不動産投資コラム

よくある失敗例…中古アパート経営の場合

2018/07/30
行政書士棚田 健大郎
よくある失敗例…中古アパート経営の場合

中古アパートは、都内と地方といった立地などによって、物件ごとに価格に大きなばらつきがあるのが特徴です。上手に探せば割安な物件を見つけることができますが、反対に割高な物件を掴まされてしまうこともあります。

今回は、中古アパート経営に失敗しないために、よくある失敗談についてご紹介します。また、失敗を回避するための対策を考えていきたいと思います。

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失敗例1 「高利回り」につられ、アパート経営をして失敗

不動産投資で高利回りアパート経営で失敗

中古アパート物件を探す際には、多くの方がインターネットを活用されるかと思います。
インターネットで中古アパートを探していると、利回りが20%前後もあるような、かなりの「高利回り物件」が目に入ってくることがあります。
利回り20%というと、投下資金を5年で回収できることになりますから、格安物件ということになります。ただ、このような高利回りの中古アパートを購入して失敗するケースが多々あります。

中古アパートで高利回りになっている理由のほとんどは、物件価格自体が格安だからです。ではなぜ格安で売りに出るのかというと、それはズバリ「入居者がなかなか決まらないから」です。
特に地方の中古アパートは、一度退去するとなかなか次の入居者が決まらないというケースが多々あります。

インターネットなどに表示されている利回りは、あくまで今現在の利回りか、満室の想定利回りであることが多いため、実際に入退居が発生すると一気に利回りが悪化します。
また、空室でも固定資産税や都市計画税は課税されるため、持っているだけでも維持費がかかります。

賃貸需要の低い地方の中古高利回りアパートは、利回りにつられて購入すると失敗する可能性があるので注意しましょう。

失敗例2 現地を確認せずにアパート投資をして失敗

地方の中古アパート経営で現地確認せず失敗

中古アパート物件は、同じ築20年のアパートだとしても、現状の持ち主や管理会社の方針によって、メンテナンス状態にかなりの違いがあります。
そのため、割安な価格だからといってすぐに飛びついてしまうと、メンテナンスが行き届いていないアパートをつかまされてしまう恐れがあります。

中古アパート一棟のメンテナンス状態は、書面だけで確認することは難しいため、買付を入れる前に必ず現地を確認することをおすすめします
建物の外壁や屋上防水、給排水設備などについては、購入後すぐに施工が必要になるとかなりの出費となります。

もしも現地を確認してメンテナンス状態が悪かったとしても、それを改善するための費用を上乗せして物件価格を考えて、それでもなお利回りが良ければ購入するという選択肢も十分ありでしょう。
重要なことは、自分自身の目でよく見て、現在の状態を把握しておくことです。

アパート経営を成功に導くための回避法「空室対策」とは

不動産投資を成功へ導くためには、空室リスクを下げることが大事です。
空室が1部屋程度であればローンの返済も問題ないかもしれませんが、複数部屋に空きが出てくると、どんどん収入が減って原状回復費や維持費などの負担が重くのしかかることになります。
空室リスクをどのように解決していくかが、アパート投資で成功するポイントになってきます。

今回は、おすすめの空室対策についてご紹介します。

解約予告期間を1カ月から2カ月に変更する

通常、賃貸契約の退去予告期間は退去1カ月前、としている物件が多いのですが、この期間を倍の2カ月にすると、新たな入居者を募集する期間が増えるため、今の入居者が退去するまでに次の入居者が決まるという一番理想的な形を実現できる可能性が高くなります。

なお、この対策をとる場合は、次の点についても気を付けておくとさらに有効です。

・室内写真と動画を事前に撮っておく

今の入居者が引っ越しをする前の、きれいな状態の時の写真と動画をあらかじめ保存しておきます。

退去予告期間中は室内を見ることができないため、通常であればなかなか次の入居者が決まらないのですが、室内写真や動画を撮っておくことで、現物の部屋の中が見られなくても次の入居者が決まるようになります。

・不動産会社に理解を求める

解約予告2カ月前通知の物件は少数派であるため、そのような契約書で運用する場合は事前に物件を紹介してくれる不動産会社や管理会社に説明をして理解を得ておくことも重要です。

フリーレントを活用する

空室対策として、「敷金・礼金ゼロゼロ」にするという対策が一時期流行りましたが、初期費用を値下げするにも限界があります。
そこでおすすめなのが「フリーレント」です。
フリーレントとは、入居当初の家賃を一定額サービスするというものです。

例えば「フリーレント1カ月」というと、入居後1カ月間は家賃無料という意味になります。空室が増えやすい夏場の募集にとても効果があります。

広告料を増やす

入居者が決まった際に、不動産会社に対して支払う報酬である広告料の金額を、通常よりも多く出すという方法も有効です。
広告料は不動産会社の収入源の1つなので、契約件数が減る夏場などについては、広告料が多く出る物件から優先的に紹介されるという傾向があります。

目安となる広告料の金額は地域によって異なります。
東京都の場合は、広告料1カ月がもともとの相場なので、2倍の2ヵ月分程度が目安となるでしょう。

まとめ:アパート投資で失敗しないためには

今回は、アパート投資によくある失敗談と、その回避法についてご紹介しました。

アパート経営の成功へのカギは、空室をできる限り作らず、建物のメンテナンスをしながら運営していくことです。
物件の利回りに惑わされず、その地域の賃貸需要や大規模修繕のタイミングなどをしっかりと見極めながら物件探しをすることをおすすめします。

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棚田 健大郎

行政書士

棚田 健大郎

行政書士

大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

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