不動産投資のQA

これって経費になるの、ならないの?確定申告する場合の項目はなに?そんな疑問に大家専門の税理士がお答えします。

不動産売却後に瑕疵担保責任として支払った損害賠償金は経費になる?

先日、賃貸物件を売却しました。売却後に、建物がシロアリに喰われていたことが発覚し、買主から瑕疵担保責任として300万円請求されました。
弁護士にも相談しましたが、請求された金額は支払うしかないとのことでした。この300万円は経費になるのでしょうか?

売却のために要した費用となるため、不動産所得の経費にはならないと考えます。

瑕疵担保責任とは、売買の目的物に隠れた瑕疵(欠陥)があった場合に売主が負担する責任のことです。

瑕疵担保責任の趣旨は諸説ありますが、売主・買主が合意した売買金額が、瑕疵があったことにより、売買金額と引き渡した物とのバランスが取れなくなった場合、それを調整するため買主に損害賠償請求等を認めたものと考えることができます。
そうであれば、今回、瑕疵があったとわかっていれば、最初から300万円を売主が負担して修繕するか、売買金額を値引きするかの処置が必要だったということになります。

もし売主が売却にあたって修繕すれば、譲渡費用になりますし、売買金額を値引きすれば、譲渡収入から差し引くことになります。
つまり、いずれも譲渡所得から控除できることになります。
この性質を考えると、瑕疵担保責任による損害賠償金についても、譲渡の計算上の譲渡費用になり、売却金額から控除できるものと考えます。なお、売却のために要した費用となるため、不動産所得の経費にはならないと考えます。

2018/08/21

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渡邊 浩滋

税理士・司法書士

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

経営難だった実家のアパート経営を大きく改善し、大家さん専門の税理士事務所を設立。北海道から沖縄まで幅広く相談を受ける。セミナー、出版、連載など多方面で活躍。専門税理士ネットワーク『knees』メンバー。

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