コラム

不動産投資のキホン「利回り計算」①表面利回り

2018/06/22
不動産投資のキホン「利回り計算」①表面利回り

皆さんは不動産を購入しようとするとき、どのようなことを重視して、物件選びをされていますでしょうか。

検討している物件が、新築であるか、中古であるか、駅に近いかどうか、広さはどれくらいが良いかなど、人それぞれに重視するポイントがあると思います。

しかし、不動産を居住目的ではなく、特に投資の対象と考えるとき、まず思い浮かぶのが、「利回り」ではないでしょうか。

そこで、今回はこの「利回り」についてお話ししようと思います。

利回りとは?利回り・収入・価格の関係

利回りの計算方法

さっそくですが、一概に「利回り」といっても、その意味するところは必ずしも統一されているものではなく、何をベースに計算しているのか、人によって異なることがあります。 

したがって、単に利回り「〇%」といっても、必ずしも同じ基準で計算されたものではないことをまず把握しておく必要があります。

まず、利回りの種類を確認する前に、最も基本的なことですが、利回り、収入、価格の関係をおさらいしておきましょう。

不動産の利回り(%)=年間賃料収入÷物件価格×100

【例】
年間賃料収入が1000万円の物件を1億円で購入した場合の利回りは…
1000万円÷1億円×100=10.0%

同じ購入価格1億円でも、賃料収入が1250万円であれば…
1250万円÷1億円=12.5% 
利回りは高くなります。

また、同じ年間賃料収入1000万円でも、8000万円で購入できれば…
1000万円÷8000万円×100=12.5%
利回りは高くなります。

この式のように利回りは、賃貸事業から得られる賃料収入が多ければ多いほど、また、不動産の物件価格が安ければ安いほど高くなる関係にあります。

したがって、高利回りの物件は、物件価格の割には高い賃料が取れていること(もしくは取れる可能性がある)、や賃料収入の割には物件価格が安いということができます。

地価にも影響される利回り

先日、国土交通省から平成30年の地価公示が発表されました。
ご覧になられた方もいらっしゃるかと思いますが、雇用環境の改善、訪日外国人の増加による不動産需要の増大、都市中心部における再開発などの進展による繁華性の向上を主な要因として、特に繁華性・利便性の高い地域を中心に地価が上昇しています。

平成30年の地価公示の記事はこちら

このような地域では不動産取引が活発になっているため、物件価格は高騰しています。
ということは、利回りに関していえば、物件価格の上昇に伴って、利回りは低下しているということになります。

ここまでは、利回りの基本的な説明でしたが、次からは利回りには色々な種類があるということをみていきましょう。

まずは、表面利回りについてご説明します。

不動産投資のひとつの指標「表面利回り」

まず、不動産投資において、よく用いられるのが表面利回りといわれるものです。

投資物件を購入しようとき、インターネットで不動産会社のホームページを検索することが多いと思いますが、ここで最初に目につくのが、この表面利回りです。

表面利回りというのは、この物件の年間で得られると想定される賃料を物件価格で割ったものです。

表面利回り(%)=年間賃料収入÷物件価格

ここで気を付けなくてはならないのは、実際には満室でない場合でも、満室であるものと仮定している場合が多いことです。

その場合には、注意書きで満室時想定利回りと書かれていると思いますが、この物件が満室であると仮定し、空室部分については、想定した賃料で入るという前提となっています。

【例】
満室時年間賃貸収入が1000万円の物件を1億円で購入した場合の利回りは…
1000万円÷1億円×100=10.0%

しかし、実際には10%程度の空室や賃料滞納があったとしたら…
年間賃料収入=1000万円×(100%-10%)=900万円
900万円÷1億円×100=9.0%

と変わってきます。

上記のように満室時賃料収入ではなく、空室や賃料滞納分を考慮した収入は、実効総収入と呼ばれることがあります。

実効総収入=満室時想定賃料収入-空室損失等

満室時想定利回りは満室もしくは満室に近い状態であれば参考になる利回りですが、空室が多かったりする場合は注意が必要です。

また、高稼働の物件でも、テナントの入れ替わりにより、一定期間は必ず賃料が取れない期間はありますし、一般的に入居期間が短い単身者向けのマンション等賃料の滞納が多い物件などは、実際の利回りと差がでることになります。

物件や立地条件などによっても異なりますが、空室や賃料滞納分を合わせた数値として、最低でも5%程度、場合によっては10%程度をみておいたほうがいいと思われます。

とはいえ、表面利回りは利回りの計算が簡単で、直観的に分かりやすいということから、不動産投資の際のひとつの指標となっています。

しかし不動産において最も重要な利回りは表面利回りではなく、「実質利回り」です。
次回はその「実質利回り」について詳しくお話しします。

不動産投資のキホン「利回り計算」②実質利回り

堀田 直紀

堀田 直紀

不動産鑑定士

不動産鑑定士、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)。 立命館大学法学部卒業後、住友不動産販売株式会社にてタワーマンション等を販売。 不動産鑑定士試験合格後は、民間最大手の大和不動産鑑定株式会社にて約11年間、収益物件をはじめとした鑑定評価業務に従事。平成29年10月、ミッドポイント不動産鑑定株式会社を設立。

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