると運動不足になる傾向があります。

運動不足は体調にも影響するため、意識的にウォーキングをするなど、健康に気を配る必要があります。

また、仕事をやり遂げた時の達成感のような精神的満足度や刺激は得られなくなるので、営業をバリバリやりたい方は、あえてセミリタイアせずに、副業として不動産投資を続ける方がよいかもしれません。

出費が増える

会社員として働いている間は、国民健康保険や厚生年金などを会社がある程度負担してくれていますが、セミリタイアするとそれらはすべて自己負担となるため、会社員の時と比較すると出費が増えます。

また、将来的にもらえる年金についても減る可能性が高いため、そのあたりも含めてライフプランを検討する必要があるでしょう。

セミリタイアのよくある失敗とパターン

セミリタイアのリスク

セミリタイアで失敗しないためには、実際の事例を知ることがとても重要です。

ここでは、よくあるパターンについて2つご紹介します。

1.法人化のタイミングによる失敗

不動産投資の規模が大きくなってくると、法人化する人も多くいます。

不動産投資を法人化することで、経費として扱える範囲が広くなったり、融資が受けやすくなるなど、様々なメリットがありますが、法人化のタイミングを間違えるとかえって行き詰まる可能性があるため注意が必要です。

本業にバレる

セミリタイアができるだけの物件が確保できていない段階で法人化をすると、本業の会社に副業がバレてしまいます。

副業が許可されている会社であれば問題ありませんが、副業禁止規定がある会社に勤めている場合は、懲戒解雇される可能性もあるため注意が必要です。

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法人の維持費

不動産投資で法人化する最大のメリットは節税ですが、法人化のタイミングが早すぎるとかえって維持費の方が高くつく可能性があります。

法人化をすると個人事業主の時とは違い、管理しなければならない書類関係が一気に増えますので税理士に委託して顧問料を支払うのが一般的です。

また、法人税についても利益がそこまで出ていない状況であれば、個人の方が得な場合もあるため、概ね年間所得で600万円を超えるまでは、法人化を待った方がよいでしょう。

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2・サラリーマンに戻るパターン

セミリタイアしたものの、しばらくしてまたサラリーマンに戻ってしまうケースも少なくありません。

十分な家賃収入を確保する前にセミリタイアしてしまうと、すぐに生活が苦しくなって再就職せざるをえない状況に陥ることがあります。

また、家賃収入が十分でも貯蓄がほとんどできていないと、前編で解説した修繕費が家計を圧迫する可能性もあるので、セミリタイアする際には、余裕のあるキャッシュフローを維持できるのか、入念にシミュレーションしておくことをおすすめします。

さらに、別のパターンでは、先にリスクとしてあげた刺激不足などにより、結局サラリーマン生活に戻ることを選ぶ人も少なくないようです。

まとめ

前編と後編に分けて、不動産投資によるセミリタイアについて解説してきましたが、大家のみを生業とする専業大家の方は数多くいらっしゃいます。

不動産投資は他の投資とは違い、収入が比較的安定しているため、キャッシュフローについて正確にシミュレーションできていれば、セミリタイアすることはそこまで難しくありません。

まずは、自分自身の生活費などを見直して、自分にいくら収入があればセミリタイアできるのかをシミュレーションした上で、そのために必要な物件数、戸数、家賃などを検討して計画していくことが重要です。

入念な「シミュレーション」と「計画性」、この2つが、不動産投資によるセミリタイアのキーポイントといえるでしょう。

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棚田 健大郎

行政書士

棚田 健大郎

行政書士

大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

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