不動産投資のQA

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売買契約書の「所有権を第三者に移転する」とはどういう意味?

保有物件の売買契約にあたり契約書のひな形が送られてきました。

内容を読んだところ次のような条文が書いてあるのですが、意味がよくわからず困っています。

買主は、売買代金全額の支払いをするときまでに、本物件の所有権の移転先となる者(以下「第三者」という)を指定し、売主は、買主の所有権等の移転先の指定及び売買代金全額の支払いを条件として、第三者に対して本物件の所有権等を直接移転します。

「第三者」とありますが、具体的にどういうことを意味しているのでしょうか?

ちなみに買主は不動産会社と聞いています。

買主がエンドユーザーに直接転売することを意味しています。

通常、不動産売買契約を締結して決済をすると不動産の登記名義は売主名義から買主名義に変更します。

ですが、上記のような条文が売買契約書に記載されている場合は、登記名義を買主ではなく買主が転売した第三者に直接変更することになります。

そもそも、不動産売買契約において不動産会社が物件を買い取るのは転売して利益を得ることが目的なので、買い取る際に自らの名義に変更せずそのまま転売先の第三者に登記名義を変更します。

つまり、今回のご質問にある「第三者」とはすなわち、不動産会社の転売先のエンドユーザーということです。

なぜ登記名義を直接移転するのか

所有権移転登記をする際には、登記費用がかかります。

転売することがすでに決定しているような場合、不動産会社としては一度自社名義で登記を入れて費用を支出するのではなく、直接売主から第三者名義に変更したほうが都合がよいのです。

このように登記を飛ばして直接第三者に移転するやり方のことを一般的に「中間省略」といい、不動産会社が買い取る場合は基本的に中間省略になることがほとんどです。

売主として不都合を受けることは基本的にありませんが、買取価格が適正かどうかについては十分検討する必要があるでしょう。

2020/01/27

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棚田 健大郎

行政書士

棚田 健大郎

行政書士

大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

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